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奪われたので、奪い返すことにしました【お店の中編】

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 心臓が壊れてしまうんじゃないかというぐらい、バクバクと音を立てる。
 なのに、鏡越しにみるシリウスは平然としていて、主人の動きを止めようとしてくれない。

「ひぅっ……!」

 あげく、こんな状況なのにシリウスが腰を動かし始めるではないか。

 カーテンが開く。

 その時――。


「今、着替えている最中なんです。着替え終わったら、お教えしますから」


 くすりと笑ったシリウスが、そんなことを言った。

「まだお着換え中でしたか、分かりました」

 そう言って、主人は去って行った。

 立っていられなくなって鏡に手をついたわたしのお尻に、シリウスは容赦なく腰を打ち付けてくる。
 そうして彼は、後ろから囁いてきた。

「ごめんね、スピカの困った顔が見たくなっちゃって」

「あ……あんっ……あ……シリウス……い、意地悪……あん、あ……」

 彼の陰茎が抽送を続け、肉壁がこすれて、絶え間ない快楽がわたしを襲う。
 彼に腰を打ち付けられる度に、鏡に映る二つの膨らみがたゆんたゆんと揺れた。

 ここが試着室だと忘れてしまいそうなぐらいの快楽に、わたしは溺れていく。

「は……あん……はふ……あ……あん……」

「スピカ、そんな可愛い声出されたら、私ももう、限界だよ……」

 どう見ても女性にしか見えないドレス姿のシリウスに犯されながら、あられもない声を上げる。
 どんどん抜き差しのスピードが上がっていく。

 ずちゅん、ずちゅん、ずちゅん、ずちゅん、ずちゅん。

 そうして――。

「あ、あんっ、あっ、あ、あ…………ああああっ……!」

 お店の中だというのに絶頂を迎えてしまい、大きな声をうっかり上げてしまった。
 そうして、下腹部に彼のどろりと熱い液が注ぎ込まれる。
 はあはあと呼吸をし、崩れ落ちそうなわたしの身体を、シリウスが両手で支えた。
 汗でまみれた首筋に、ちゅっと彼は口づける。

「はあ……買う前のピンクのドレスまで、ぐちゃぐちゃに濡れてしまったね……絶対にスピカに似合うから、買って帰ろう……」

 足元に視線をやると、元々来ていた淡いグリーンのドレスと、試着予定だったピンクのドレスが、二人の愛し合った液にまみれてしまっていた。

(恥ずかしい……だけど……すごく……)

 顔を後ろに向けられると、そのまま彼に口づけられる。

「まあ、スピカはドレスを着ても着てなくても、可愛いんだけど、ね。さあ、着替えて帰ろうか、僕の愛するお嬢様」

(女装姿で美人なのに、カッコいい台詞を言うのは反則よ……!)

 どんな女性よりも女性らしい美しさを持ったシリウス。

 だけど、どんな男性よりも男らしいシリウス。

 そんな彼との、幸せな婚約生活の一場面なのでした。


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