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追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される

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「ラピス。お前に、王から王宮に上がるように命令が出た」

 夜、いつものように彼に触れられるのだと思っていたラピスは、シュタールの言葉に驚いてしまう。

「私が、王宮に、ですか……? どうして……?」

 ラピスの声が上ずる。
 シュタールが、淡々と答えた。

「お前が、金の瞳を持つ『竜の聖女』だからだよ」

「え――?」

 ラピスはさらに衝撃を受ける。

(災厄をもたらした禍々しい金の瞳だと言って、私は村から追い出されたのに……)

「わ、私は、シュタール様の屋敷に仕える奴隷でしかありません! 竜の聖女だなんて、そんなの知らない!」

 ラピスは声を荒げた。彼女の金色の瞳がみるみるうちに涙で溢れていく。
 だが、シュタールの答えは、彼女の欲しているものではなかった。

「竜の力を持つ王の命令だ。俺に逆らうことは出来ない」

「そんな――!」

(やっぱり、シュタール様にとって、私はただの奴隷でしかない)

 ラピスの胸を哀しみが支配していく。

 そうして、彼女は十八の成人の日に、国王の元に嫁ぐことが決まってしまったのだった。

 
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