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しおりを挟む余所行きのドレスのまま、寝室へと戻った。
ぐっと拳を握って気合を入れる。
「よし! シャーロック様に改めて気持ちを伝えるのよ、アメリア!」
「俺は彼女以外好きじゃないよ、子どもだけ産んでほしい」と、振られてしまうかもしれないけれど、それでも自分は歩み寄りたいという意思表示をしたいと思った。
(ご迷惑かもしれないし、契約結婚だったかもしれないけれど……せっかく一緒に子どもを育てていくのですもの……)
出会った頃にシャーロック様に告げられた言葉を思い出す。
「愛のない結婚よりも夢がある……」
どちらかというと現実主義の自分だが、夫に関しては夢を見たいと思ったのだ。
それにしても――。
(シャーロック様、戻りが遅いわね……)
気づけば、うとうとと白昼夢を見はじめていた。
※※※
教会の敷地内、子どもたちと遊んでいた時のこと――。
蹲る青年に声をかけた。
だいぶ大人に見えたが彼は泣いているようだった。
やつれて身だしなみも疎かな彼は、私の顔を見て呆然としていた。
「お兄さん、元気を出して」
青年に対して、手持ちの白いハンカチをアメリアは差し出した。
のろのろと彼はそれを受け取る。
「ありがとう」
青年は再び涙を流したのだった。
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