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5-1※
しおりを挟む昨晩、結婚式の後初夜を迎えた。
今は朝で、外からちゅんちゅんと鳥の囀りが聴こえてくる。
正直、放心状態だった。
(……何が何だか分からなかった……)
途中から、シャーロック様の背中に必死にしがみつくので精一杯で、いまいち記憶が曖昧である。
「ああ、起きたのかい、アメリア」
旦那様の声が聴こえ、はっと身構えた。
「まだ身体が痛むだろう? しばらく休んでおきなよ」
どこから聴こえるのだろうかと思っていると――。
「きゃっ……」
横を向いていた私の背後に、硬い胸板を感じる。
(は! まだ裸同士……!)
かと思えば、後ろから回ってきた二の腕にそっと抱き寄せられた。
そうして、首筋に口づけられる。
「ひゃあっ……!」
「アメリア……昨日は一生懸命ですごく可愛かったよ、君の初めてをもらえて本当に光栄だ」
耳に息がかかって、恥ずかしくて身体が熱くなってくる。
「初めては旦那様とだって決めてましたから」
「中には純潔だって嘘をつく女性も多いのに――君は本当に素直で良い子だ」
そう言うと、彼が耳を食んでくるので、うっかり「ぎゃあ」と叫びかけたが耐えた。
そうして、よく通るハイバリトンの声音で私に囁いてくる。
「……まさか、こんなに君のことが気になるなんて、最初は思ってなかったよ」
初夜の後の男性は優しいとお針子仲間たちが言っていたので、きっとそれだろう。
(とはいえ、どうしてもドキドキしてしまう……)
ふと、気になることがあるので、後ろにいるシャーロック様に問いかけた。
「その……もう御子は出来ましたかね?」
「ん? どうだろうか? すぐ出来る女性はすぐに出来るというけれど、まだ一回目だしね。やっぱり何回かやってみてからじゃないかな?」
今日みたいなことを、まだ何度かしないといけないのかと思うと恥ずかしくてしょうがない。
「――跡取りが出来たら、もうシャーロック様とこういうことはしなくなるんですよね」
そう考えると、ちょっと寂しい気もした。
シャーロック様の身体がぴくりと動く。
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