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最終章 満天の星の下、消えゆく君と恋をする
最終話ー4 美織side
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「そうだ。ねえ、私ね、ちゃんと手術を受けたんだ。そしたらね、手術、成功したんだよ。成功率すごく低いって言われていたのにさ。しかも、手術中に心肺停止に陥ったらしいんだよ」
美織が続ける。
「だけど、夢の中に君に似た知らない女の人が現れてね。真っ暗闇の中を『まだ生きなさい』って一緒に歩いてくれたの。そうして、目覚めたら手術が成功していたんだ」
美織はまるで架空の人魚姫のような笑顔を浮かべる。
「リハビリ、しんどかったけど、君が目を覚ましてるかもって思ったら、猛烈に頑張れてね、私って本当に単純なやつだなって」
そうして、少しだけ無精ひげが生えてこけた頬を、華奢な指でツンツン突いた。
「起きてほしいよ。また天体観測しようよ、一緒に。競争に囚われずに、私の前で泳いでよ。速くなくても泳ぐ君が好きなんだ」
物言わぬ青年に向かって、彼女は寂しそうに微笑んだ。
「やっぱり、もう起きないのかな? 起きてほしいよ。だけど起きなくても、それでもね、私は君が……ああ、そうだ、あのね、思い出したんだよ。小さい頃に交わした、君との約束のこと」
少女の――いいや、もう大人の女性になった彼女の瞳が涙で潤む。
「ねえ、ちゃんと約束守ってよね」
ポタリ。
美織の涙が男の頬に零れた。
彼女は指先でそっと自身の瞳を拭った後、彼の硬い肌に落ちた涙に指先で触れた。
「ああ、そろそろ帰らなきゃ、もうすぐ面会終了だった……また来るね」
その時。
美織が椅子から立ち上がろうとした瞬間、夜空に流れ星が落ちた。
「あ」
ピクリ。
同時に何かを感じ取る。
美織の桜色の唇が戦慄いたのだった。
美織が続ける。
「だけど、夢の中に君に似た知らない女の人が現れてね。真っ暗闇の中を『まだ生きなさい』って一緒に歩いてくれたの。そうして、目覚めたら手術が成功していたんだ」
美織はまるで架空の人魚姫のような笑顔を浮かべる。
「リハビリ、しんどかったけど、君が目を覚ましてるかもって思ったら、猛烈に頑張れてね、私って本当に単純なやつだなって」
そうして、少しだけ無精ひげが生えてこけた頬を、華奢な指でツンツン突いた。
「起きてほしいよ。また天体観測しようよ、一緒に。競争に囚われずに、私の前で泳いでよ。速くなくても泳ぐ君が好きなんだ」
物言わぬ青年に向かって、彼女は寂しそうに微笑んだ。
「やっぱり、もう起きないのかな? 起きてほしいよ。だけど起きなくても、それでもね、私は君が……ああ、そうだ、あのね、思い出したんだよ。小さい頃に交わした、君との約束のこと」
少女の――いいや、もう大人の女性になった彼女の瞳が涙で潤む。
「ねえ、ちゃんと約束守ってよね」
ポタリ。
美織の涙が男の頬に零れた。
彼女は指先でそっと自身の瞳を拭った後、彼の硬い肌に落ちた涙に指先で触れた。
「ああ、そろそろ帰らなきゃ、もうすぐ面会終了だった……また来るね」
その時。
美織が椅子から立ち上がろうとした瞬間、夜空に流れ星が落ちた。
「あ」
ピクリ。
同時に何かを感じ取る。
美織の桜色の唇が戦慄いたのだった。
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