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第5章 荒れ狂う海、消えゆく君を追いかける

24-1 流れ星の欠片

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 リビングのソファに座る蒼汰に気付くはずもなく、ほのかは恭平をたまたま蒼汰の座るソファの斜め前にある一人がけのソファへと案内した。
 ほのかはもう高校二年生になっているはずだ。夏祭りで遭遇した時とは違って、今日はブラウスにスカートという美織がしそうな清楚な雰囲気の格好をしていた。
 恭平は昔と同じようにお調子者の雰囲気を残しつつも、以前と比べると大人びた顔つきをしていた。元々がっちりしていた体格もより筋骨隆々とした雰囲気になっていた。
 ダイニングスペースへと移動したほのかが恭平に向かって声をかける。

「恭ちゃん、麦茶で良い?」

「ああ、ほのか、助かるよ、ありがとう」

 蒼汰と恭平は幼馴染であり親友同士でいつも一緒に活動していた。
 五つ年下のほのかは、自分たちの水泳の大会なんかにもいつも着いてきていたし、恭平とほのかが仲が良くても違和感はない。
 ないのだが……

(俺なしで二人が仲が良いのはなんとなく違和感があるのは何でだろうな)

 蒼汰としては少しだけ複雑な心境だった。
 ほのかが恭平に向かって声を掛ける。

「恭ちゃん、ありがとう。お父さん以外の先生たちがこぞって感染症にかかったとかで、連日当直になっていなくってさ。台風が来るっていうのに『役場に避難しろ』って電話があったきりで困ってたんだよね」

「まあ、親父さんは忙しいんだから仕方ないさ」

「恭ちゃんがたまたま島に帰ってきてくれてて良かったよ」

「俺で手伝えることがあるんだったら何でも言ってくれよ」

 ほのかが頬を朱に染めながら返答すると、どうしてだか恭平もまんざらでもなさそうに目の下を赤らめていた。
 会話の内容を察するに、接近する台風に備えた準備をするために、ほのかが恭平の助けを借りたらしい。
 それにしたって……

(やっぱり何だかモヤモヤするぜ)

 蒼汰としてはやはり複雑な心境だった。
 そんな中、ほのかがソファに歩んでくると、恭平の前に冷えた麦茶の入ったグラスを置いた。
 そうして、二人してグラスに口をつけた後、しばらく談笑を始める。恭平が本土での大学生活の話をしている中、サークルにいる可愛い同級生の話をしはじめると、ほのかの機嫌がだいぶ悪くなった。慌てた様子の恭平が茶を濁して別の話題に切り替えようとしたのを察したのか、ほのかが今度は話しはじめる。

「そうだ、恭ちゃん、美織のことなんだけどさ」

 突如として美織の話題が飛び出てきたのだから、蒼汰としても動揺した。

(美織の話)

 蒼汰の心臓がドクンと跳ね上がる。

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