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第2章 月の引力で君と惹かれ合う
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「予後に関しては、ちゃんとした医学書か文献じゃないと分からないか」
今度は図書館のPCでの図書閲覧サービスを利用することにする。
自宅で調べても良かったのだが、島の図書館のインターネットは色々な図書館とリンクしており、様々な文献を取り寄せやすいのだ。
医学系の文献検索データベースに移動して、検索ワードを入力した。
ふと、該当疾患のテーマに対して、緩和ケアや終末期医療という単語が目に付く。
詳しいことは知らないが、またもや父との会話が頭に浮かんできた。
「緩和ケアと聞くと、終末期医療を想像する患者さん達が多いんだけどな、最近は緩和ケアは痛みがある人には全て適応になるんだ」……と。
文献に記載されている引用・参考文献に目を通す。どうやら海外から日本まで、様々な文献が記載されているようだ。
「こういうのなら信頼できそうだな」
といっても詳しい読み方は分かってはいない。父が一般書の類には嘘が書かれているものも混ざっていると話していた。
「たまに話す内容が、仕事の話とか……父子の会話じゃねえな、ったく……俺の事情なんざ、全然聴いてこないのなんのって……」
けれども、こうやって父親との話が参考になる日が来るとは思わなかった。
そうして、美織の疾患の研究報告や症例報告に目を通すことにする。
(美織の病気の予後、これか……)
抄録でめぼしいものを探し当てると、文書データをダウンロードした。
(これは……)
マウスで文書をスクロールしていた指先が震える。
美織の病気は、ほとんど罹患しづらい疾患のようだが、若年者がかかれば予後が長くないことが記載されている。
「そんな……あいつは……」
ふと、彼女の言葉が脳裏をよぎる。
『私はさ、夏の間に儚くなるんだよ』
つまるところ、それそのものの意味だったということで……
あまりの衝撃に胸にずっしりと重しが乗ったような気持ちになった。
彼女は紛れもなく若年者の部類になるだろう。
「美織は……」
PCの画面が次第に滲んで見えてくる。
いつも蒼汰に向かって微笑みかけてくる美織。
全く病人には見えないほどに、明るく振舞っていた。
だけど、影ではどれだけの苦痛を抱いていることだろう。
『月って裏側は見えないでしょう、綺麗なところだけ見せてるの』
死の恐怖と戦いながら、蒼汰を気遣うような行動をとってきてくれた。
「そうか……」
彼女の優しさと自分のふがいなさとで、なんだか目頭が熱くなってきたのだった。
今度は図書館のPCでの図書閲覧サービスを利用することにする。
自宅で調べても良かったのだが、島の図書館のインターネットは色々な図書館とリンクしており、様々な文献を取り寄せやすいのだ。
医学系の文献検索データベースに移動して、検索ワードを入力した。
ふと、該当疾患のテーマに対して、緩和ケアや終末期医療という単語が目に付く。
詳しいことは知らないが、またもや父との会話が頭に浮かんできた。
「緩和ケアと聞くと、終末期医療を想像する患者さん達が多いんだけどな、最近は緩和ケアは痛みがある人には全て適応になるんだ」……と。
文献に記載されている引用・参考文献に目を通す。どうやら海外から日本まで、様々な文献が記載されているようだ。
「こういうのなら信頼できそうだな」
といっても詳しい読み方は分かってはいない。父が一般書の類には嘘が書かれているものも混ざっていると話していた。
「たまに話す内容が、仕事の話とか……父子の会話じゃねえな、ったく……俺の事情なんざ、全然聴いてこないのなんのって……」
けれども、こうやって父親との話が参考になる日が来るとは思わなかった。
そうして、美織の疾患の研究報告や症例報告に目を通すことにする。
(美織の病気の予後、これか……)
抄録でめぼしいものを探し当てると、文書データをダウンロードした。
(これは……)
マウスで文書をスクロールしていた指先が震える。
美織の病気は、ほとんど罹患しづらい疾患のようだが、若年者がかかれば予後が長くないことが記載されている。
「そんな……あいつは……」
ふと、彼女の言葉が脳裏をよぎる。
『私はさ、夏の間に儚くなるんだよ』
つまるところ、それそのものの意味だったということで……
あまりの衝撃に胸にずっしりと重しが乗ったような気持ちになった。
彼女は紛れもなく若年者の部類になるだろう。
「美織は……」
PCの画面が次第に滲んで見えてくる。
いつも蒼汰に向かって微笑みかけてくる美織。
全く病人には見えないほどに、明るく振舞っていた。
だけど、影ではどれだけの苦痛を抱いていることだろう。
『月って裏側は見えないでしょう、綺麗なところだけ見せてるの』
死の恐怖と戦いながら、蒼汰を気遣うような行動をとってきてくれた。
「そうか……」
彼女の優しさと自分のふがいなさとで、なんだか目頭が熱くなってきたのだった。
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