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後日談
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しおりを挟む城塞都市ニーベルング。
今日は、女性から男性にチョコを渡す特別な日だ。
老若男女問わず、街の商店通りは活気に満ちていた。
私ミレイユは、スヴェイン騎士団長と結婚後もパン屋での仕事は続けている。
焼きたてのパンの香りに包まれながら過ごす毎日はとても幸せだ。
(今日はとにかく忙しかったわね)
とはいえ、もう店じまいの時間だ。
残り少ないパンをショーケースに寄せる作業をしていたら、扉が開き、備え付けの金がチリンチリンと音を鳴った。
店内に入ってきたのは、紅い髪に碧色の瞳の彫り深い美青年騎士――。
「あれ? バッカスさんじゃないですか」
「ああ、ミレイユ、わりぃ、パンをくれ」
彼の名前はバッカス・ヴァレンティーノさん。
侯爵家出身の品の良い男性であり、普段は第一王女セシリア・ニーベルング殿下の護衛騎士を勤めている彼は、王国騎士団長を任されている夫スヴェイン団長の唯一無二の親友だ。
そんな彼の背後には、ローズブロンドの髪に空色の瞳をした麗しい美少女が控えているではないか。バッカスさんの胸元ぐらいまでの身長の少女は、彼の上衣の腰をぎゅっと掴んで、私の方をじっと伺ってきていた。
「んん?」
彼女の姿を見て、私は目を真ん丸にする。
(まさか――!)
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