憂鬱な妖精との恋~南の島の寄宿学校にて〜

tommynya

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悪戯が好きな君

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あれから1ヶ月が経っていた。沢山絵も描いて、為になる授業も受けられて、美味しい食事も楽しめて、南の島での生活にも慣れて来た。

相変わらず毎日のようにあいつに呼び出されるミカ。疲れて帰って来ては、俺と眠るのが恒例になっていた。俺は理性の修行をし続けている。そして薄々は気づいていたけれど、多分俺はミカに恋をしている。

今日はビーチで海の絵を描く事になった。2人の希望でもある。ビーチで日陰を探していたら、大きな木を見つけた。この大きな木の下なら暑さは凌げそうだ。ビーチタオルを敷き2人は隣同士に座った。

「ここなら、海を描くのに良さそうだね」

「うん」

2人とも集中して無言で絵を描いている。

「結構出来てきたね。水彩絵の具で色付けようか」

「うん。そうだね」

絵の具で色を付けていると、ミカが俺の頬に筆で落書きした。

「もぅ。何。仕返し」

ミカの頬にも筆で多めに落書きした。

「やだ~もぅ。ひどい。ハハハ」

俺とミカは落書きし合うのを止めない。

「もう。ダメだって。ストップストップ。顔洗いに行こ」

(出会った頃とは別人みたいだなぁ。本当に。子供みたいに無邪気でかわいい…)

ビーチの手洗い場で、二人で絵の具を落とした。

「絵の具取れたか見て」

ミカはかなり至近距離に顔を近づけて来た。

(ちょっと近すぎるな…恥ずかしい…)

「ルイ、ここ取れてない」

ミカが俺の頬に付いている絵の具を指で拭っている。

(もぅ近すぎる…無理…)

「ルイ、顔真っ赤だね。恥ずかしいの?」

「ミカにこんな事されたら、誰でもこうなる…」

「ルイって純粋で本当にかわいいね。フフッ」

「あんまりからかわないで…我慢出来なくなる」

「我慢って何?キスでもしたいの?チュッ」

そう言って、ミカは俺の唇に軽くキスをしたのだ。

「ミカ…もぅ我慢していたのに…」

「我慢しなくていいよ、して」

そう言われてすぐに身体が勝手に動いて、ミカに抱きつき、唇に何回もキスしていた。今までの我慢が爆発した瞬間だった。自分の体と脳が誰かに操られているかのように…

脳のネジが1つ1つ外れてバラバラになって、粉粉になって消えていくのを感じた…気づいたら理性を無くしていた俺は、噛み付くようなキスを執着に繰り返していた…

「ごめんね。ミカ。こんな事して。俺ミカの事好きみたいだ…気持ち悪くてごめん…」

「ルイ…僕も好きだよ」

「えっ?同じ気持ちって事?」

「うん。でも僕はルイの恋人になれるような人間じゃないんだ…」

「どう言う事?好きだけど付き合えないって事?」

「うん。ごめんね。いつでも僕の身体は貸すよ。僕はルイに触れている事が幸せで、安心するから」

「どう言う事?本当に理解出来ない…」

「僕はルイが好きだから嫌わないで欲しい…」

「嫌わないけど、ミカが何言っているのか理解出来ない…自分がどうしたらいいのかも分からないから少し考えてみる…」

「…戻って続き描こうか…」

「うん」

胸の鼓動はなかなか収まらず、永遠とミカが言った言葉の意味を考えていた。この日の絵の進み具合は2人とも最悪だった…

ミカも俺の事が好きなのはびっくりした。嬉しいと同時に付き合えない、と言われて失恋したような不思議な気持ちだ…

暗くなる前に二人で部屋に戻った。
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