約束ノート

自分

13

　田宮は霞が述べる言葉を頭の中で繋ぎ合わせ、思わず声を出した。

「葉山…監禁されていた場所と同じ市内に居るのか」

「……ろ…く………終わりました」

　ダウジングを終えた霞が顔を上げた。

「利根川、部長にその住所を知らせてくれ」

　田宮が利根川に指示を出した。

「分かりました」

　田宮に声を掛けられる前に、既に席を離れていた利根川は、ドアに向かい走り出した。

「新垣さん！誘拐した犯人は複数いると思われますが、犯人の名前を教えてください！」

　田宮は興奮しているように見える。霞のダウジングを心底信じているのだろう。

「分かりました…誘拐した犯人の名前は？」

　霞はクリスタルの振り子を垂らすと、再びダウジングを始めた。そして数分後、ダウジングを終えた。
　霞が発した言葉を手帳に書き込んでいた田宮が、健太に視線を向けた。

「…ながみねかずあき…篠原さん、聞いた事のある名前ですか？」

　ダウジングが告げた犯人の名前。しかし、健太は聞き覚えがなかった。

「いえ、知りません…霞さん！今、家族が無事か教えてください！」

　健太は懇願するような顔で霞を見詰めている。

「はい！」

　霞は力強く頷くと、ダウジングを開始した。

「…い…き…て…い……る…」

　霞が発する言葉を聞き、健太は大きな息を吐いた。

「…ありがとう…ありがとう、霞さん」

　健太は、心の底からこみ上げる感謝の気持ちを口にした。
　田宮は静かに頷いた後、霞に視線を向けた。

「…無事で良かったです…新垣さん、共犯の名前を教えてください」

「分かりました」

　霞は震える手で、クリスタルの振り子を垂らした。

「…よこやましゅんえい…他は？」

　田宮は手帳に書き留めながら、霞を促した。