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自分
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その言葉も書き込まれた。
「消えろ消えろおぉぉぉ!」
小羽は頭を掻き毟り、床の上を転げ回った。
『僕は罪を償うんだ』
床を転げ回っていた小羽の動きが止まった。静かに起き上がった小羽は、再び約束ノートの前に座り込んだ。
「…や…め……ろ…」
小羽の口からその言葉が途切れ途切れに漏れた。凶暴な人格の小羽が消え掛かっているのかもしれない。
『僕はたくさんの人を殺した。その罪を償う為に、自らの命を自分の手で絶つ事を約束する』
ノートに書き終えた小羽は立ち上がり、健太に歩み寄った。
先ほどまでの小羽とは違う。雰囲気が明らかに変わっている。心の声は健太には聞こえなかったが、別人である。健太はそう感じた。
「…お前は誰だ?」
目の前に立つ小羽に、健太が問い掛けた。
「健太君はじめまして、僕が本来の速水小羽です」
そこには、先ほどまでの凶暴な小羽はいなかった。健太の前に居る小羽は、何かを振り切った男の顔をしている。
「…どういう事だ?」
健太は眉を寄せている。
「僕の中には、もう一人存在したんだ…そいつはもう居なくなった」
「…二重人格」
健太は頭の中に浮かんだ言葉を口にした。
「そう、二重人格…そいつが今まで多くの人間を殺してきたんだ…でも、僕にも罪がある…僕があの怪物を生み出したんだから」
小羽は辛辣な表情を浮かべている。
「………」
健太は言葉が出てこなかった。二重人格を疑っている訳ではない。別人格の犯行だといっても、小羽を許す事が出来なかった。
「…これ、霞ちゃんに返してあげて」
小羽は首から下げた、クリスタルの振り子を健太の首にぶら下げた。
「…もうすぐ、ここに警察が来るんだ…僕は捕まっても、罪に問われない。そう、振り子が教えてくれたんだ…僕は罪を償う…だから、今から死ぬね」
小羽はそう言うと、健太に背を向けた。
「消えろ消えろおぉぉぉ!」
小羽は頭を掻き毟り、床の上を転げ回った。
『僕は罪を償うんだ』
床を転げ回っていた小羽の動きが止まった。静かに起き上がった小羽は、再び約束ノートの前に座り込んだ。
「…や…め……ろ…」
小羽の口からその言葉が途切れ途切れに漏れた。凶暴な人格の小羽が消え掛かっているのかもしれない。
『僕はたくさんの人を殺した。その罪を償う為に、自らの命を自分の手で絶つ事を約束する』
ノートに書き終えた小羽は立ち上がり、健太に歩み寄った。
先ほどまでの小羽とは違う。雰囲気が明らかに変わっている。心の声は健太には聞こえなかったが、別人である。健太はそう感じた。
「…お前は誰だ?」
目の前に立つ小羽に、健太が問い掛けた。
「健太君はじめまして、僕が本来の速水小羽です」
そこには、先ほどまでの凶暴な小羽はいなかった。健太の前に居る小羽は、何かを振り切った男の顔をしている。
「…どういう事だ?」
健太は眉を寄せている。
「僕の中には、もう一人存在したんだ…そいつはもう居なくなった」
「…二重人格」
健太は頭の中に浮かんだ言葉を口にした。
「そう、二重人格…そいつが今まで多くの人間を殺してきたんだ…でも、僕にも罪がある…僕があの怪物を生み出したんだから」
小羽は辛辣な表情を浮かべている。
「………」
健太は言葉が出てこなかった。二重人格を疑っている訳ではない。別人格の犯行だといっても、小羽を許す事が出来なかった。
「…これ、霞ちゃんに返してあげて」
小羽は首から下げた、クリスタルの振り子を健太の首にぶら下げた。
「…もうすぐ、ここに警察が来るんだ…僕は捕まっても、罪に問われない。そう、振り子が教えてくれたんだ…僕は罪を償う…だから、今から死ぬね」
小羽はそう言うと、健太に背を向けた。
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