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運命の人
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「いいわよ」
「やった!」
霞は大はしゃぎで糸で括ったガラスを平仮名が書いてある紙の上に垂らした。
「霞、落ち着かないとダウジングはできないわよ」
はしゃいでいるせいで、霞が摘まむ糸の先のガラスはくるくると揺れ続けている。
「最初は振り子の揺れを止めないとね」
すみれが笑顔で言った。
「振り子?」
初めて聞く言葉に、霞は首を傾げた。
「霞が握ってるそれだよ。ママのも振り子って言うんだよ」
すみれは首にぶら下げているクリスタルを掴んだ。昨日、ダウジングで使ったクリスタルだ。
「振り子って言うんだ」
霞は名前の分かった振り子を見詰めた。振り子は揺れている。霞は振り子が止まるまで見詰め続けた。
「止まったよ。ママ、もう質問していい?」
「うん、もう大丈夫だよ」
すみれは笑顔で頷いた。
「霞のパパの名前はなーに?」
霞はひらがなを順に辿るように、振り子を動かした。
「…あれ?」
最後に書いてある『ぽ』の文字に辿り着いた霞は首を傾げた。
昨日は回った。振り子は一度も回る事なく、最後の文字に行き着いたのだ。最後の文字の上でも回ってはいない。
「ママ…霞、天使じゃ無くなったのかな?」
霞は泣きそうな顔で問い掛けた。
「…ママの振り子で、もう一度やってごらん」
すみれは首から下げている、クリスタルの振り子を霞に手渡した。
「…うん…やってみる」
力を失ったと思った霞は、力無く振り子を垂らした。
「…霞のパパの名前はなーに?」
霞の顔付きが変わった。
「…回った!回ったよママ!」
振り子は『あ』の上で激しく回っている。
「回ってるわね。続けて」
「うん!」
振り子が回った事で元気を取り戻した霞は、大きく頷いた。
「…ら…が…き…し…ゅ…ん…あらがきしゅん!パパの名前だ!」
霞は両手を振って喜んでいる。
「良かったね、霞は天使のままだね」
すみれは霞の嬉しそうにはしゃぐ姿を見て、自分の事のように喜んだ。
「うん!霞は天使!…でも、何で霞が作った振り子は動かなかったのかな?」
霞はふっくらと柔らかそうな頬に人差し指を当て、首を傾げた。
「やった!」
霞は大はしゃぎで糸で括ったガラスを平仮名が書いてある紙の上に垂らした。
「霞、落ち着かないとダウジングはできないわよ」
はしゃいでいるせいで、霞が摘まむ糸の先のガラスはくるくると揺れ続けている。
「最初は振り子の揺れを止めないとね」
すみれが笑顔で言った。
「振り子?」
初めて聞く言葉に、霞は首を傾げた。
「霞が握ってるそれだよ。ママのも振り子って言うんだよ」
すみれは首にぶら下げているクリスタルを掴んだ。昨日、ダウジングで使ったクリスタルだ。
「振り子って言うんだ」
霞は名前の分かった振り子を見詰めた。振り子は揺れている。霞は振り子が止まるまで見詰め続けた。
「止まったよ。ママ、もう質問していい?」
「うん、もう大丈夫だよ」
すみれは笑顔で頷いた。
「霞のパパの名前はなーに?」
霞はひらがなを順に辿るように、振り子を動かした。
「…あれ?」
最後に書いてある『ぽ』の文字に辿り着いた霞は首を傾げた。
昨日は回った。振り子は一度も回る事なく、最後の文字に行き着いたのだ。最後の文字の上でも回ってはいない。
「ママ…霞、天使じゃ無くなったのかな?」
霞は泣きそうな顔で問い掛けた。
「…ママの振り子で、もう一度やってごらん」
すみれは首から下げている、クリスタルの振り子を霞に手渡した。
「…うん…やってみる」
力を失ったと思った霞は、力無く振り子を垂らした。
「…霞のパパの名前はなーに?」
霞の顔付きが変わった。
「…回った!回ったよママ!」
振り子は『あ』の上で激しく回っている。
「回ってるわね。続けて」
「うん!」
振り子が回った事で元気を取り戻した霞は、大きく頷いた。
「…ら…が…き…し…ゅ…ん…あらがきしゅん!パパの名前だ!」
霞は両手を振って喜んでいる。
「良かったね、霞は天使のままだね」
すみれは霞の嬉しそうにはしゃぐ姿を見て、自分の事のように喜んだ。
「うん!霞は天使!…でも、何で霞が作った振り子は動かなかったのかな?」
霞はふっくらと柔らかそうな頬に人差し指を当て、首を傾げた。
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