約束ノート

約束ノート

6

「…みんな、俺の為に集まってくれてありがとうございます。みんなには感謝してもしきれないくらい感謝しています。ありがとう」

　健太は真っ直ぐな瞳で感謝の言葉を綴った。
　拍手が起こった。そして暫く鳴り続けた拍手の音が止み、誕生日パーティーは終了した。
　義樹の一家はゲストハウスに泊まる予定になっている。健太も大学時代まで使っていた、自分の部屋に泊まる事にした。
　部屋の中は綺麗に掃除されており、昔となんら変化はない。まるで大学時代に戻ったような錯覚に陥った。健太は幸せな寝顔を浮かべ、ゆっくりと体を休めた。
　翌日。健太は結衣と利樹と共に、映画館に来ていた。利樹が見たがっていた戦隊ヒーローの映画を見る為に来ている。結衣は同じフロアーで上映している、今話題の恋愛物を見たがったが、健太の説得により、渋々一緒に戦隊ヒーローの映画を見た。
　映画を見終わった三人は、遅めの昼食を食べに隣接している喫茶店に入った。
　結衣は利樹に負けないくらい目を輝かせ、食べる事を忘れたように、興奮しながら今見た映画の話をしている。健太はそんな二人を優しい笑顔で見詰めていた。
　昼食を食べ終え、三人は健太の実家に帰ってきた。時刻は午後三時を回っている。
　リビングに昨日の誕生日パーティーの面子が集まり、一時間程談笑した後、義樹一家は帰って行った。
　三時間後。家族と夕飯を共にした健太は、一人暮らしをしているアパートに帰る事にした。
　結衣は今日も泊まっていけと懇願したが、会社で使う資料を作らなければならない健太は、結衣達に別れを告げた。
　春馬に駅まで車で送ってもらい、一時間半程電車に揺られると、アパートの最寄りの駅に着いた。駅からアパートまではさほど距離はない。健太はゆっくりと歩きながら帰った。