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最後に笑うのは
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忘れる。脳内で笑顔で笑う自分を見ているうちに、美玲は自分が感情を持たずに産まれた事実を忘れてしまった。そして脳内に映る自分自身に合わせるように、立ったまま目を閉じる美玲の顔が、笑顔になった。それは作り物ではない。自然な笑顔だ。
「目を開けても、私達はずっと家族だよ。ペコもパパもずっと家族だからね」
その言葉に、美玲は笑顔で頷いた。
「目を開けて」
導くように、その言葉が告げられた。
ゆっくりと開かれた美玲の瞳は、何かを探すように辺りを見ている。
「美玲さん、寝てたの?」
そう尋ねた、視線の先に座る伊織は、優しげな表情をしている。
探していた家族の一人を見付け、その美しい顔に宿した美玲の笑顔が、さらに幸せなものになった。
「寝ていたみたいだな。皇伊織、おはようございます」
親しき仲にも礼儀あり。美玲はきっちりと横に両手を揃え、頭を下げた。
「美玲さん、疲れてるでしょう?ソファーに座れば?」
ぽっかりと空いた美玲が座っていた対面のソファー。隣にはペコが座っている。そこに向け、伊織は広げた手を差し向けた。
「うむ。そう言えば、疲れている気がするな。座るとしよう」
立ちながら寝ていたのだ。倒れまいと無意識に踏ん張っていた為、多少の疲労感を感じているのは事実。伊織は催眠術を掛ける入り口として、その事実を利用した。
誰よりも幸せそうな笑顔。先程まで笑う事が出来なかった者の表情とは思えない笑顔がそこにはある。
「目を開けても、私達はずっと家族だよ。ペコもパパもずっと家族だからね」
その言葉に、美玲は笑顔で頷いた。
「目を開けて」
導くように、その言葉が告げられた。
ゆっくりと開かれた美玲の瞳は、何かを探すように辺りを見ている。
「美玲さん、寝てたの?」
そう尋ねた、視線の先に座る伊織は、優しげな表情をしている。
探していた家族の一人を見付け、その美しい顔に宿した美玲の笑顔が、さらに幸せなものになった。
「寝ていたみたいだな。皇伊織、おはようございます」
親しき仲にも礼儀あり。美玲はきっちりと横に両手を揃え、頭を下げた。
「美玲さん、疲れてるでしょう?ソファーに座れば?」
ぽっかりと空いた美玲が座っていた対面のソファー。隣にはペコが座っている。そこに向け、伊織は広げた手を差し向けた。
「うむ。そう言えば、疲れている気がするな。座るとしよう」
立ちながら寝ていたのだ。倒れまいと無意識に踏ん張っていた為、多少の疲労感を感じているのは事実。伊織は催眠術を掛ける入り口として、その事実を利用した。
誰よりも幸せそうな笑顔。先程まで笑う事が出来なかった者の表情とは思えない笑顔がそこにはある。
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