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ぴくりと反応した玲那は、確かめるようにゆっくりと答えた。
「…うん」
「そうかそうか、玲那は父さんが大好きなんだな」
玲那の答えがお気に召したのか、宗二は実に楽しそうだ。
宗二の皿のパセリを除けば、テーブルの上の料理は空になっている。
「よし、ごちそうさまだ」
宗二が言った。
大輝は神に感謝するかのように、真剣な顔付きで両手を合わせた。
玲那は顔の前で手の平同士を軽く合わせ、ごちそうさまと呟いた。
宗二は二人のように手を合わせる事は無く、にへにへとした笑顔で二人の仕草を見ている。
こうして、異様な光景を繰り広げていた家族団欒の食事が終わった。
大輝と玲那が空になった食器を台所のシンクまで運んだ。夕飯で使った食器は、朝に来る秀子が洗ってくれている。
「…おやすみ」
何か言いたげな顔をしながら、大輝の顔を見詰めていた玲那は、結局は挨拶をしただけで、自分の部屋へと戻って行った。
大輝は恭子の所へ向かうべく、宗二の寝室を目指して廊下を歩いている。前方に、杖を突きゆっくり廊下を歩く宗二の姿があった。
「おんぶしようか?」
大輝は、足を引き摺る姿を見て不憫に思ったのだろう。
「いや、大丈夫だ…なぁ、大輝。恭子ちゃんが終わったら、玲那もやりたいんだが、手伝ってくれないか?」
「やるって何をやるの?」
大輝は意味が分からず、首を傾げている。
「恭子ちゃんにやる事と同じ、楽しい事だよ」
宗二はそれを想像しているのか、実に幸せそうな表情を浮かべている。
「楽しい事なんだ。玲那も喜ぶね。勿論、手伝うよ」
それが何かを忘れている大輝は、玲那が楽しむ姿を思い浮かべ、幸せそうな笑顔を浮かべた。
「…うん」
「そうかそうか、玲那は父さんが大好きなんだな」
玲那の答えがお気に召したのか、宗二は実に楽しそうだ。
宗二の皿のパセリを除けば、テーブルの上の料理は空になっている。
「よし、ごちそうさまだ」
宗二が言った。
大輝は神に感謝するかのように、真剣な顔付きで両手を合わせた。
玲那は顔の前で手の平同士を軽く合わせ、ごちそうさまと呟いた。
宗二は二人のように手を合わせる事は無く、にへにへとした笑顔で二人の仕草を見ている。
こうして、異様な光景を繰り広げていた家族団欒の食事が終わった。
大輝と玲那が空になった食器を台所のシンクまで運んだ。夕飯で使った食器は、朝に来る秀子が洗ってくれている。
「…おやすみ」
何か言いたげな顔をしながら、大輝の顔を見詰めていた玲那は、結局は挨拶をしただけで、自分の部屋へと戻って行った。
大輝は恭子の所へ向かうべく、宗二の寝室を目指して廊下を歩いている。前方に、杖を突きゆっくり廊下を歩く宗二の姿があった。
「おんぶしようか?」
大輝は、足を引き摺る姿を見て不憫に思ったのだろう。
「いや、大丈夫だ…なぁ、大輝。恭子ちゃんが終わったら、玲那もやりたいんだが、手伝ってくれないか?」
「やるって何をやるの?」
大輝は意味が分からず、首を傾げている。
「恭子ちゃんにやる事と同じ、楽しい事だよ」
宗二はそれを想像しているのか、実に幸せそうな表情を浮かべている。
「楽しい事なんだ。玲那も喜ぶね。勿論、手伝うよ」
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