殺しの美学

村上未来

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報い

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「…乗せる時は抵抗したけど、今は大人しくしてるよ」

「そう…夢山、計画はちゃんと頭に入ってるよね?」

「…うん、大丈夫」

 夢山は憂鬱そうに答えた。

「じゃあ、計画通りうまくやってね。また連絡ちょうだい」

 茜はそう言い残し、電話を切った。

「…おい神宮、お嬢さんは何だって?」

 車を運転している派手なシャツの男が、煙草を吹かし、夢山にちらりと視線を送った。

「…計画通りうまくやってくれって言ってました」

 夢山は力無く答えた。

「計画通りね…うまく言ったら億の金が手には入るんだよな!笑いが止まらねぇや!はははは!」

 派手なシャツの男は、ハンドルを握りながら高笑いをした。 

「柳田!運転に集中しねえか!」

 後部座席の右に座り、竜二の腹に銃を当てている男が怒鳴った。三十代半ば程に見える男は、いかにもその筋といった風貌をしている。

「兄貴、すいません!」

 派手なシャツを着ている柳田は、背筋をピンと伸ばした。

「…まだ着かねぇのか?」

 後部座席の左に座る男が、冷静な口調で尋ねた。キツネのような顔立ちのこの男も、三十代半ばぐらいに見える。

「…間もなく着きます」

 柳田は怯えながら、バックミラー越しに、キツネ目の男に視線を送った。

「…御堂、やけに落ち着いてるじゃねぇか?」

 柳田に兄貴と呼ばれている黒川は、キツネ目の男に話し掛けた。

「…黒川、お前は焦っているのか?」

 御堂は眉をぴくりと上げた。

「別に焦ってはいねぇよ…ただ、堅気に手を出すのは、俺のポリシーに反する」

 黒川は、隣で怯えきる竜二に哀れみの視線を送った。
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