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1章
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『ケンさん。今日は、流歌ちゃんです♪ 優しくしてあげてくださいね♡』
そう彩海に夕食の後に告げられてから二時間。
健太郎はお風呂上りから、自分の寝室に戻れず、キッチンスペースのソファーに腰掛け、ちびちびとエールを喉に流し込んでいた。
——なんでそんな思い切りがいいんだよ、お前ら…
そう独り言ち、がっくりと首をうなだれる。
まさか二夜連続とは。
そもそもの話、希望者なんて彩海だけで終わりだと思っていた。
ただ、契約の疼きのきつさは噂には聞いているし、自身も前世の後遺症である性的な疼きを経験していることもあり、なるべく受け入れやすい環境は用意したつもりだ。
いや、一応嬉しくはある。
先んじた通り、健太郎は日ごろからムラムラが溜まっている状態のため、女を求めていたのは間違いない。そしてとうとう昨夜は念願の童貞を卒業を果たした。
——果たしたからかもしれないな。
また、ちび、とエールでのどを潤す程度飲み込み、ジョッキを口に当てたまま、思考の渦に入る。
——別に俺はSEXすれば後遺症が治るってわけじゃないんだが、若干頭の中の霞みたいなものは取れたような気分ではあるんだよな。それで少し冷静になったというか。
妙に罪悪感が先行してしまう。
こんなおっさんに、仕方ないとはいえ、多感な時分の少女が自ら股を広げて、肉棒をせがまないといけないなんて。
トラウマものではないだろうか。彼女たちの心に傷を残さなければいいのだがーーなんて物思いに耽りながら、健太郎はやっとジョッキを口から離し、そのままソファーに倒れるようにもたれかかる。
そんな考えに没頭していたからか。
「彼女」は寝室を訪れるに違いないという思い込みからか。
健太郎はやっと——キッチンスペースの入り口にもたれかかり、こちらを熱っぽい視線でじっと見ている流歌に気付いた。
「っ!?」
年回りが一回りも小さい女子に、姿を見かけただけで、動揺してしまうのはかなり情けなく健太郎は思いはするものの、思わずどきりとしてしまうのを止めることはできなかった。
健太郎から見た流歌の印象は、いつも好奇心旺盛な笑みを浮かべ、グイグイと話のペースを持っていってしまう、おじさんが相手をするには荷が重い、まさに若さのブランドJK少女。それが健太郎の知る「神谷 流歌」だ。
決して、明らかに用がある相手に、物怖じして話しかけられないタイプではない。
しかも、その話しかけられない理由が「恥ずかしいから」なんて想像もできない。
けれど。
——なんで、そんな顔真っ赤なのよ、お前…
呆然と見る健太郎の視線の先には、健太郎に見つかってからも全く身動きが取れず、顔を赤くして、俯き、目を大きく見開いて羞恥に耐え続けることに必死な少女がたたずんでいた。
見間違いではなく、流歌だ。
彼女のその内心は、外見から察する通り、大混乱の中にいた。
(えぇ…えええええっ…!? こ、これ、恥ずかしい!? あれ!? いや、もっと軽く「勢いで行っちゃえ」って、言ってたじゃん? いや、無理だわ!? だって、あーしおじさんの顔もう見れないよ! うわ、もうだめだ…恥ずい恥ずい恥ずい恥ずいっ恥ずいっ恥ずいっ!)
彼女は夕食を食べた後、やはり女子としては身だしなみは気になり、二回お風呂に入り、歯を磨き、もう一度お風呂に入ってから、「よしっ」と気合を入れて、健太郎の思惑通り寝室に向かっていた。
いや、身だしなみはもちろんだが、こんなにしつこくお風呂に入ったのは、放っておくと「これから健太郎のおちんぽを自分のおまんこに出し入れしてもらう」という妄想にすぐ陥ってしまいーー結果内股に粘着質の液体が流れ、ショーツはぐしょ濡れになり、女の茂みは愛液で汚れる、ということが何回も繰り返されたからだ。
お風呂に入り直し、もう大丈夫だと思っても、流歌がしばらく歩いていると、足をすり合わせるたびに「くちっ、ぷちゃ」と淫らな水音が響き始める。
そして3回お風呂に入った後、もう流歌は自身の秘奥が濡れそぼるのを諦め、健太郎にその痴態を晒す覚悟を決めた。
履き替えたショーツも結局、今も愛液が零れ落ちる程液塗れになっている。
そんな状態で、ふと、寝室の前にキッチンスペースで酒を飲む健太郎を見かけ、ここで声をかけるべきか、健太郎が寝室に戻るまで出直すか、そんな思考に陥る前に、流歌は健太郎のエールを飲み干す喉仏の嚥下する動きに、ピクリと反応し、ジョッキを掲げる腕の、筋肉質な、それでいて年季を感じる二の腕に釘付けになる。
——実のところ、流歌は中年と呼ばれる男性は元々苦手だ。
あけっぴろげな性格は、元々だが、それも自己のトラウマを誤魔化すためのものでしかない。
実の父親に性的虐待を受けそうになったのは中学2年のころ。
そのころすでに胸も大きくなっており、身体だけならグラビアに出れる、男好きする見た目をしていた彼女は、元々家族に手をあげることの多かった父から、暴力の対象ではなく性的な対象に見られることは、目に見えていたし、実際に組み敷かれる寸前までいったのだ。
——あの時の背けた顔に吐き掛けられた臭くて荒い吐息が耳を離れない。
何とか逃げおおせ、親せきの家に退避したが、その家の叔父さんからも、やはり同じような視線を感じ、事故を装って風呂を覗かれたり、洗濯籠に入れていた下着を盗まれ、白い白濁液まみれになって自分の机の上に置かれていたのを目撃してから、その家も出た。
それから友達の家を転々とし、それでも道行く親父どもは、飽きもせず同じ下劣な視線を胸元や、短いスカートから零れるムチムチの太ももに注がれる。
——もう自分はそういう風にみられる人間なんだ。
そう自暴自棄になり、いっそのこと、と友達に誘われるまま円光に走る寸前だった彼女は、何の運命か、異世界に呼びだされ、そして健太郎に出会う。
流歌にとって、健太郎は初めて出会うタイプの年上の男性だった。
エッチな目はたまにするが、それもほかの親父のようなねっとり気持ち悪いものではなく、妙に喜びが先に立つのか、嬉しそうにするその表情は、いっそ可愛く見え、そのくせ、本当に「ラッキースケベ」的な状況に陥りそうな場面ではこちらを気遣い、性的な状況にならないようふるまってくれる。
——大事にされている。
その感覚を年上の男性から感じるのが、とても新鮮で、そして本当に嬉しかった。
元々実の父親から親らしき愛情を受けてこなかった彼女は、父親からの愛情に飢えていたことは想像に難くない。
そんな感情が積み重なり、健太郎の挙動一つ一つに色気を感じ、もともと性的な嗜好自体への好奇心は人一倍強い流歌は、自身の契約による疼きもあいまり、健太郎との性的な交わりをいつしか日常的に妄想する癖ができていた。
例えば、健太郎がトイレに立つのを見かけ、そのまま自分がついていき、お小水を出し終わった後は、別の気持ちい汁を搾り取ってあげるシチュエーションだったりーー
自分がお風呂で髪を洗っているときに、健太郎に突然後ろから抱きすくめられ、そのままうつ伏せに組み敷かれ、足を無理やりこじ開けられて、自分の股の付け根に、健太郎の熱いものが押し当てられるシチュエーションや——
もちろんそんなことを考えれば、ヴァギナが反応して愛液を大量分泌するのは避けられず、そのまま流歌はこっそり自身の手を股間の奥に潜り込ませ、自慰にふける毎日を送っていた。
そんな健太郎と、今日とうとう一つになる。
——とうとう、処女を捧げるんだ。
そう、流歌は処女だった。
よく今まで守り通せたものだと、自分を褒めてあげたい。健太郎は、もしかすると非処女の方が面倒なくて好みだったかもしれないが、流歌はやはり最初は好きな人と、というほぼ諦めていた夢が叶う感触を噛みしめていた。
正直言えば、さすがに恋をする、というほど健太郎に想いを寄せているかといえば、その途上だろうか。女として欲情はしているものの、心の底からこの人と恋人になりたいという熱い気持ちは、少し不足しているだろう。
ただ、行く行くそうなるのではないか、という期待感を流歌は健太郎に感じている。
元の世界のころから、流歌は周りからも、軽くてビッチなギャルのイメージが常だったし、それを否定もしなかった。間違いなく自分は慎み深い女ではないし、ちょっとエッチな性格をしていることも自覚していたからだ。それに、遅かれ早かれ自分はどこかの親父に躰を穢されるのだろうから、少女漫画のような、綺麗な体験は望めないと確信していたので、どの面下げて純情ぶるのか、と自嘲するような気持ちですらあった。
健太郎に寄せている一番近い感情表現をあえて言うなら「過激すぎる父性の欲求」だろうか。
流石に自分の父親になってほしいとは思っていないが、心の奥底に潜む脆い少女のような自分を、包み支えてくれる男性像を健太郎に求めているのは確かだ。
——だって優しくしてくれた。
もちろん同居している女の子たちもみんな優しい。
でも健太郎の優しさは、おそらく先を見据えて深く関わらないでおくよう、心の距離感をとるため、日頃素気無く、つれない態度をとることが多い健太郎だが、無関係を装いながら、そっと用意されている暖かいコーヒーのような、隠しきれない優しさを日々感じてきた。
今までの親父どもの見せる優しさは、流歌の体をしゃぶりつくすための見え透いた下心からのものばかりだった。
自分は単純かもしれない。全く耐性のない年上の男性のさり気ない優しさに、コロッといかれてしまったのだから。
でも——それでも流歌は健太郎に自分の大切なものを捧げることに躊躇はない。
まだ恋心ではなくとも、これを恋心に育てることは、もう決めたのだから。
ギシ。
ずっと立ち尽くし呆けていた流歌が、ようやっと、とうとう、その足を健太郎に向けた。
ギシ。
普段は意識しない床の木の板の軋む音が、流歌と健太郎の耳に妙に響く。
ギシ。
それは、流歌が、ワザとなのか、無意識なのか殊更ゆっくり足を一歩一歩踏み出してくるためでもあり。
ギシ。
彼女のもう俯いてない、健太郎を見据えるその瞳に、隠しきれない熱が込められていて、その熱の欲するところに、もう二人とも気付いているから。
ギシ。
二人の間の距離がゼロになったその時、健太郎からすれば「再び」のーー流歌からすれば「初めて」の淫靡な饗宴が始まるのだという、その期待感が、耳の感覚を鋭敏にさせている。
ギシ。
鋭敏になれば、聞こえてくるものはより多くなっていく。
ドクン。ドックン。ドクン。ドクン。
体中の血液の流れる鼓動が、耳元で響く。心臓の音を耳の中に感じる。血流が集まっているのか、耳の温度が急激に高まり、熱いくらいの体温を感じる。
ドクドクドクドクドクドクドクドク…
熱いのが顔全体に広がる。脳に近い体温が急激に上がり、思考がぼんやりとし始める。
ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ
荒い吐息、
ゴクン
乾く喉、
じゅわと熱く目の奥が蒸し、刺激された涙腺から、涙ではない熱い汗のような液体が溢れる。
——もう、何も考えられないよ…
——そんな貌されて、大人しくできる訳ねぇだろ…
二人の思考は、最早一点の欲求において体より先につながる——早くSEXがしたくて堪らない。
そして、お互い惹かれあうがままに、距離はなくなり、今。
座り込む健太郎の眼前には、匂い立つJKのむっちりとした太ももが、ミニスカートから延び、その内側に目をよく凝らせば、鈍く光る熱い雫がねっとりと垂れ流れていた。
いまだソファーに座り込む健太郎に、流歌は半ば血走った目を向け、彼の視線を問いただす。
「…何、見てるの…?」
聞いておきながら、流歌は知っている。健太郎の視界に何が映っているのか。
だって感じる。自分の内ももに、もう限界まで水分を吸いとったショーツから、耐え切れなくなったように愛液がねっとりと流れるのが。今この瞬間も女子校生のショーツから染み出て、スカートの内側から外に顔を出し、むっちりした内もも同士が密着する谷間に沿うように「ぬるり」と伝う、生暖かく、股間を熱くさせる淫液が、健太郎の目の前にさらされているのだろう。
でも聞かずにはいられなかった。
それは「羞恥心」からであったし、流歌の痴態を目にした健太郎が自分に欲情してくれるのではないか、という「期待」からでもあった。
事実、流歌が健太郎に「欲情の確認」をした瞬間、流歌の膣内の愛液の分泌量はさらにじゅわりと増大した。
健太郎は、けれど応えず、応える言葉を持たず、流歌の問いかけを無視する形で、逆に問いかけた。
「…お前、なんで、制服…」
そう。流歌は今、元々の世界の高校で着ていた女子校生のブレザーの制服を着ていた。
普段は、汚れるからと言って、彼女たちは全員この世界に来た時に着ていた服は大事にしまい、こちらの世界で健太郎がひとまず用意した簡素な女性ものの服を着用していた。
だから、健太郎が流歌のJK制服姿を拝んだのはそれなりに久しぶりのことだった。
元の世界では好んでJKもののAVを見ていた健太郎にとって、もう女子校生の制服姿とは性的な対象でしかなく、さらにちゃんとスカートとしての機能を果たしているのか、かなり疑問になるチェックの超ミニがさらに健太郎の股間を刺激する。
「…」
答えなかった健太郎の、その「答え」で、しっかり健太郎が想像通り自身の痴態に気付いていることを知った流歌は、もちろん羞恥に頭が焼き切れるかと思うほどだったが、すでにその脳みそは性的欲求で埋め尽くされており、見た目上は特に際立った動揺は見られない。ずっと見て取れる上気した興奮を除けば。
いまだ座り込んだままの健太郎と、いまだ立ち続けたままの流歌はほとんど密着状態に近く、健太郎の鼻先に短いスカートの裾が擦れる程になっていた。
——こいつ、わざとスカートを顔に押し付けて来ているな…
思い切り身体を押し付けるわけではなく、ただ、健太郎の鼻先にスカートの先が掠るのを楽しむように、ふらふらと流歌は体を揺らし、そのたびに健太郎の鼻先にスカートが触れ、触れるたびに、そのスカートの奥から匂い立つメスガキの甘く蒸れたそれが、鼻から直接脳に響き、痺れるように思考に靄がかかる。
——JKの臭い。
普通に生きていたらまず嗅ぐことの無かっただろう、JKのスカートの中。今は加えて発情し、愛液に塗れた女子校生のショーツの臭い。顔全体をJKの生暖かい、少し湿り気もある体温が撫でる。むわっとしたこれは、この発生源は女子校生のショーツの奥——JKまんこだ。
(匂い…嗅がれてる…)
もちろんそんな健太郎の仕草は当然流歌には伝わっている。伝わっている上で、彼女は健太郎の顔面に自分のスカートを蕩けた目をしながら擦り付けていた。
その行為は、気分的には自身の性器を健太郎の顔面にこすり付けてオナニーしているに等しい。
(…エッロ…)
JKの臭いを嗅いでいる健太郎が、というより、嗅がせている自分も含めたこの情景が、たまらなく淫靡で、愛おしかった。
『ケンさん。今日は、流歌ちゃんです♪ 優しくしてあげてくださいね♡』
そう彩海に夕食の後に告げられてから二時間。
健太郎はお風呂上りから、自分の寝室に戻れず、キッチンスペースのソファーに腰掛け、ちびちびとエールを喉に流し込んでいた。
——なんでそんな思い切りがいいんだよ、お前ら…
そう独り言ち、がっくりと首をうなだれる。
まさか二夜連続とは。
そもそもの話、希望者なんて彩海だけで終わりだと思っていた。
ただ、契約の疼きのきつさは噂には聞いているし、自身も前世の後遺症である性的な疼きを経験していることもあり、なるべく受け入れやすい環境は用意したつもりだ。
いや、一応嬉しくはある。
先んじた通り、健太郎は日ごろからムラムラが溜まっている状態のため、女を求めていたのは間違いない。そしてとうとう昨夜は念願の童貞を卒業を果たした。
——果たしたからかもしれないな。
また、ちび、とエールでのどを潤す程度飲み込み、ジョッキを口に当てたまま、思考の渦に入る。
——別に俺はSEXすれば後遺症が治るってわけじゃないんだが、若干頭の中の霞みたいなものは取れたような気分ではあるんだよな。それで少し冷静になったというか。
妙に罪悪感が先行してしまう。
こんなおっさんに、仕方ないとはいえ、多感な時分の少女が自ら股を広げて、肉棒をせがまないといけないなんて。
トラウマものではないだろうか。彼女たちの心に傷を残さなければいいのだがーーなんて物思いに耽りながら、健太郎はやっとジョッキを口から離し、そのままソファーに倒れるようにもたれかかる。
そんな考えに没頭していたからか。
「彼女」は寝室を訪れるに違いないという思い込みからか。
健太郎はやっと——キッチンスペースの入り口にもたれかかり、こちらを熱っぽい視線でじっと見ている流歌に気付いた。
「っ!?」
年回りが一回りも小さい女子に、姿を見かけただけで、動揺してしまうのはかなり情けなく健太郎は思いはするものの、思わずどきりとしてしまうのを止めることはできなかった。
健太郎から見た流歌の印象は、いつも好奇心旺盛な笑みを浮かべ、グイグイと話のペースを持っていってしまう、おじさんが相手をするには荷が重い、まさに若さのブランドJK少女。それが健太郎の知る「神谷 流歌」だ。
決して、明らかに用がある相手に、物怖じして話しかけられないタイプではない。
しかも、その話しかけられない理由が「恥ずかしいから」なんて想像もできない。
けれど。
——なんで、そんな顔真っ赤なのよ、お前…
呆然と見る健太郎の視線の先には、健太郎に見つかってからも全く身動きが取れず、顔を赤くして、俯き、目を大きく見開いて羞恥に耐え続けることに必死な少女がたたずんでいた。
見間違いではなく、流歌だ。
彼女のその内心は、外見から察する通り、大混乱の中にいた。
(えぇ…えええええっ…!? こ、これ、恥ずかしい!? あれ!? いや、もっと軽く「勢いで行っちゃえ」って、言ってたじゃん? いや、無理だわ!? だって、あーしおじさんの顔もう見れないよ! うわ、もうだめだ…恥ずい恥ずい恥ずい恥ずいっ恥ずいっ恥ずいっ!)
彼女は夕食を食べた後、やはり女子としては身だしなみは気になり、二回お風呂に入り、歯を磨き、もう一度お風呂に入ってから、「よしっ」と気合を入れて、健太郎の思惑通り寝室に向かっていた。
いや、身だしなみはもちろんだが、こんなにしつこくお風呂に入ったのは、放っておくと「これから健太郎のおちんぽを自分のおまんこに出し入れしてもらう」という妄想にすぐ陥ってしまいーー結果内股に粘着質の液体が流れ、ショーツはぐしょ濡れになり、女の茂みは愛液で汚れる、ということが何回も繰り返されたからだ。
お風呂に入り直し、もう大丈夫だと思っても、流歌がしばらく歩いていると、足をすり合わせるたびに「くちっ、ぷちゃ」と淫らな水音が響き始める。
そして3回お風呂に入った後、もう流歌は自身の秘奥が濡れそぼるのを諦め、健太郎にその痴態を晒す覚悟を決めた。
履き替えたショーツも結局、今も愛液が零れ落ちる程液塗れになっている。
そんな状態で、ふと、寝室の前にキッチンスペースで酒を飲む健太郎を見かけ、ここで声をかけるべきか、健太郎が寝室に戻るまで出直すか、そんな思考に陥る前に、流歌は健太郎のエールを飲み干す喉仏の嚥下する動きに、ピクリと反応し、ジョッキを掲げる腕の、筋肉質な、それでいて年季を感じる二の腕に釘付けになる。
——実のところ、流歌は中年と呼ばれる男性は元々苦手だ。
あけっぴろげな性格は、元々だが、それも自己のトラウマを誤魔化すためのものでしかない。
実の父親に性的虐待を受けそうになったのは中学2年のころ。
そのころすでに胸も大きくなっており、身体だけならグラビアに出れる、男好きする見た目をしていた彼女は、元々家族に手をあげることの多かった父から、暴力の対象ではなく性的な対象に見られることは、目に見えていたし、実際に組み敷かれる寸前までいったのだ。
——あの時の背けた顔に吐き掛けられた臭くて荒い吐息が耳を離れない。
何とか逃げおおせ、親せきの家に退避したが、その家の叔父さんからも、やはり同じような視線を感じ、事故を装って風呂を覗かれたり、洗濯籠に入れていた下着を盗まれ、白い白濁液まみれになって自分の机の上に置かれていたのを目撃してから、その家も出た。
それから友達の家を転々とし、それでも道行く親父どもは、飽きもせず同じ下劣な視線を胸元や、短いスカートから零れるムチムチの太ももに注がれる。
——もう自分はそういう風にみられる人間なんだ。
そう自暴自棄になり、いっそのこと、と友達に誘われるまま円光に走る寸前だった彼女は、何の運命か、異世界に呼びだされ、そして健太郎に出会う。
流歌にとって、健太郎は初めて出会うタイプの年上の男性だった。
エッチな目はたまにするが、それもほかの親父のようなねっとり気持ち悪いものではなく、妙に喜びが先に立つのか、嬉しそうにするその表情は、いっそ可愛く見え、そのくせ、本当に「ラッキースケベ」的な状況に陥りそうな場面ではこちらを気遣い、性的な状況にならないようふるまってくれる。
——大事にされている。
その感覚を年上の男性から感じるのが、とても新鮮で、そして本当に嬉しかった。
元々実の父親から親らしき愛情を受けてこなかった彼女は、父親からの愛情に飢えていたことは想像に難くない。
そんな感情が積み重なり、健太郎の挙動一つ一つに色気を感じ、もともと性的な嗜好自体への好奇心は人一倍強い流歌は、自身の契約による疼きもあいまり、健太郎との性的な交わりをいつしか日常的に妄想する癖ができていた。
例えば、健太郎がトイレに立つのを見かけ、そのまま自分がついていき、お小水を出し終わった後は、別の気持ちい汁を搾り取ってあげるシチュエーションだったりーー
自分がお風呂で髪を洗っているときに、健太郎に突然後ろから抱きすくめられ、そのままうつ伏せに組み敷かれ、足を無理やりこじ開けられて、自分の股の付け根に、健太郎の熱いものが押し当てられるシチュエーションや——
もちろんそんなことを考えれば、ヴァギナが反応して愛液を大量分泌するのは避けられず、そのまま流歌はこっそり自身の手を股間の奥に潜り込ませ、自慰にふける毎日を送っていた。
そんな健太郎と、今日とうとう一つになる。
——とうとう、処女を捧げるんだ。
そう、流歌は処女だった。
よく今まで守り通せたものだと、自分を褒めてあげたい。健太郎は、もしかすると非処女の方が面倒なくて好みだったかもしれないが、流歌はやはり最初は好きな人と、というほぼ諦めていた夢が叶う感触を噛みしめていた。
正直言えば、さすがに恋をする、というほど健太郎に想いを寄せているかといえば、その途上だろうか。女として欲情はしているものの、心の底からこの人と恋人になりたいという熱い気持ちは、少し不足しているだろう。
ただ、行く行くそうなるのではないか、という期待感を流歌は健太郎に感じている。
元の世界のころから、流歌は周りからも、軽くてビッチなギャルのイメージが常だったし、それを否定もしなかった。間違いなく自分は慎み深い女ではないし、ちょっとエッチな性格をしていることも自覚していたからだ。それに、遅かれ早かれ自分はどこかの親父に躰を穢されるのだろうから、少女漫画のような、綺麗な体験は望めないと確信していたので、どの面下げて純情ぶるのか、と自嘲するような気持ちですらあった。
健太郎に寄せている一番近い感情表現をあえて言うなら「過激すぎる父性の欲求」だろうか。
流石に自分の父親になってほしいとは思っていないが、心の奥底に潜む脆い少女のような自分を、包み支えてくれる男性像を健太郎に求めているのは確かだ。
——だって優しくしてくれた。
もちろん同居している女の子たちもみんな優しい。
でも健太郎の優しさは、おそらく先を見据えて深く関わらないでおくよう、心の距離感をとるため、日頃素気無く、つれない態度をとることが多い健太郎だが、無関係を装いながら、そっと用意されている暖かいコーヒーのような、隠しきれない優しさを日々感じてきた。
今までの親父どもの見せる優しさは、流歌の体をしゃぶりつくすための見え透いた下心からのものばかりだった。
自分は単純かもしれない。全く耐性のない年上の男性のさり気ない優しさに、コロッといかれてしまったのだから。
でも——それでも流歌は健太郎に自分の大切なものを捧げることに躊躇はない。
まだ恋心ではなくとも、これを恋心に育てることは、もう決めたのだから。
ギシ。
ずっと立ち尽くし呆けていた流歌が、ようやっと、とうとう、その足を健太郎に向けた。
ギシ。
普段は意識しない床の木の板の軋む音が、流歌と健太郎の耳に妙に響く。
ギシ。
それは、流歌が、ワザとなのか、無意識なのか殊更ゆっくり足を一歩一歩踏み出してくるためでもあり。
ギシ。
彼女のもう俯いてない、健太郎を見据えるその瞳に、隠しきれない熱が込められていて、その熱の欲するところに、もう二人とも気付いているから。
ギシ。
二人の間の距離がゼロになったその時、健太郎からすれば「再び」のーー流歌からすれば「初めて」の淫靡な饗宴が始まるのだという、その期待感が、耳の感覚を鋭敏にさせている。
ギシ。
鋭敏になれば、聞こえてくるものはより多くなっていく。
ドクン。ドックン。ドクン。ドクン。
体中の血液の流れる鼓動が、耳元で響く。心臓の音を耳の中に感じる。血流が集まっているのか、耳の温度が急激に高まり、熱いくらいの体温を感じる。
ドクドクドクドクドクドクドクドク…
熱いのが顔全体に広がる。脳に近い体温が急激に上がり、思考がぼんやりとし始める。
ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ
荒い吐息、
ゴクン
乾く喉、
じゅわと熱く目の奥が蒸し、刺激された涙腺から、涙ではない熱い汗のような液体が溢れる。
——もう、何も考えられないよ…
——そんな貌されて、大人しくできる訳ねぇだろ…
二人の思考は、最早一点の欲求において体より先につながる——早くSEXがしたくて堪らない。
そして、お互い惹かれあうがままに、距離はなくなり、今。
座り込む健太郎の眼前には、匂い立つJKのむっちりとした太ももが、ミニスカートから延び、その内側に目をよく凝らせば、鈍く光る熱い雫がねっとりと垂れ流れていた。
いまだソファーに座り込む健太郎に、流歌は半ば血走った目を向け、彼の視線を問いただす。
「…何、見てるの…?」
聞いておきながら、流歌は知っている。健太郎の視界に何が映っているのか。
だって感じる。自分の内ももに、もう限界まで水分を吸いとったショーツから、耐え切れなくなったように愛液がねっとりと流れるのが。今この瞬間も女子校生のショーツから染み出て、スカートの内側から外に顔を出し、むっちりした内もも同士が密着する谷間に沿うように「ぬるり」と伝う、生暖かく、股間を熱くさせる淫液が、健太郎の目の前にさらされているのだろう。
でも聞かずにはいられなかった。
それは「羞恥心」からであったし、流歌の痴態を目にした健太郎が自分に欲情してくれるのではないか、という「期待」からでもあった。
事実、流歌が健太郎に「欲情の確認」をした瞬間、流歌の膣内の愛液の分泌量はさらにじゅわりと増大した。
健太郎は、けれど応えず、応える言葉を持たず、流歌の問いかけを無視する形で、逆に問いかけた。
「…お前、なんで、制服…」
そう。流歌は今、元々の世界の高校で着ていた女子校生のブレザーの制服を着ていた。
普段は、汚れるからと言って、彼女たちは全員この世界に来た時に着ていた服は大事にしまい、こちらの世界で健太郎がひとまず用意した簡素な女性ものの服を着用していた。
だから、健太郎が流歌のJK制服姿を拝んだのはそれなりに久しぶりのことだった。
元の世界では好んでJKもののAVを見ていた健太郎にとって、もう女子校生の制服姿とは性的な対象でしかなく、さらにちゃんとスカートとしての機能を果たしているのか、かなり疑問になるチェックの超ミニがさらに健太郎の股間を刺激する。
「…」
答えなかった健太郎の、その「答え」で、しっかり健太郎が想像通り自身の痴態に気付いていることを知った流歌は、もちろん羞恥に頭が焼き切れるかと思うほどだったが、すでにその脳みそは性的欲求で埋め尽くされており、見た目上は特に際立った動揺は見られない。ずっと見て取れる上気した興奮を除けば。
いまだ座り込んだままの健太郎と、いまだ立ち続けたままの流歌はほとんど密着状態に近く、健太郎の鼻先に短いスカートの裾が擦れる程になっていた。
——こいつ、わざとスカートを顔に押し付けて来ているな…
思い切り身体を押し付けるわけではなく、ただ、健太郎の鼻先にスカートの先が掠るのを楽しむように、ふらふらと流歌は体を揺らし、そのたびに健太郎の鼻先にスカートが触れ、触れるたびに、そのスカートの奥から匂い立つメスガキの甘く蒸れたそれが、鼻から直接脳に響き、痺れるように思考に靄がかかる。
——JKの臭い。
普通に生きていたらまず嗅ぐことの無かっただろう、JKのスカートの中。今は加えて発情し、愛液に塗れた女子校生のショーツの臭い。顔全体をJKの生暖かい、少し湿り気もある体温が撫でる。むわっとしたこれは、この発生源は女子校生のショーツの奥——JKまんこだ。
(匂い…嗅がれてる…)
もちろんそんな健太郎の仕草は当然流歌には伝わっている。伝わっている上で、彼女は健太郎の顔面に自分のスカートを蕩けた目をしながら擦り付けていた。
その行為は、気分的には自身の性器を健太郎の顔面にこすり付けてオナニーしているに等しい。
(…エッロ…)
JKの臭いを嗅いでいる健太郎が、というより、嗅がせている自分も含めたこの情景が、たまらなく淫靡で、愛おしかった。
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