4 / 6
3 別れの日に
しおりを挟む
星暦431年。春。
リオン兄とドロア姉が孤児院からいなくなる日がやってきた。
リオン兄はディアンという街にある騎士になるための学校へ。
ドロア姉はそのディアンよりも少し奥にある街の貴族のところへ。
それぞれもう簡単には会えないところへと行ってしまう。弟妹たちは別れを惜しみ、涙を流し、リオン兄とドロア姉の側を離れようとしない。
ミオンおばさんに引き剥がされ、ようやく2人は自由の身になると、俺の方へとやってきた。
「じゃあな、バカテオドール」
「うるせえ」
「元気でいるのよ。 この子たちをよろしくね」
「わかってる」
「それと、ノマちゃん」
名前を呼ばれるとは思っていなかったのだろう、ノマはびくりと肩を跳ねさせ、俺とミオンおばさんの影に身を隠した。
結局、ノマは最後まで2人に対して心を開くことはなかった。積極的に声をかけていたドロア姉にも懐くことはなく、会話らしい会話はなかったが、最初に来た頃と比べると挨拶程度はするようになっていた。
「テオと仲良くしてあげて。 このバカに何かされたらすぐに頼ってくれていいのよ」
人のことをバカと何度呼べば気が済むのか。
俺は右足で地面を2回ほど叩く。すると、俺の腰ほどまで大きくなったテオドール・ジュニアが顔を覗かせる。
決して小さくない悲鳴を上げたあと、ミオンおばさんとドロア姉に思いっきり頭を叩かれ地面に付す。
俺を慰めるようにテオドール・ジュニアが頭に巻きついてくれたが、痛みが和らぐことはなかった。
「こんなカッコイイのにどうして」
「そのカッコよさは男にしかわからないよ」
テオドール・ジュニアを肯定してくれるのはリオン兄だけだ。
ミオンおばさんもドロア姉も、そしてノマも皆嫌がる。失礼な話だ。
「いつの間にそんなに大きくなってるのよ、気持ち悪い」
「気持ち悪いってなんだよ、気持ち悪いって!」
「普通の虫はそんなに大きくならないのよ! 何食べさせたらそんな化け物になるのよ!」
「俺の魔力」
そう言って俺はテオドール・ジュニアに魔力を注ぎ込む。嬉しそうに身を踊らせ、テオドール・ジュニアは俺の足元に巻き付いてきた。
頭を撫でてやると、口元に生えた牙のような4つの針を開き声を上げた。
俺の背後から悲鳴が2つ上がる。ミオンおばさんとドロア姉がリオン兄の後ろに隠れていた。となると、残されたのはノマだが。
「や、やめて……」
腰を抜かしたのか、地面に座り込み泣きそうな顔でこちらを見ていた。俺はため息をつき、もう一度足で地面を2回ほど叩く。すると、テオドール・ジュニアはするりと地面へと潜り込み、姿を消した。
どうよ、しっかり躾られているだろう。
俺の躾の上手さは褒められることはなく、後頭部を思い切り殴られ、その場に座り込んだ。
「痛っ……」
「バカドール! いいこと、女の子が嫌がることはしないの!」
「女の、子……?」
もう一発、俺の頭に拳が落とされた。
遠くで聞こえてくるリオン兄と弟妹たちの笑い声とミオンおばさんの怒鳴り声が響き渡る。
ドロア姉に助けを求めようにも、あの瞳はゴミを見る目だ。ふんっと鼻を鳴らし向こうを向いてしまった。
なら、ノマ。
ノマとは最近仲良くしているつもりだ。少しずつノマの方からも声をかけてくれるようになった。
「……きらい」
俺は全員に見捨てられてしまったようだ。
◆
気を取り直し、再び2人は孤児院の正面に立っていた。
いよいよその時がやってきたようだ。
リオン兄とドロア姉がディアンまで行くための馬車が見えてきた。
胸の奥が何かに握られているような感覚。狭まっていくような、そんな焦燥が胸に走る。何か、言葉を発さなくちゃいけない気がした。だけど、何も言葉は出てこない。
口を開き、2人の背中に何かを言おうと思っても、上手く言葉にならない。
なんだ、何を焦っているんだ。何を言わなくちゃならないんだ。
馬車の音が近くなってくるにつれ、俺の心臓の音がうるさくなっていく。次第に、馬車の音も気にならないほど心臓がうるさくなってきた頃、ぽんっと背中を押されて俺は前に一歩でた。
ミオンおばさんだ。やけに真剣な瞳で俺を見ていた。
――わかってるよ。
「リオン兄! ドロア姉!」
2人はまるで俺に呼び止められることを待っていたかのように振り向いた。
その顔は見たことの無い感情を秘めていて、俺は少し息を飲んだ。
「あ、あのさ、俺さ、バカだし、言うこと聞かないし、イタズラ好きだし、バカだし……えっと、さ」
リオン兄は優しく微笑み、ドロア姉は目尻に涙を浮かべて笑っていた。
「ぁ、あ……ありがとうございました! 2人のおかげで楽しかった! 2人が家族で本当によかった! 俺の、俺たちの兄ちゃんと姉ちゃんでいてくれて、ありがとう!」
その言葉を発した瞬間、何かが壊れたように涙が流れてきた。どうすることも出来ないくらい情けなく流れ出る涙をどうにか止めようとして、目に手を当てる。
けれど、どうしてもダメだ。涙が溢れて止まらない。
「ちがっ……泣きたい訳じゃ……」
「テオドール!」
「テオ!」
2人が駆け寄ってくる。
その顔は、2人とも同じだ。俺と同じだ。
2人から抱きしめられると、もう俺の涙は止まらなかった。
気づけばミオンおばさんも、弟妹たちも一緒になって抱きしめ、泣いていた。
「2人とも、どうしても帰りたくなった時はいつでも帰ってきていいのよ。 ここはあなたたちの家で、私たちは家族なんだから」
「わかってるよ。 ミオンさんも元気で。 シスターにもよろしく伝えといてよ」
「あの人、こういう時は必ず来ないのよね」
そう言ってミオンおばさんは笑った。
どうにも、シスターババアは別れの時が苦手らしく、絶対に姿を見せないのだという。見送りはしない。けれど、2人の幸せは願っている。
その証拠に、2人にはシスターババアからの贈り物が渡されていた。
リオン兄には騎士の学校で使える高価そうな剣。
ドロア姉にはどんな貴族にも見劣りしない綺麗なドレス。
「リオンも、ドロアも立派になってちょうだい。 いつか、2人のことをどこかで見られる日を楽しみにしているわ」
「私、ミオンさんみたいな人になるから……」
2人はミオンおばさんにもう一度抱きしめられると、いよいよ馬車へと向かっていく。そして、ピタリと止まり、2人同時に振り向くと頭を下げた。
「お世話になりました!」
「きっと、立派な人になって、皆に誇れる自分になります!」
「いつまでも、見守っていてください!」
2人の目に、もう涙はなかった。
だから、俺たちももう泣かない。
ゆっくりと、馬車に乗り込んでいく2人の背を見つめる。
窓から身を乗り出し、手を振る2人に向けて、どこまでも見えるように、いつまでもいつまでも俺は手を振り続けた。
リオン兄とドロア姉が孤児院からいなくなる日がやってきた。
リオン兄はディアンという街にある騎士になるための学校へ。
ドロア姉はそのディアンよりも少し奥にある街の貴族のところへ。
それぞれもう簡単には会えないところへと行ってしまう。弟妹たちは別れを惜しみ、涙を流し、リオン兄とドロア姉の側を離れようとしない。
ミオンおばさんに引き剥がされ、ようやく2人は自由の身になると、俺の方へとやってきた。
「じゃあな、バカテオドール」
「うるせえ」
「元気でいるのよ。 この子たちをよろしくね」
「わかってる」
「それと、ノマちゃん」
名前を呼ばれるとは思っていなかったのだろう、ノマはびくりと肩を跳ねさせ、俺とミオンおばさんの影に身を隠した。
結局、ノマは最後まで2人に対して心を開くことはなかった。積極的に声をかけていたドロア姉にも懐くことはなく、会話らしい会話はなかったが、最初に来た頃と比べると挨拶程度はするようになっていた。
「テオと仲良くしてあげて。 このバカに何かされたらすぐに頼ってくれていいのよ」
人のことをバカと何度呼べば気が済むのか。
俺は右足で地面を2回ほど叩く。すると、俺の腰ほどまで大きくなったテオドール・ジュニアが顔を覗かせる。
決して小さくない悲鳴を上げたあと、ミオンおばさんとドロア姉に思いっきり頭を叩かれ地面に付す。
俺を慰めるようにテオドール・ジュニアが頭に巻きついてくれたが、痛みが和らぐことはなかった。
「こんなカッコイイのにどうして」
「そのカッコよさは男にしかわからないよ」
テオドール・ジュニアを肯定してくれるのはリオン兄だけだ。
ミオンおばさんもドロア姉も、そしてノマも皆嫌がる。失礼な話だ。
「いつの間にそんなに大きくなってるのよ、気持ち悪い」
「気持ち悪いってなんだよ、気持ち悪いって!」
「普通の虫はそんなに大きくならないのよ! 何食べさせたらそんな化け物になるのよ!」
「俺の魔力」
そう言って俺はテオドール・ジュニアに魔力を注ぎ込む。嬉しそうに身を踊らせ、テオドール・ジュニアは俺の足元に巻き付いてきた。
頭を撫でてやると、口元に生えた牙のような4つの針を開き声を上げた。
俺の背後から悲鳴が2つ上がる。ミオンおばさんとドロア姉がリオン兄の後ろに隠れていた。となると、残されたのはノマだが。
「や、やめて……」
腰を抜かしたのか、地面に座り込み泣きそうな顔でこちらを見ていた。俺はため息をつき、もう一度足で地面を2回ほど叩く。すると、テオドール・ジュニアはするりと地面へと潜り込み、姿を消した。
どうよ、しっかり躾られているだろう。
俺の躾の上手さは褒められることはなく、後頭部を思い切り殴られ、その場に座り込んだ。
「痛っ……」
「バカドール! いいこと、女の子が嫌がることはしないの!」
「女の、子……?」
もう一発、俺の頭に拳が落とされた。
遠くで聞こえてくるリオン兄と弟妹たちの笑い声とミオンおばさんの怒鳴り声が響き渡る。
ドロア姉に助けを求めようにも、あの瞳はゴミを見る目だ。ふんっと鼻を鳴らし向こうを向いてしまった。
なら、ノマ。
ノマとは最近仲良くしているつもりだ。少しずつノマの方からも声をかけてくれるようになった。
「……きらい」
俺は全員に見捨てられてしまったようだ。
◆
気を取り直し、再び2人は孤児院の正面に立っていた。
いよいよその時がやってきたようだ。
リオン兄とドロア姉がディアンまで行くための馬車が見えてきた。
胸の奥が何かに握られているような感覚。狭まっていくような、そんな焦燥が胸に走る。何か、言葉を発さなくちゃいけない気がした。だけど、何も言葉は出てこない。
口を開き、2人の背中に何かを言おうと思っても、上手く言葉にならない。
なんだ、何を焦っているんだ。何を言わなくちゃならないんだ。
馬車の音が近くなってくるにつれ、俺の心臓の音がうるさくなっていく。次第に、馬車の音も気にならないほど心臓がうるさくなってきた頃、ぽんっと背中を押されて俺は前に一歩でた。
ミオンおばさんだ。やけに真剣な瞳で俺を見ていた。
――わかってるよ。
「リオン兄! ドロア姉!」
2人はまるで俺に呼び止められることを待っていたかのように振り向いた。
その顔は見たことの無い感情を秘めていて、俺は少し息を飲んだ。
「あ、あのさ、俺さ、バカだし、言うこと聞かないし、イタズラ好きだし、バカだし……えっと、さ」
リオン兄は優しく微笑み、ドロア姉は目尻に涙を浮かべて笑っていた。
「ぁ、あ……ありがとうございました! 2人のおかげで楽しかった! 2人が家族で本当によかった! 俺の、俺たちの兄ちゃんと姉ちゃんでいてくれて、ありがとう!」
その言葉を発した瞬間、何かが壊れたように涙が流れてきた。どうすることも出来ないくらい情けなく流れ出る涙をどうにか止めようとして、目に手を当てる。
けれど、どうしてもダメだ。涙が溢れて止まらない。
「ちがっ……泣きたい訳じゃ……」
「テオドール!」
「テオ!」
2人が駆け寄ってくる。
その顔は、2人とも同じだ。俺と同じだ。
2人から抱きしめられると、もう俺の涙は止まらなかった。
気づけばミオンおばさんも、弟妹たちも一緒になって抱きしめ、泣いていた。
「2人とも、どうしても帰りたくなった時はいつでも帰ってきていいのよ。 ここはあなたたちの家で、私たちは家族なんだから」
「わかってるよ。 ミオンさんも元気で。 シスターにもよろしく伝えといてよ」
「あの人、こういう時は必ず来ないのよね」
そう言ってミオンおばさんは笑った。
どうにも、シスターババアは別れの時が苦手らしく、絶対に姿を見せないのだという。見送りはしない。けれど、2人の幸せは願っている。
その証拠に、2人にはシスターババアからの贈り物が渡されていた。
リオン兄には騎士の学校で使える高価そうな剣。
ドロア姉にはどんな貴族にも見劣りしない綺麗なドレス。
「リオンも、ドロアも立派になってちょうだい。 いつか、2人のことをどこかで見られる日を楽しみにしているわ」
「私、ミオンさんみたいな人になるから……」
2人はミオンおばさんにもう一度抱きしめられると、いよいよ馬車へと向かっていく。そして、ピタリと止まり、2人同時に振り向くと頭を下げた。
「お世話になりました!」
「きっと、立派な人になって、皆に誇れる自分になります!」
「いつまでも、見守っていてください!」
2人の目に、もう涙はなかった。
だから、俺たちももう泣かない。
ゆっくりと、馬車に乗り込んでいく2人の背を見つめる。
窓から身を乗り出し、手を振る2人に向けて、どこまでも見えるように、いつまでもいつまでも俺は手を振り続けた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる