王道

こんぶ

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第二章 魔王軍戦

第十八話 エステル大陸、最大の国家

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無償で人を救う奴をお前はどう思う?

うーん、変な人かなぁ。

そうか、変な人、か…

お父さんはどう?

ん?んん、そうだな…俺もやっぱり


───変な人だと思うぞ。



なんやかんやあったので、エステル最大の国家、ギガにたどり着くまでかなり長くかかってしまったように感じた。

「もうー、やっと到着?」

「お二人とも襲われすぎですわ…」

「…すまん」

田原が申し訳なさそうに言う。

「…ん、ラフも!」

キティがそう言うので、俺も言う。

「すみません」

すいませんだろ!と突っ込むのか…さぁ、どうだ!?

「まぁ、良いわよ…」

「そうだな」

「…(ぽん)」

「……」

え?何この反応…

リリーに至っては肩に手をぽん、だよ…

え?何これ?え?

「ぐす…」

「…なんだよ…」

「ごめん…」

え?何で泣いてるの?えっ?え?
え?何この急にシリアスな感じ。
俺、すみませんって言っただけだよね?
え?

「…ラフさん…少し『え?』の使い過ぎでは?」

「あっ」

心の中読まれてた~。
って、なんでやねん!

「まぁ、とりあえずさっきのことは炭に流しましょう!」

「…炭に流すって何!?」

それを言うなら水じゃねぇか!?

「そうだな、木炭に長そう…」

いや、だから何で?水じゃないの!?

「そうね、やりましょう…長しそうめん…」

いや、一人完全に違うやついるよね!?

それっぽいこと言ってるだけだよね!?

「おい!ラフ!」

「え?なんだよ田原…」

「おまっ、『!?』の使い過ぎだぞ…」

いや、何でそんなこと言われないといけないんだ!?

…いや、ここで敢えて使わないでおくか…

「ふ、ふふふ」

「?」

誰だ…こんな声…今までしなかったよな。

いや、そもそも今この車に乗っているのは、俺、田原、リリーにキティだ。

つまり、その四人では無いということ。

男の声だった…

「いや、忘れないでくれー!」

「あ」

思い出した…八聖天魔の一人だ…ぐるぐる巻きにして車の後に乗っけておいたんだ。

「と言うか、お前に名前ってあんのか?」

「あ?無いよ…んなもん…八聖天魔で一括り、お終い!閉廷!だから解いて~」

「やだよー、なら俺達の仲間になってよ~、ねぇ?」

「それは、うぅ…」

「出来ないんでしょー?」

「危害を加えるな、と言われればそうするが…魔王を殺すことに、あまり賛成はできん…俺はあいつは好きでは無い…好きでは無いが…嫌いではない…」

「なんじゃそりゃ」

恋する乙女かっつーの。

「あ、護衛とかは出来るぞ…」

「いや、そもそも俺や田原より弱いじゃん」

「あ」

確かにそうだ、と気がついた顔をする八聖天魔。

「あーあ、前だったらエリジオンに届けたのに…警察もろくに働いていない…というか閉じ込められないからな…」

「エリジオンって、確か…」

わたくしの出身村ですわ…覚えていますか?」

「あー、確か七星や傲慢もそこで働いてるよな…」

「だけど、転移能力が、無くなったからなぁ…」

「あの呪いって解けないのかな?」

田原が問う。

「まぁ、惑星そのものでも解けないって言うくらいだし、無理なんじゃないか?」

火龍の死に土産。

転移不可の呪い。

「…はぁ、田原は脳筋ステだから使えないし…リリーやキティはそもそもがアレだもんなぁ」

「アレって何よ、アレって」

「か弱いだけですわ」

「そうは言っても…」

あり?…か弱い?

「リリーのステータスって見たことあったっけ?」

「無いな」

「よっしゃ、見るべし」

「どうぞ~」

──『鑑定アナライズ



─────────────
リリー・ブラウン Lv52

物理的攻撃力  20
魔法的攻撃力  70
術的攻撃力      40
遠距離的攻撃力 21
射撃的攻撃力  32
斬撃的攻撃力 12
殴打的攻撃力  29
切断的攻撃力  23
属性的攻撃力  1
武器的攻撃力  31
アイテム的効果 +1%
物理的防御力  50
魔法的防御力  40
術的防御力      30
遠距離的防御力 40
射撃的防御力  50
斬撃的防御力  40
刺突的防御力  30
殴打的防御力  20
切断的防御力  30
属性的防御力  20
万能的防御力  なし
スキル・『上位物理半減』『中位物理無効』『魔法的攻撃上昇』『世界の守り手』『上位魔法無効』『戦術使用速度高速化』『原子なる者』『星の連撃』『真空斬』『万能的オールラウンダー』『全体的』『天使語習得』『ゴーレム生成』『上位ゴーレム生成』『物理攻撃上昇化』『全防御力上昇化』『重力波生成』『消滅結界生成』『強力結界生成』『覚醒』『俊敏』『韋駄天』『忍耐』『基礎』『上位万能グレーターオールラウンダー
武器的防御力   50
アイテム的防御力  +5%
NEXT EXP3000   総合 89000
HP  6200
MP 4800
SP 3900
STR 2100
VIT 3100
DEX 3000
AGI 4000
INT 4900
LUC   3000
総ランク  A
総合抵抗力 +10%
─────────────



「──────」



その場にいた全員(リリーを除く(八聖含む))が、絶句した。

「あれ?言っていませんでした?」

「な、ななな、何を?」

「私ですわ、ギネスにのってる世界で最も高いレベルの人」

「──────」

その場にいた全員(八聖含む)が、絶句した。いや、多分車もしてた。


「─────ぇえぇえぇえええ!?」

マジかいな。ぇぇえええ!?案外強いやん!

「そうなんです。私戦えるのですわ…」

知らなかった…

「ただ、お二方が強すぎて…一体どうやってそんなにレベルを上げたのですか?」

「ん?結構簡単だったよ…俺の場合」

田原は切り出した。

「俺は究極的にモテなかったからさ、婚活、出会い系サイト、合コン、或いはそれらに類する事をし続けた訳…そしたら…ね…」

た、田原…

「俺は…就活かな…」

何の資格も無くて、なさ過ぎて…

まぁ。いろいろ辛かった訳だが。

それでも空元気で何とかやってた時代を思い出した。


「あのー、その話…普通に重いから…やめていただけません?」


「「「「お前は黙っとけ!」」」」

八聖天魔は四人に責められた。

「ぅ、はい…」

「ま、まぁ、切り替えていきましょうよ」

そうそう。今の俺は可愛い彼女も出来たし、まぁあんま困ることなしだし、最高な奴だなー、おい~。

もしこの世に幸運と悪運があって、全ての人に±0となっているんだとしたら、俺は今、+の状態なんだ。

報われた…そんな気がした。


まぁ、気がしただけだが。

結局、人とは人の都合に良いように解釈してしまうものなのだから。

人という字は、頑張ってみればお尻に見えなくもない。
つまり…そう言うことだ。


「どういうこと!?」

田原が、鋭くないつっこみをしてきた。

て言うか、お前…

「お前も心読めるんかい」

「すまんな、わはは」

そんな感じで、楽しく車内で時は過ぎていった。




本題に入ろう。今日はエステル最大の国家、ギガに来たのだ。その目的を忘れてはいけない。

「バリバリ忘れてたやん」

まぁ、それはしょうがないとして。
俺達はギガに来たのだった。


ギガに入国する際、色々な検査を受ける必要があるのだが、一度検査されればとあるカードが発行されるので、ギガで生活することが許される。ただし、半年に一回はその検定を再び受けなければいけないのだが。

「さてさて、ギガとは…」

俺は貰った国のパンフレットのようなものを読む。

ふむ。

エステル大陸、最大の国家ギガ。

総面積 約210000000㎢
総人口 約1100000000人。

非常に広く、また最も栄えている国である。
現国王、レーディーン・エーミール・レバシィノ。

景観は良く、自然豊かな国であり、資源が多い。また、畜産が盛んであった。
もちろん先進工業国であり、さまざまな技術が発展している。
スマホやテレビはギガから生まれたらしい。
海にも近く、漁業も行い、また自然破壊をなるべく行わないようにしている。生物の数にも注意して、人間が取り過ぎないようバランスを保っていた。

また、魔物が出現してからは、魔物に襲われる動物が多くいたため、魔物保護団体が発足。

さらに、世界最大規模のボランティア団体、SAVEの活動により、ほとんど全ての動物が守られている。

教育機関も多くあり、会社、企業も多々ある。

学生が多く、過疎地域も無い、健全な国である。

また、最近国王レーディーン・エーミール・レバシィノが、とある青年を、『勇者賞』(ブレイブ)に認定した。

農家地域は小麦がラスティ、ハーティ…───略。

「なるほどなぁ」

途中で買った焼き鳥を咥えながら俺は頷く。

「うおっ、この焼き鳥美味いな…」

噛んだ途端、肉汁が溢れ出し、甘いタレと絡まっていて最高に美味い。肉の食感も、モニュッ、モニュッと良い食感である。

「確かに…」

田原はネギマを咥えながらそう言った。

シャキッと言う音が田原の口からする。

「…ネギマいいなぁ…」

「買えば良かったんじゃ…」

「そんな無駄遣い出来ない…」

「あ、そう?」

旅費は俺が考えて使っているので、まぁ一応枯渇しないよう工夫してるので大丈夫か。

「…コリッ、コリコリ」

「あ」

俺は、見た。リリーが白い軟骨を食べているところを。塩や胡椒がかかった軟骨は、コリッコリッと軽やかな音をだし、恐らく肉汁が溢れているのだろうなぁ、と言うのが想像できる。

ジュルリ…

「あら、軟骨あったの?美味しそうね」

後からスタスタと歩いて行き、俺を抜かしていった金髪をなびかせる女がいた。

いや、違う。

それは、ただの女では無かった。

右手には、なんと牛刺しが…

神々しく輝く、黒光りする圧倒的脂…

恐らく大量に食べればくどいだろう。
牛くささもあるかも知れない…

だが、それは、焼き肉、というじょうきょうかにおいて、だ。

焼き鳥のように、どうなる?


「あ」

「はふっ、ほふほふ」

まだ湯気が出ている牛肉を、キティは、当たり前のように口に入れた。


──キティ…

いくら、彼女だからと言って…それは許せ──


『──何か良い匂いするなぁ』

「…」

それは、俺が車と一緒に異空間に保持していた八聖天魔の声だった。

「…なんか、ごめん」

八聖天魔の事を思うと、なんか申し訳無くなった。


「あ、そうだ」

八聖天魔をどうにかする、唯一の方法。

それは、これしかない。

「『心操作マインドコントロール』」

そうして、俺は八聖天魔を洗脳ドミネイトした。

「さて、これからどこに行く?」

俺は、八聖天魔を除いて三人に聞いた。


「ん、そうねぇ」

「そうですわね…まぁ、まずは情報収集ではないですか?」

「ん?何故…」

「そりゃお前…パンフレットに書いてあったんだろ?勇者賞を貰ったって…つーことは確実だろ?そいつがいるの…街中のやつらに聞けば…特定することだってな」

「ふーん」

そうか。
じゃあ、そうするか。







…なんかこれじゃあ俺が阿呆みたいじゃん!

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