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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
26:変化-1
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さらにこの世界に来てから2年が経過した。最近は2人で完全な模擬戦も行えるようになり、ダンジョンタイムアタックも俺に近い時間を叩き出し始めている。
だが、2人とも俺との模擬戦は何故か拒否するんだよなぁ。怪我しても死んでしまってもすぐに生き返れるから問題ないのに。
今日は完全にオフの日だが、2人を呼び出していつも食事するテーブルに座らせた。
まだまだやりたい修行は多くあるが、もうそろそろこの森を出て世界を回ってもいい頃かと考えていた。
「と言うわけだ。エリィのお父さんも探しにいく旅も再開するために、そろそろこの森を出ようと思う。どうかな?」
エリィは自信なさげに賛成した。確かに対人戦も経験を積み、ダンジョンも踏破して経験値は積み続けているはずだが、いかんせん自信だけが一向に育たない。
その為にも外の世界を体験し広い視界を手に入れてほしいのもある。
そしてずっと悩んでいるのがブルーだ。
「僕は……どうしようかなぁ」
「この森……いや湖を守護する役目か?」
「いや、それは分体を置いとけば何とかなるからいいんだけどね」
話を聞くと、別にブルーの本体がいなければならない訳でもないらしい。水龍がいる事によって保たれている平和も、分体がいればある程度は問題なく機能すると。
ブルーが悩んでるのは別の事だった。
「僕がいなくなった後、あのダンジョンをどうするかなんだよね。ごく稀に魔素が溜まりすぎて魔獣が現れたりするから、たまに僕が倒してたんだ」
「なるほどね」
「それに僕は龍でしょ? 一緒に着いて行きたいけど姿を見た人間がなんで言ってくるかがなぁ」
なるほどね。まぁ龍とは言え姿は自由自在に伸縮できるのだから問題はないと思うが。この世界にいるかわからんけど、新種の羽トカゲとかどうだろうか。普段は小さくなってて貰えば怖がられることもないだろう。
エリィにも意見を聞いてみると、どうやらこの世界にはテイマーと呼ばれる魔獣や魔物を使役する職業があるらしい。それなら俺が魔法使いも使えるテイマーとやらに便宜上なればいいんじゃないかな?
その提案にブルーも納得してくれたらしい。
「あとはダンジョンか。もし心配ならダンジョンコアを破壊して、ダンジョンの機能を停止させればいいんじゃないか?」
「あー、そうかそれもあるね。まぁ魔素が溜まりすぎるなんて、数十年に一度だから大丈夫だとは思うけどさ」
どうやら俺たちが遭遇した魔獣は激レアだったらしい。魔獣は森を汚したり生態系を破壊する事が多く、その都度ブルーが出てきてやっつけていたんだとか。
今回俺らが遭遇した時は気付いたのか聞いてみたが、さっぱりわからなかった様子。もしかしたら魔獣へと変化してからその日に討伐したのかもしれないな。
「あとね、僕がちょっとダンジョンでしたい事があるんだ」
だが、2人とも俺との模擬戦は何故か拒否するんだよなぁ。怪我しても死んでしまってもすぐに生き返れるから問題ないのに。
今日は完全にオフの日だが、2人を呼び出していつも食事するテーブルに座らせた。
まだまだやりたい修行は多くあるが、もうそろそろこの森を出て世界を回ってもいい頃かと考えていた。
「と言うわけだ。エリィのお父さんも探しにいく旅も再開するために、そろそろこの森を出ようと思う。どうかな?」
エリィは自信なさげに賛成した。確かに対人戦も経験を積み、ダンジョンも踏破して経験値は積み続けているはずだが、いかんせん自信だけが一向に育たない。
その為にも外の世界を体験し広い視界を手に入れてほしいのもある。
そしてずっと悩んでいるのがブルーだ。
「僕は……どうしようかなぁ」
「この森……いや湖を守護する役目か?」
「いや、それは分体を置いとけば何とかなるからいいんだけどね」
話を聞くと、別にブルーの本体がいなければならない訳でもないらしい。水龍がいる事によって保たれている平和も、分体がいればある程度は問題なく機能すると。
ブルーが悩んでるのは別の事だった。
「僕がいなくなった後、あのダンジョンをどうするかなんだよね。ごく稀に魔素が溜まりすぎて魔獣が現れたりするから、たまに僕が倒してたんだ」
「なるほどね」
「それに僕は龍でしょ? 一緒に着いて行きたいけど姿を見た人間がなんで言ってくるかがなぁ」
なるほどね。まぁ龍とは言え姿は自由自在に伸縮できるのだから問題はないと思うが。この世界にいるかわからんけど、新種の羽トカゲとかどうだろうか。普段は小さくなってて貰えば怖がられることもないだろう。
エリィにも意見を聞いてみると、どうやらこの世界にはテイマーと呼ばれる魔獣や魔物を使役する職業があるらしい。それなら俺が魔法使いも使えるテイマーとやらに便宜上なればいいんじゃないかな?
その提案にブルーも納得してくれたらしい。
「あとはダンジョンか。もし心配ならダンジョンコアを破壊して、ダンジョンの機能を停止させればいいんじゃないか?」
「あー、そうかそれもあるね。まぁ魔素が溜まりすぎるなんて、数十年に一度だから大丈夫だとは思うけどさ」
どうやら俺たちが遭遇した魔獣は激レアだったらしい。魔獣は森を汚したり生態系を破壊する事が多く、その都度ブルーが出てきてやっつけていたんだとか。
今回俺らが遭遇した時は気付いたのか聞いてみたが、さっぱりわからなかった様子。もしかしたら魔獣へと変化してからその日に討伐したのかもしれないな。
「あとね、僕がちょっとダンジョンでしたい事があるんだ」
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