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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く
23:対人戦-1
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「これから2人には、ここで戦ってもらう」
俺は予め刃を潰しておいた剣をディグドに投げる。刃を潰しているとはいえ、当たれば間違いなく怪我をするだろう。
エリィには悪意の乗ったその痛みも体感しておかなければならない。
「ディグドの勝利条件はエリィを殺すかリングから出す事だ。それを5回連続で出来れば見逃してやる。何をしてもいいぞ」
「はっ、上等だ! 殺してもいいなんてありがてぇ」
「出来るならな?」
ディグドはエリィをただの魔法使いだと勘違いしてるのだろう。それにエリィは最初に盗賊団と会った時に、俺の後ろに隠れるような臆病なやつとしか認識されてないのだろう。
それに最悪死んだとしてもなんとかなる。
「そしてエリィはさっきまでしてた事と同じ事をしなさい。もしディグドに負けるようであれば、俺はエリィに罰を与える」
「はい……」
「自分が負けたら逃がせられるなんて考えるなよ? そんなそぶりが見えたら俺はエリィから離れるからな」
少し冷たい言い方だが、本人のためだ。だが、そんなセリフを向けた俺が後悔するぐらいエリィはやる気に満ちている。
今まではブルーとの魔法の打ち合いだったが、人相手にどこまで通用するかも期待しているのだろう。
2人がリングの上にあがると、早速ディグドからの口撃が始まった。
「てめぇみてーな半亜人を飼ってるこの男もイカれてるなぁ? なんだ? その体で誘惑でもしたのか?」
「……」
魔法使いは自身の精神状態によって魔法の良し悪しが分かれる。そこを知っているのか、エリィを精神的に揺さぶりに来たのだろう。
と言うよりも、そんなセリフを吐いて俺から攻撃されるとは考えないのか? それとも脳が足りてないのか?
「存在価値も無いてめぇは体でしか奉仕出来ねぇもんなぁ? 愛玩道具として飼われるのに快感でも感じるドMなんだろぉ?」
「……」
「おらかかってこいよ。それともあの魔王みたいな奴に守ってもらわなきゃ何も出来ないのか? あぁ、そうだお前も気持ち悪い半亜人の化け物だもんなぁ?」
「…………」
「淫売の奴隷でしか価値がない化け物を愛玩道具にする魔王とかひでー話しだ。ま、お前のご主人様もトチ狂った化け物だけどな!」
「このぉぉぉぉ!!!」
エリィが真っ直ぐにディグドへ突っ込んでいく。魔力布衣で全身を包み、右腕に魔力を集中させているところを見ると、そのまま殴ろうとしているのだろう。
だが、その直線的な攻撃は簡単に避けられると、空いた脇腹に向かってディグドの剣が思いっきり薙ぎ払われた。
「ぐっ!!」
「はっはー!」
拳を避けられた瞬間に、自分の体制から攻撃される場所へ魔力を集中し防御力を高めたのは見事だが、そもそもが悪手だ。前にゴブリンを素手で殴って弾き飛ばした時の快感は見ていたが、あれはあくまで知恵の少ない者に対しての手段だ。
いくら弱いと言われる相手でも、戦闘経験の差でひっくり返される事もあるんだ。
エリィは衝撃でリング外へと弾き出された。ディグドは「まず一回!」なんて勝利宣言をしてやがる。
確かに冷静さを欠いたエリィの凡ミスだが、次は同じ事にならないだろう。天才である弟子の目は、真っ直ぐに敵を見ている。自分だけじゃなく俺を馬鹿にされたのも頭にきたんだろうな。
「やっぱ出来損ないだなてめーは! ご主人様のアレでもしゃぶって抱かれるのが似合ってる性処理道具なんだよ!」
「……」
俺は予め刃を潰しておいた剣をディグドに投げる。刃を潰しているとはいえ、当たれば間違いなく怪我をするだろう。
エリィには悪意の乗ったその痛みも体感しておかなければならない。
「ディグドの勝利条件はエリィを殺すかリングから出す事だ。それを5回連続で出来れば見逃してやる。何をしてもいいぞ」
「はっ、上等だ! 殺してもいいなんてありがてぇ」
「出来るならな?」
ディグドはエリィをただの魔法使いだと勘違いしてるのだろう。それにエリィは最初に盗賊団と会った時に、俺の後ろに隠れるような臆病なやつとしか認識されてないのだろう。
それに最悪死んだとしてもなんとかなる。
「そしてエリィはさっきまでしてた事と同じ事をしなさい。もしディグドに負けるようであれば、俺はエリィに罰を与える」
「はい……」
「自分が負けたら逃がせられるなんて考えるなよ? そんなそぶりが見えたら俺はエリィから離れるからな」
少し冷たい言い方だが、本人のためだ。だが、そんなセリフを向けた俺が後悔するぐらいエリィはやる気に満ちている。
今まではブルーとの魔法の打ち合いだったが、人相手にどこまで通用するかも期待しているのだろう。
2人がリングの上にあがると、早速ディグドからの口撃が始まった。
「てめぇみてーな半亜人を飼ってるこの男もイカれてるなぁ? なんだ? その体で誘惑でもしたのか?」
「……」
魔法使いは自身の精神状態によって魔法の良し悪しが分かれる。そこを知っているのか、エリィを精神的に揺さぶりに来たのだろう。
と言うよりも、そんなセリフを吐いて俺から攻撃されるとは考えないのか? それとも脳が足りてないのか?
「存在価値も無いてめぇは体でしか奉仕出来ねぇもんなぁ? 愛玩道具として飼われるのに快感でも感じるドMなんだろぉ?」
「……」
「おらかかってこいよ。それともあの魔王みたいな奴に守ってもらわなきゃ何も出来ないのか? あぁ、そうだお前も気持ち悪い半亜人の化け物だもんなぁ?」
「…………」
「淫売の奴隷でしか価値がない化け物を愛玩道具にする魔王とかひでー話しだ。ま、お前のご主人様もトチ狂った化け物だけどな!」
「このぉぉぉぉ!!!」
エリィが真っ直ぐにディグドへ突っ込んでいく。魔力布衣で全身を包み、右腕に魔力を集中させているところを見ると、そのまま殴ろうとしているのだろう。
だが、その直線的な攻撃は簡単に避けられると、空いた脇腹に向かってディグドの剣が思いっきり薙ぎ払われた。
「ぐっ!!」
「はっはー!」
拳を避けられた瞬間に、自分の体制から攻撃される場所へ魔力を集中し防御力を高めたのは見事だが、そもそもが悪手だ。前にゴブリンを素手で殴って弾き飛ばした時の快感は見ていたが、あれはあくまで知恵の少ない者に対しての手段だ。
いくら弱いと言われる相手でも、戦闘経験の差でひっくり返される事もあるんだ。
エリィは衝撃でリング外へと弾き出された。ディグドは「まず一回!」なんて勝利宣言をしてやがる。
確かに冷静さを欠いたエリィの凡ミスだが、次は同じ事にならないだろう。天才である弟子の目は、真っ直ぐに敵を見ている。自分だけじゃなく俺を馬鹿にされたのも頭にきたんだろうな。
「やっぱ出来損ないだなてめーは! ご主人様のアレでもしゃぶって抱かれるのが似合ってる性処理道具なんだよ!」
「……」
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