修行大好き魔王様、異世界でもみっちり修行して世界を回るそうです

ねっとり

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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く

17:魔素-1

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 珍客が来てからさらに1ヶ月。エリィはダンジョンの4階層を踏破するぐらい成長し、数は少ないが並列軌道もこなし始めた。初めのうちは、物陰から飛び出してくる魔物にあたふたしていたので俺が魔物の場所を指示していたが、それも最初のうちだけ。
 魔力布衣の力や、気配察知サーチを同時に発動させ戦闘中でも魔物の位置を的確に把握できる様になった。それでも多少の怪我をしたりはするので、たまに俺も手を出してしまう。まぁ、エリィは潜在的に虫に苦手意識があるらしく、最初の方は固まって動けないこともあった。
 虫相手でもまだ硬さが残るし、4階層の魔物でも怪我をする。この様子だと、ダンジョンボスに挑ませるのはもう少し先になるかな。

 ブルーはタダ飯ぐらいにさせまいと、最近はエリィとの修行に付き合ってもらっているのと、湖にいる魚や貝などのさちを届けてもらっている。
 食材が増えたことに一番興奮したのはエリィだ。夕飯もそれにつれ豪華になっていき、生魚ばかり食べていたブルーが感動していた。こいつはほんとよく食うな。まぁエリィの飯が美味いのは否定しないが。

 そして魔法もある程度覚えたので、とうとうこの修行に手を出す時が来た。魔素の扱い……正直、エリィならすぐに覚えるというか、もう身につけている。その認識をさせて、さらに魔法の発動にプラス補正をしていくのだ。
 今日はあいにく曇り空だが魔素の練習には問題ない。それでも、雨が降らないことだけを祈ろう。

「エリィ、今日は魔素を覚えてもらう」
「はい師匠!」
「まず、最近魔法を使ってて違和感を感じたことはないか?」
「違和感……ですか?」

 魔力と魔素は厳密にいえば別物だ。魔力が生物の持つ生命エネルギーとすれば、魔素は自然界に存在する自然エネルギー。自然エネルギーはそこら中に存在してはいるが、目に見える存在ではない。だが、二つとも同じエネルギーではあるので、お互いに干渉し変化することができる。
 魔力を扱いに長けた者なら、その違和感を感じ取れる様になる。ただし、本当にごく僅かな違和感のため、大体は認識できていない。

「むむむ。あ、そういえば……」

 エリィが言うには、いつもの修行で込めた魔力量よりもごく僅かに多くの魔力が注がれた魔法が発動したことがあるらしい。それはダンジョンで一番最初に感じたとの事で、それからアジトに戻ってきても同じ様な感覚がたまにあったらしい。
 ただ、その違和感もたまにしかない上にごく僅かなので放っておいたとか。

「よろしい。実は、その違和感こそが魔素を扱っていると言う事だ」
「え、そうなんですか?」
「うむ。まずはこのファイアボールを見て、違いに気付けるかな?」

 俺は両手を前に出して二つのファイアボールを空中に出した。
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