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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く

6:間話〜エリィとの会話〜

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 俺がエリィに色々と話をした内容だ。

 魔法について
 魔法とは体の中にある魔力を操作して発動させるものだが、魔力だけを使う訳ではない。
 魔力以外にも空気中には魔素と呼ばれる魔力へ変換することが出来る素体が目に見えない大きさで存在している。
 魔法を発動するのに自身の魔力を使う事に間違いはないが、継続させたり大きく強くさせたりするのには魔素を利用するのが必須である。
 魔素を集める為に魔力を使えば、本来大量の魔力を使う魔法でも魔素で代用出来るため魔力の消費量は少なくなる。
 例えば魔法を別で同時に発動したい時は魔力と魔素が、同時に大量に必要にもなる。
 なので魔力が多いに越したことはなく、魔力の扱い、保有量、魔素の使役など色々な事柄が必要になる。

 魔力について
 魔力とは生まれた時に必ず持っているもの。その大きさは血筋や環境などに左右されるため、人によってまばらである。
 だが増やすことはできる。まずは魔力を全部使い切り、泥のように眠ること。寝ている間に魔力が回復するが、使い切った場合はその保有量を増やしてくれる。
 その他にも死に瀕した場合なども保有量は上がっていく。
 だが、魔力の保有量が上がったとしても、心や肉体がついてこないと逆に蝕まれる事になる。
 その為にも身体も一緒に鍛えることは重要。

 魔素について
 空気中に漂う魔力の代用となる素体。その姿を肉眼では捉えられないが、魔力を使って一時的に使役することはできる。
 魔素は基本的に属性に染まっておらず、どんな属性にも変換することができる。
 ただし、火山の火口や水の中などでは属性に染まっているものが多く、それを別の属性に変換させると効率は悪くなってしまう。

 属性について
 魔法は属性が非常に多い。エリィの知っている無属性、火属性、水属性、風属性、土属性は5元素とよばれており最も重要な属性。それ以外にも光と闇もあり、そこから派生させて魔法を発動させることも出来るが、そもそもその派生先が多すぎる。
 例えば氷や雷を使う時には、最初からそのイメージをしてら使う方が早い。
 その属性を知りたいなら体験すること。そうすればイメージもしやすくなる。
 そして属性魔法は基本的に誰でも使うことが出来る。自分に合った属性はその威力を増すことはできるが、その属性しか使えないのは間違いである。

 詠唱について
 詠唱とは、本来言葉に魔力を乗せて明確なイメージを作り出している魔法に威力などを上乗せするのに使うもの。
 魔法の発動のために詠唱をし、その詠唱をすることに手一杯になっては元も子もない。
 まずは何をしたいのか、どんな風にしたいのかをイメージすることが大事で、そのイメージさえ固まれば脳内で考えるだけで魔法は発動できる。
 ただ、闇雲にイメージしたものが全て発動しては困るので、魔法名を口にして発動させるのが一番効率がいい。

 ランクについて
 魔法には初級、中級、上級、英雄、伝説、神話とランク付けがある。
 後者ほど魔力や魔素の消費量が激しく威力も大きい。
 基本的に上級まではどんな人でも使うことが出来、英雄以上になるとセンスが必要になる。
 ただ、初級魔法でも極めれば英雄や伝説級と威力が大差なくなったりするので、まずは基礎を固めることが大事。

 修行について
 まずは魔力操作を重点的に行う。魔力を感じることができても、その魔力がどんなものでどんな感覚を有しているのかを徹底的に体と頭に覚えさせる。
 そして魔力を視覚化出来るようにし、さらに相手の魔力も目で確認できるようにすること。それが出来なければ魔法で戦うには早すぎる。
 相手がどこに魔力を集めているかがわかれば、先読みして対策を練ることも可能になるからだ。


 ここから先はエリィから聞いたことだ。

 精霊について
 エリィ曰く、エルフの中でも魔力に長けたエルフは精霊と契約ができるらしい。
 精霊と契約すると自分の持っている魔力以上に魔法が放てるとか。
 多分精霊は魔素を変換する能力があるんだろうな。ただ、精霊と契約した人間がいないのは気になる。やはりエルフだからこそ契約ができるのか、魔力量が精霊のお眼鏡にかなえば契約できるのか試してみたい。

 魔族について
 何百年何千年前からもずっと存在している魔族。いつからこの世界にいるのかは誰も知らない。普通の動物が魔獣になるのは、魔族が関係していると言われているが、多分それ以外にも魔素の影響もありそうだ。
 現在世界の1/3は魔族が支配しており、2/3近くまで支配が進むと勇者と呼ばれる存在が現れて魔族を撃退するらしい。
 だが、その戦闘は激しく勇者は必ず死んでしまうそうだ。
 俺のところにきた勇者は一直線に俺のところにきて灰になってたが……もしかしたらこっちの勇者は強いのかもしれんな。
 そして魔族の王は何人もいるらしい。自分自身を王だと言い張っており、中には仲良くない魔王同士もいるとか。
 王といえば1人な気がするが、こっちではそうではないのだろう。
 そして魔族の王……魔王の配下には必ず強力な魔物が配下として存在しており、四天王やら六魔将など色々な呼び方があるそうだ、
 魔族の中には人間と同じように暮らし、人間や亜人と交易してる者もいるらしい。

 人間族について
 世界で一番人口が多いのが人間族。別名として「ヒューマン」とも呼ばれる。
 基本的に魔力量はそこまで多くないが、生活に困らないぐらいの魔力は大体持っている。さらにそれを補完するスキルと呼ばれる物を取得している。特に武器を使ったスキルは数多く存在しており、魔族への対抗手段は魔法よりもスキルでの応戦が多い。
 そんな中でも賢者と呼ばれる存在であれば、人間族とは思えないほどの魔力を保有しており、大規模な戦争時などは魔族を葬るために大きな魔法を放つのだと言う。
 そして人間族も王が複数いる。その王の配下にはスキルを極めた英雄と呼ばれる存在や剣聖、そして賢者などがそれぞれ存在している。
 人間族は魔族と国境が近い国が多く、ここ最近大きな戦争はないものの小競り合いは日常茶飯事だそうだ。

 亜人族について
 人間族に比べると数は少ないが、ドワーフやエルフ、獣人族など色々な種族を統合して亜人族と呼ぶ。
 一番多いのは獣人族で、犬や猫、狐や狼など種類も多い。
 共通しているのは、全員身体能力が非常に高い事。魔力は人間族よりも少ないがスキルは人間族と同じように覚えることもできる。ただ、もっぱら身体能力で相手を屈服させる闘い方がメイン。スキルは覚えることができるが、人間族と同じ水準までは届かない。それでも身体能力でカバー出来るので、1対1の戦いでは非常に強力。
 エルフは弓を得意としており、魔力も高い。それでも精霊と契約できるのは一握りで、魔力を生かした弓を使うものが多いとか。中でもハイエルフと呼ばれる種族は、人間の賢者よりも魔力量も高く魔法のエキスパートと呼ばれている。
 ドワーフは小柄な代わりに力が強く、手先も器用で鍛治などを行うものが多い。
 ふむ、亜人に関しては俺が女神の書物で読んだイメージぴったりだな。その他にも個体数は少ないが色々な亜人族がいるそうだ。

 魔石について
 魔獣と呼ばれる存在は体内に魔石を有しており、討伐することにより取り出すことができる。
 ただ、最近になって判明したのは魔獣だけではなくて魔力を保有していると魔石は大なり小なり存在するようだ。
 魔獣だけでなく魔族や魔物と呼ばれる存在も魔石を保有している。
 ただ、人間族や亜人族には存在しないため、魔物や魔獣が魔法を使い続けるのはその差だと考えていられるそうだ。
 多分魔石が魔素を吸収して魔力によって放出されているのだろう。そう考えるとなかなか使い所の多そうなものだ。

 年月について
 世界は12個の月と30の日から成り立っている。これは俺が以前いた場所でも同じ状況だ。
 春夏秋冬の概念も聞いてみたが、同じように存在しているらしい。夏は暑く冬は寒い。地方にもよるが、雪が多く降る場所や、冬でも春並みに暖かい場所もあるとか。
 時間に関しても同じだが時計などはないらしい。基本的に街の鐘で時間を管理しており、鐘の音色で今の時間を把握しているそうだ。

 冒険者について
 この世には冒険者と呼ばれる便利屋がいるらしい。俺が身につけていたランクだとGランクと呼ばれる一番下の冒険者だそうだ。
 仕事はもっぱらお使いや掃除、店などの手伝いなどでたまに薬草採取もあるそうだ。
 元々この森は入り口周辺は初心者でも安全に潜れる場所で、薬草採取なども出来るようになっている。
 今いる場所は少し奥地にあり、多少の危険もあると言われているらしい。
 親を探しているとはいえ、そんなところに1人で来たエリィも何を考えてるのか。
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