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番外編
番外編③:子供と子供②
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ガロは薄暗い森を歩いていた。
風が木の葉を揺らせば、飛び出しそうな声を抑えてそちらを振り向く。
自分が踏みつけた木の枝の音に、飛び上がりそうになる体を抑えつける。
いつワイルドウルフに会うかわからない緊迫した状態だった。
しかしガロは目の前の草むらに兎を見つけた。
ライムラビット……比較的大人しく、肉は柔らかい。
ただ非常にすばしっこいので、先に見つけたら音を出さずに仕留めなければならない兎だ。
弓などの方が仕留めやすいが、今のガロには短剣しかない。
ガロは身を低くしてゆっくりと歩を進めた。
これを仕留めたら帰ろう。
1匹でも仕留めれば文句は言われないはずだ。
そう考えながら、持っている短剣を握りしめる。
(いまだっ!)
風を切る音と共にガロの短剣がライムラビットへ振り下ろされる。
しかし、間一髪で気付いたライムラビットがその場から飛び跳ねて避けようとした。
ザシュッ
ガロの短剣はライムラビットのお尻に当たった。
少し深い傷を負わせたのだが、ライムラビットは必死にその場から逃げ始める。
ここで逃しては意味がない。ガロも追いかけようと足に力を込めた。
「クソっ! まてっ!」
だがライムラビットの足は早い。
見る見るうちに離されていく。
それでもガロは追い続けた。
地面にはライムラビットの血が垂れている。
このまま追いつければ時期に体力をなくすだろう。
途中血の跡が濃くなった。
あの傷で走っていれば傷口も開く。
ガロは一度深呼吸すると、木の陰からライムラビットの方を覗き込んだ。
「あっ!」
そこにはライムラビットが血まみれでいた。
ただ先程とは違うのは他にも魔獣がいたのだ。
ワイルドウルフ。美しい赤と黒の毛並みが特徴的で、その目は鋭く光っている。
そしてその口には、ガロが傷を負わせたライムラビットが加えられていた。
ガロは思わず声を出してしまった。
その声にワイルドウルフが反応し、ガロを見つめている。
悪手だ。声を出したばかりにガロは見つかってしまった。
(に、逃げなきゃ……!)
ガロはすぐに後ろを向いて走り始めた。
先程の血痕が道しるべになってくれている。
森を出ればワイルドウルフが追ってくることもない。
ただひたすらに走り続けた。
しかし人間、しかも12歳の子供のスピードなどたかが知れている。
あっという間にワイルドウルフに追いつかれ、思いっきり体当たりを食らわせられた。
そのまま転ぶようにしてガロが地面に投げ出される。
「いってぇ……」
「グルルルル……」
ガロの持っていた短剣は茂みの方へと消えていた。
ワイルドウルフはガロを追い詰めるようにしてジリジリと距離を詰めてくる。
その口からはうなり声が聞こえ、ガロの心臓の音も響いていた。
(し、死ぬ……)
ガロに対抗手段はない。
しかも転んだ衝撃で足を捻ってしまっていた。
数時間休めば治るかもしれないが、目の前のワイルドウルフは待ってくれそうもない。
(なんで僕はーー)
こういう時は頭の回転が速くなる。
なぜついてきたのか。
なぜ引き返さなかったのか
そしてなぜ自分に力はないのか。
ガロの頭にサシャの笑顔が浮かんでくる。
いつも助けてくれる女の子。
ずっと恥ずかしくて、まともに会話したことも少ない。
もう、その子に会うことも出来なくなる。
(あぁ……神さま……)
「ウォン!」
「「ゴアァァ!」」
真ん中のワイルドウルフが短く鳴くと、両脇にいたワイルドウルフが飛びかかった。
鋭い爪を剥き出しにし、大きな口を開けながら。
(もうダメだ)そうガロは生を諦めた。
ガコッ
ドパン
喰われると思い目を瞑った時に、なにかを殴る音が聞こえてきた。
先程目の前にあった鋭い爪と牙がガロに食い込んだ様子はない。
恐る恐る目を開けると、ガロを守るようにワイルドウルフへ向かって立っている男がいた。
「グルルルル……」
「わりぃな。恨みはないが、仲間呼ばれると困るんで……ねっ!」
いつの間にか、ガロに襲いかかっていたワイルドウルフは死んでいた。
両方とも頭を潰され見るも無残な姿だ。
そして残っていた1匹が男に襲いかかった。
それを男が半歩ずれて避けると、そのまま腰を落とし真っ直ぐに拳で殴りつける。
先程聞こえてきた音と同時に、ワイルドウルフの頭が吹き飛んだ。
「……。…………」
声が出ないとはこの事だろう。
並みの冒険者でも苦戦すると言われるワイルドウルフが、たった一撃で殺された。
しかも男には余裕がある。
どれだけ強い男なのか想像できなかった。
ただただ驚愕し、口をパクパクと開けている。
男がワイルドウルフが死んだのを確認すると、耳に手を当てて周りの音を確認した。
一通り聴き終わったのか、手を下ろすとガロの近くに近づいてくる。
ガロもお礼を言おうと立ち上がると、先に口を開いたのは男だった。
「バカヤロウ!! ワイルドウルフの繁殖期を知らねーのか! 何してんだよこんなとこで!」
「ひぃっ!」
地面や空気を揺らすほどの大声で怒鳴られた。
その剣幕は先程のワイルドウルフの比ではない。
ガロはその声と表情に恐怖を覚えてしまった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「はぁ……俺がたまたま来たからいいものの……」
ケイドがその場に座ると、血のついたグローブを水で洗い始めた。
魔獣の血は放置しておくと汚れとして落ちなくなる。
耐久力も落ちやすいので、この作業は必須だ。
ガロはそこで涙を堪えながら立っていた。
何も言い返すことができない。
この結果を招いたのは自分自身だ。
いくら誘われたからといっても、挑発されたからといっても決めたのは自分。
涙を流しながら立ち尽くすしかなかった。
「まぁいいよ、座れ。んで何をしてたんだ?」
「……狩りを……しようってバークが……」
それからガロはポツポツと話し始めた。
ここに来たのはバークに誘われてきた。
大人にダメと言われていたが、挑発に乗ってしまいここまで来たこと。
狩りの勝負でライムラビットを狩ろうとしたら逃してしまい、追いかけていたらワイルドウルフに会ってしまった事。
そして今でもバーク達が何処かで狩りをしているはずな事も。
「いや、この森は今お前だけだ。その子供は見てない」
「えっ……」
男から事実を聞かされると、ガロはまた肩を落とした。
ハメられたんだと。あいつらは最初から狩りをする気なんてなかったんだと。
それからも男にバークの愚痴が漏れ始めてしまった。
話を始めると止まらなかった。
バーク達を恨んでいていつか復讐したい。
その気持ちも全部吐露してしまう。
男は何度も頷きながらそれを聞いていた。
「おじさん、その強さを……僕に教えてください!」
男が頷いていたのを止めた。
そしてガロの目を真っ直ぐ見る。
何もかも見ているような目。
ガロが唾を飲み込んだ。
「お前は……何のために力が欲しいんだ?」
「……復讐したい」
ガロは素直な気持ちを吐き出した。
いつもバークにやられ、恨みだけが募っている。
それを晴らすために、バークをボコボコに出来るようになりたい。
今まで味わった惨めな気持ちをバークにも味合わせたい。
そう本心からガロは男に口を開いた。
「……なるほどね。だがそれじゃダメだな。教えられん」
「何でですか!? 僕……強くなりたいんです……」
男から出て来た言葉は突き放し。
ガロが強くなりたいという気持ちは退けられた。
しかし男はそこで言葉を止めず、もう一度口を開いた。
「力ってのはいい加減な気持ちで持つと暴走する。それを止められる人間が近くにいればいいが、人生はそう都合よくは出来ていない」
「だから力を手に入れるってのは心も強くしなきゃダメだ。それで俺は……一番の弟子を亡くしたんだ」
「……そうだな、明日まで俺はここにいるから、もう一度考えてから来い」
「…………わかりました」
男がガロに語る姿は、何処と無く寂しい雰囲気を醸し出していた。
それはガロにも伝わる。今までに何かあった。弟子を亡くした。
だから男はガロの事を本気で心配しながら言っているのだ。
だが、帰ってから考えてもガロは変わらないだろう。
何年も募った恨みがそう変わることは絶対にない。
しかし明日も来れば、もしかしたら力を教えてくれるかもしれない。
そうガロは考えると、その場から立ち去ろうとした。
ここはもう殆ど森の入り口だ。
一人で歩いて帰るのも問題はない。
立ち去ろうとした時に、男が声をかけて来た。
「あぁ、お前の名前は?」
「僕は……僕はガロ。おじさんは?」
おじさんと言われ少し諦めたような笑みを男が浮かべた。
「俺か? おにーさんの名前はケイドだ。誰にも言うんじゃねーぞ?」
風が木の葉を揺らせば、飛び出しそうな声を抑えてそちらを振り向く。
自分が踏みつけた木の枝の音に、飛び上がりそうになる体を抑えつける。
いつワイルドウルフに会うかわからない緊迫した状態だった。
しかしガロは目の前の草むらに兎を見つけた。
ライムラビット……比較的大人しく、肉は柔らかい。
ただ非常にすばしっこいので、先に見つけたら音を出さずに仕留めなければならない兎だ。
弓などの方が仕留めやすいが、今のガロには短剣しかない。
ガロは身を低くしてゆっくりと歩を進めた。
これを仕留めたら帰ろう。
1匹でも仕留めれば文句は言われないはずだ。
そう考えながら、持っている短剣を握りしめる。
(いまだっ!)
風を切る音と共にガロの短剣がライムラビットへ振り下ろされる。
しかし、間一髪で気付いたライムラビットがその場から飛び跳ねて避けようとした。
ザシュッ
ガロの短剣はライムラビットのお尻に当たった。
少し深い傷を負わせたのだが、ライムラビットは必死にその場から逃げ始める。
ここで逃しては意味がない。ガロも追いかけようと足に力を込めた。
「クソっ! まてっ!」
だがライムラビットの足は早い。
見る見るうちに離されていく。
それでもガロは追い続けた。
地面にはライムラビットの血が垂れている。
このまま追いつければ時期に体力をなくすだろう。
途中血の跡が濃くなった。
あの傷で走っていれば傷口も開く。
ガロは一度深呼吸すると、木の陰からライムラビットの方を覗き込んだ。
「あっ!」
そこにはライムラビットが血まみれでいた。
ただ先程とは違うのは他にも魔獣がいたのだ。
ワイルドウルフ。美しい赤と黒の毛並みが特徴的で、その目は鋭く光っている。
そしてその口には、ガロが傷を負わせたライムラビットが加えられていた。
ガロは思わず声を出してしまった。
その声にワイルドウルフが反応し、ガロを見つめている。
悪手だ。声を出したばかりにガロは見つかってしまった。
(に、逃げなきゃ……!)
ガロはすぐに後ろを向いて走り始めた。
先程の血痕が道しるべになってくれている。
森を出ればワイルドウルフが追ってくることもない。
ただひたすらに走り続けた。
しかし人間、しかも12歳の子供のスピードなどたかが知れている。
あっという間にワイルドウルフに追いつかれ、思いっきり体当たりを食らわせられた。
そのまま転ぶようにしてガロが地面に投げ出される。
「いってぇ……」
「グルルルル……」
ガロの持っていた短剣は茂みの方へと消えていた。
ワイルドウルフはガロを追い詰めるようにしてジリジリと距離を詰めてくる。
その口からはうなり声が聞こえ、ガロの心臓の音も響いていた。
(し、死ぬ……)
ガロに対抗手段はない。
しかも転んだ衝撃で足を捻ってしまっていた。
数時間休めば治るかもしれないが、目の前のワイルドウルフは待ってくれそうもない。
(なんで僕はーー)
こういう時は頭の回転が速くなる。
なぜついてきたのか。
なぜ引き返さなかったのか
そしてなぜ自分に力はないのか。
ガロの頭にサシャの笑顔が浮かんでくる。
いつも助けてくれる女の子。
ずっと恥ずかしくて、まともに会話したことも少ない。
もう、その子に会うことも出来なくなる。
(あぁ……神さま……)
「ウォン!」
「「ゴアァァ!」」
真ん中のワイルドウルフが短く鳴くと、両脇にいたワイルドウルフが飛びかかった。
鋭い爪を剥き出しにし、大きな口を開けながら。
(もうダメだ)そうガロは生を諦めた。
ガコッ
ドパン
喰われると思い目を瞑った時に、なにかを殴る音が聞こえてきた。
先程目の前にあった鋭い爪と牙がガロに食い込んだ様子はない。
恐る恐る目を開けると、ガロを守るようにワイルドウルフへ向かって立っている男がいた。
「グルルルル……」
「わりぃな。恨みはないが、仲間呼ばれると困るんで……ねっ!」
いつの間にか、ガロに襲いかかっていたワイルドウルフは死んでいた。
両方とも頭を潰され見るも無残な姿だ。
そして残っていた1匹が男に襲いかかった。
それを男が半歩ずれて避けると、そのまま腰を落とし真っ直ぐに拳で殴りつける。
先程聞こえてきた音と同時に、ワイルドウルフの頭が吹き飛んだ。
「……。…………」
声が出ないとはこの事だろう。
並みの冒険者でも苦戦すると言われるワイルドウルフが、たった一撃で殺された。
しかも男には余裕がある。
どれだけ強い男なのか想像できなかった。
ただただ驚愕し、口をパクパクと開けている。
男がワイルドウルフが死んだのを確認すると、耳に手を当てて周りの音を確認した。
一通り聴き終わったのか、手を下ろすとガロの近くに近づいてくる。
ガロもお礼を言おうと立ち上がると、先に口を開いたのは男だった。
「バカヤロウ!! ワイルドウルフの繁殖期を知らねーのか! 何してんだよこんなとこで!」
「ひぃっ!」
地面や空気を揺らすほどの大声で怒鳴られた。
その剣幕は先程のワイルドウルフの比ではない。
ガロはその声と表情に恐怖を覚えてしまった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「はぁ……俺がたまたま来たからいいものの……」
ケイドがその場に座ると、血のついたグローブを水で洗い始めた。
魔獣の血は放置しておくと汚れとして落ちなくなる。
耐久力も落ちやすいので、この作業は必須だ。
ガロはそこで涙を堪えながら立っていた。
何も言い返すことができない。
この結果を招いたのは自分自身だ。
いくら誘われたからといっても、挑発されたからといっても決めたのは自分。
涙を流しながら立ち尽くすしかなかった。
「まぁいいよ、座れ。んで何をしてたんだ?」
「……狩りを……しようってバークが……」
それからガロはポツポツと話し始めた。
ここに来たのはバークに誘われてきた。
大人にダメと言われていたが、挑発に乗ってしまいここまで来たこと。
狩りの勝負でライムラビットを狩ろうとしたら逃してしまい、追いかけていたらワイルドウルフに会ってしまった事。
そして今でもバーク達が何処かで狩りをしているはずな事も。
「いや、この森は今お前だけだ。その子供は見てない」
「えっ……」
男から事実を聞かされると、ガロはまた肩を落とした。
ハメられたんだと。あいつらは最初から狩りをする気なんてなかったんだと。
それからも男にバークの愚痴が漏れ始めてしまった。
話を始めると止まらなかった。
バーク達を恨んでいていつか復讐したい。
その気持ちも全部吐露してしまう。
男は何度も頷きながらそれを聞いていた。
「おじさん、その強さを……僕に教えてください!」
男が頷いていたのを止めた。
そしてガロの目を真っ直ぐ見る。
何もかも見ているような目。
ガロが唾を飲み込んだ。
「お前は……何のために力が欲しいんだ?」
「……復讐したい」
ガロは素直な気持ちを吐き出した。
いつもバークにやられ、恨みだけが募っている。
それを晴らすために、バークをボコボコに出来るようになりたい。
今まで味わった惨めな気持ちをバークにも味合わせたい。
そう本心からガロは男に口を開いた。
「……なるほどね。だがそれじゃダメだな。教えられん」
「何でですか!? 僕……強くなりたいんです……」
男から出て来た言葉は突き放し。
ガロが強くなりたいという気持ちは退けられた。
しかし男はそこで言葉を止めず、もう一度口を開いた。
「力ってのはいい加減な気持ちで持つと暴走する。それを止められる人間が近くにいればいいが、人生はそう都合よくは出来ていない」
「だから力を手に入れるってのは心も強くしなきゃダメだ。それで俺は……一番の弟子を亡くしたんだ」
「……そうだな、明日まで俺はここにいるから、もう一度考えてから来い」
「…………わかりました」
男がガロに語る姿は、何処と無く寂しい雰囲気を醸し出していた。
それはガロにも伝わる。今までに何かあった。弟子を亡くした。
だから男はガロの事を本気で心配しながら言っているのだ。
だが、帰ってから考えてもガロは変わらないだろう。
何年も募った恨みがそう変わることは絶対にない。
しかし明日も来れば、もしかしたら力を教えてくれるかもしれない。
そうガロは考えると、その場から立ち去ろうとした。
ここはもう殆ど森の入り口だ。
一人で歩いて帰るのも問題はない。
立ち去ろうとした時に、男が声をかけて来た。
「あぁ、お前の名前は?」
「僕は……僕はガロ。おじさんは?」
おじさんと言われ少し諦めたような笑みを男が浮かべた。
「俺か? おにーさんの名前はケイドだ。誰にも言うんじゃねーぞ?」
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