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結果
最終話:幸せなんて人それぞれだ。自分の命をかけてでも俺の幸せは守りたい。
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「ありが……とう……」
まだ礼を言うのは早い。
思い出せ。
じーさんはなんと言ってた?
『ククク……。もうコアを破壊するしかない。そうすれば全ての力は霧散するぞ?』
そうだ。コアの破壊だ。
今リムを苦しめている力を霧散させる。
そのためにはコアの破壊が必須だ!
『コアを破壊すれば再生は不可能じゃ……そして……いやお主には……無理じゃな』
なぜじーさんは優しい顔に戻った?
そして……の続きはなんだ?
俺に託したんじゃないのか?
俺には無理でも、他に方法があるんじゃないか?
『万が一……生き返せるなら……リムを頼むぞ……』
そうだ。
生き返せられればリムは戻るかもしれない。
いや、戻るんだ。
じゃなきゃじーさんが俺に話した意味はない!
「……まだだ。まだ終わってない!!」
リムの体内にあるコアを破壊した。
覆っていた黒いオーラは全て消え、リムだけになっている。
ここだ。このタイミングしかない。
まだ微かに意思がある今だけがチャンスなんだ。
俺はリムに突き刺さっていた拳をさらに握りしめた。
手に握っていたのは、初めてリムと出会った場所に生えていた秘薬の素。
常人に絞った原液のまま使えば、過剰回復になってしまう危険物。
だけどな。死にゆく者に使うにはこれしかない。
ましてやリムは神だろ?
この回復に耐えて戻ってこい!
拳をさらに強く握りしめ、秘薬の素から液体が絞り出される。
たった一滴。それでも効果は絶大だ。
その素をリムの体内に置き腕を引っ込める。
少しの間触った弊害か、俺の手はボロボロだ。
「リム……」
リムのお腹から何本もの金色に光る線が飛び出てくる。
それが全身を包み込むようにしてリムを空中に浮かせた。
その間リムの表情は変わらない。
着ていた服は全て溶けて、裸体が露わになっている。
俺にできることは……。
「リム!戻ってこい!リム!!」
声をかけることだけだ。
少しでも、ほんの少しでも可能性があるなら賭けたい。
俺は必死にリムの名前を叫び続けた。
光が落ち着いて行く。
だがリムの表情に変化はない。
リムを包んでいた光が収束を始め、空中からゆっくりと下がってきた。
俺は羽織っていたマントを広げ、リムを包むようにキャッチする。
大人体型だ。リムの胸に耳を当てて確認する。
動いている。
リムは死んでいない!生きている!
「リム!リム!!」
「…………ぁ」
「リム!俺だ!ケイドだ!わかるか!?」
「ケ……イ……ド……?」
薄っすらと目を開けて俺を見た。
生きてる。リムは生きてる!
俺は嬉しさのあまり涙が流れ始めた。
「リム……リム!よかった……本当によかった……」
「ケイド……泣いてるの?」
「あ、あぁ。男は嬉しい時でも泣くんだ……」
よかった。
本当によかった。
リムが生きててくれて本当に良かった。
俺は嬉しさのあまり、リムを抱きしめた。
「リム、どこかおかしい所はないか?痛いとか苦しいとか……」
「ケイド、今苦しいよ。リムは大丈夫だから、ね?」
気付かなかった。俺は慌ててリムから離れた。
でも本当に良かった。
リムが生きててくれて……。
その瞬間、俺を包んでいた光も消えた。
「ゴフッ」
「ケイド!?」
俺は口から血を吐き出した。
いや……これも予想通りなんだ。
あんな状態で奥義を使ったんだ。
もう体はもたないだろう。
俺の生命力を変化させて撃つ最終奥義。
あれじゃなきゃリムのコアどころか傷すら付けられなかっただろう。
いいんだ。リムさえ生きててくれれば。
「ゴハッ……ゲホッ……ゲホッ……」
「ケイド!!」
あぁすまんなリム。
俺はここで終わりそうだ。
だが悔いはないぞ。
今までリムと一緒に過ごしてきた時間。
今までの人生で一番輝いていたのかもしれないな。
リムが俺を支えるように抱えてくる。
膝枕……か。初めてだな。少し恥ずかしいぜ。
「ケイド!嫌だよ!ケイド!!」
「リム、ごめん……な」
目も霞んできやがった。
リムの泣き顔は見たくなかったが……ごめんな。
俺の分まで強く生きてくれ。
ゴゴゴゴゴーーーー
塔まで崩れ始めたか。
俺の墓場にしちゃでけーな。
いやそんな事を言ってる場合じゃない。
リムだけでも逃げてもらわないと。
「リム……逃げ……ゴホッ」
「◯※◼︎%◎∀$◇」
はっ。
もう何を言ってるのかもわからなくなってきた。
五感の感覚はない。
いや、最後までリムの膝枕の感触は伝わってくる。
ははっ。
美女に看取って貰えるなんて、最高の人生じゃないか。
「認めない!嫌だ!絶対に嫌だ!!」
意識が絶たれる寸前に、暖かい感覚と唇に柔らかい感触を感じた。
俺の冒険はここまで……だ。
◇◆◇
人里離れた場所にある小さな街『エルダー』
あまり栄えてはいないが、それなりに冒険者や商人は多い。
人が暮らして行くには十分な場所だ。
そんな街に1人の女の子が住んでいた。
年齢は10歳にも満たないだろう。
腰まで伸ばした金色の髪が風になびいている。
もう5年も経てば、誰もが振り向く程の美人に成長すること間違いない。
その女の子が街の商店街を歩いていた。
「よー、嬢ちゃん。うちのパンはどーだ?」
「はい!今日もほしいです!」
「あら?今朝取れた野菜あるわよー?」
「買いまーす!」
「お?リムちゃん!今日は滅多に手に入らない肉があるぜー?」
「おぉ!売ってくださいー」
女の子ーーリムが色んな人に声をかけられて買い物を進めて行く。
この街にきて既に数ヶ月経っている。顔も覚えられているのだ。
商店街のおじさんやおばさんはいつもニコニコしながらリムを迎えてくれる。
リムもそこでは自然と笑顔になれた。
「ただいまー」
リムは買い物をすませると、街から少し離れた一軒家に向かった。
玄関から入り、いつものように声をかけるが返事はない。
いや返事がないのはわかっていた。
何も気にしないような素振りで、買ってきた食料を調理場へと運んだ。
「~~♪ ~~♪」
今日の夕飯に使う分を残し、買ってきた食料をしまって行く。
リムの背ではまだ調理場は高さがある。
台座を3つほど用意し、前掛けを羽織るとなれた手つきで料理を進めた。
あれから既に1年は経過している。
今日はケイドが好きな肉の煮込みだ。
毎年必ず、この日にはそれを食べると決めている。
今日はその2回目、前回よりも美味しく作れるだろう。
家のリビングには、あの時リムを巻いたマントが置いてある。
ボロボロなマントだが捨てる気にはならない。
あのマントにはリムの想い出も詰まっている。
家の中にはリム以外の物音はしない。
1人で住むには少し大きい家だが、リムは気にしていなかった。
ベットのサイズも少し大きめだ
「~~♪ よーし、こんなものかな?」
あとは時間を見てじっくり煮込んで行くだけだ。
最後に香草を入れ、肉の臭みを消して行く。
これもケイドと旅していた時に教えてもらった知恵だ。
吹きこぼれないように弱火にし、食器棚から皿を取り出す。
皿は2つ。ケイドの分も用意してある。
肉を煮込む間に野菜を使った簡単なサラダも用意する。
「ケイドが見たら文句言うかな?」
ケイドは野菜嫌いだ。
男は野菜などーーなんて言ってた時が懐かしい。
いつの日か聞いた話で、野菜も食べなきゃ体に悪い事を知った。
それ以来無理矢理でもケイドには食べさせていたのだ。
「ふふっ」
そして買ってきたパンをスライスして行く。
これもケイドから教えてもらったが、そのまま齧り付くよりもスライスした方が食べやすい。
肉を乗せてパンと一緒に頬張るのがいいらしい。
上機嫌そうなリムがテキパキと料理を用意して行く。
リビングのテーブルにサラダとパンを並べ、あとは肉を用意すれば出来上がりだ。
ふと視界に入ったマントを眺める。
「……ケイド」
まだ年端も行かない女の子だ。
いくら取り繕ったとしても、やはり寂しさはあるのだろう。
マントを見る目にはその寂しさが宿っている。
リムの口から自然ともう一度言葉が出てきた。
「……ケイド」
「おう、呼んだか?」
「ケイド!!」
リムが声をした方に向くとケイドが立っていた。
右手には狩ってきた魔物の肉が握られている。
「もー!遅かったじゃない!!」
「すまんすまん。ちょっと道草食っててな。ほれ」
ケイドが背中に回していた左手をリムに差し出した。
その手には色鮮やかな花束が握られている。
「うわぁ……どうして?」
「言っただろ?今日はリムの誕生日だ。生まれ変わったリムの記念日にな」
少しキザっぽい笑顔を見せるケイド。
花束を受け取ったリムがケイドに抱きついてきた。
「ありがとう!!ケイド!大好きだよ?」
「へへっ。いいってことよ!」
リムに手を引っ張りれてリビングへと向かう。
途中狩ってきた肉は保存庫行きだ。
その間に出来上がった煮込みをリムが持ってくる。
美味しそうな匂いがケイドの鼻を擽ぐった。
「んあ!?また野菜かよ!」
「ちゃんと食べなきゃダメだよー?」
「へいへい。これもいい男の試練かな」
「ん?なーに?」
「いや、なんでもないよ。んじゃ食べよっか!」
「はーい!」
楽しそうな笑顔と会話が続いて行く。
彼らの冒険はこれでひとまず終了だ。
ケイド……いやおっさんはその手に幸せを掴むことが出来た。
めでたし、めでたし。
to be continued
ーーーーーーーーーー
さて、追放されたおっさんのメインストーリーはここまでですが……この後設定集を挟んだ後に番外編が続きます (`・ω・´)
そちらもぜひお楽しみくださいませ(*´ω`*)
まだ礼を言うのは早い。
思い出せ。
じーさんはなんと言ってた?
『ククク……。もうコアを破壊するしかない。そうすれば全ての力は霧散するぞ?』
そうだ。コアの破壊だ。
今リムを苦しめている力を霧散させる。
そのためにはコアの破壊が必須だ!
『コアを破壊すれば再生は不可能じゃ……そして……いやお主には……無理じゃな』
なぜじーさんは優しい顔に戻った?
そして……の続きはなんだ?
俺に託したんじゃないのか?
俺には無理でも、他に方法があるんじゃないか?
『万が一……生き返せるなら……リムを頼むぞ……』
そうだ。
生き返せられればリムは戻るかもしれない。
いや、戻るんだ。
じゃなきゃじーさんが俺に話した意味はない!
「……まだだ。まだ終わってない!!」
リムの体内にあるコアを破壊した。
覆っていた黒いオーラは全て消え、リムだけになっている。
ここだ。このタイミングしかない。
まだ微かに意思がある今だけがチャンスなんだ。
俺はリムに突き刺さっていた拳をさらに握りしめた。
手に握っていたのは、初めてリムと出会った場所に生えていた秘薬の素。
常人に絞った原液のまま使えば、過剰回復になってしまう危険物。
だけどな。死にゆく者に使うにはこれしかない。
ましてやリムは神だろ?
この回復に耐えて戻ってこい!
拳をさらに強く握りしめ、秘薬の素から液体が絞り出される。
たった一滴。それでも効果は絶大だ。
その素をリムの体内に置き腕を引っ込める。
少しの間触った弊害か、俺の手はボロボロだ。
「リム……」
リムのお腹から何本もの金色に光る線が飛び出てくる。
それが全身を包み込むようにしてリムを空中に浮かせた。
その間リムの表情は変わらない。
着ていた服は全て溶けて、裸体が露わになっている。
俺にできることは……。
「リム!戻ってこい!リム!!」
声をかけることだけだ。
少しでも、ほんの少しでも可能性があるなら賭けたい。
俺は必死にリムの名前を叫び続けた。
光が落ち着いて行く。
だがリムの表情に変化はない。
リムを包んでいた光が収束を始め、空中からゆっくりと下がってきた。
俺は羽織っていたマントを広げ、リムを包むようにキャッチする。
大人体型だ。リムの胸に耳を当てて確認する。
動いている。
リムは死んでいない!生きている!
「リム!リム!!」
「…………ぁ」
「リム!俺だ!ケイドだ!わかるか!?」
「ケ……イ……ド……?」
薄っすらと目を開けて俺を見た。
生きてる。リムは生きてる!
俺は嬉しさのあまり涙が流れ始めた。
「リム……リム!よかった……本当によかった……」
「ケイド……泣いてるの?」
「あ、あぁ。男は嬉しい時でも泣くんだ……」
よかった。
本当によかった。
リムが生きててくれて本当に良かった。
俺は嬉しさのあまり、リムを抱きしめた。
「リム、どこかおかしい所はないか?痛いとか苦しいとか……」
「ケイド、今苦しいよ。リムは大丈夫だから、ね?」
気付かなかった。俺は慌ててリムから離れた。
でも本当に良かった。
リムが生きててくれて……。
その瞬間、俺を包んでいた光も消えた。
「ゴフッ」
「ケイド!?」
俺は口から血を吐き出した。
いや……これも予想通りなんだ。
あんな状態で奥義を使ったんだ。
もう体はもたないだろう。
俺の生命力を変化させて撃つ最終奥義。
あれじゃなきゃリムのコアどころか傷すら付けられなかっただろう。
いいんだ。リムさえ生きててくれれば。
「ゴハッ……ゲホッ……ゲホッ……」
「ケイド!!」
あぁすまんなリム。
俺はここで終わりそうだ。
だが悔いはないぞ。
今までリムと一緒に過ごしてきた時間。
今までの人生で一番輝いていたのかもしれないな。
リムが俺を支えるように抱えてくる。
膝枕……か。初めてだな。少し恥ずかしいぜ。
「ケイド!嫌だよ!ケイド!!」
「リム、ごめん……な」
目も霞んできやがった。
リムの泣き顔は見たくなかったが……ごめんな。
俺の分まで強く生きてくれ。
ゴゴゴゴゴーーーー
塔まで崩れ始めたか。
俺の墓場にしちゃでけーな。
いやそんな事を言ってる場合じゃない。
リムだけでも逃げてもらわないと。
「リム……逃げ……ゴホッ」
「◯※◼︎%◎∀$◇」
はっ。
もう何を言ってるのかもわからなくなってきた。
五感の感覚はない。
いや、最後までリムの膝枕の感触は伝わってくる。
ははっ。
美女に看取って貰えるなんて、最高の人生じゃないか。
「認めない!嫌だ!絶対に嫌だ!!」
意識が絶たれる寸前に、暖かい感覚と唇に柔らかい感触を感じた。
俺の冒険はここまで……だ。
◇◆◇
人里離れた場所にある小さな街『エルダー』
あまり栄えてはいないが、それなりに冒険者や商人は多い。
人が暮らして行くには十分な場所だ。
そんな街に1人の女の子が住んでいた。
年齢は10歳にも満たないだろう。
腰まで伸ばした金色の髪が風になびいている。
もう5年も経てば、誰もが振り向く程の美人に成長すること間違いない。
その女の子が街の商店街を歩いていた。
「よー、嬢ちゃん。うちのパンはどーだ?」
「はい!今日もほしいです!」
「あら?今朝取れた野菜あるわよー?」
「買いまーす!」
「お?リムちゃん!今日は滅多に手に入らない肉があるぜー?」
「おぉ!売ってくださいー」
女の子ーーリムが色んな人に声をかけられて買い物を進めて行く。
この街にきて既に数ヶ月経っている。顔も覚えられているのだ。
商店街のおじさんやおばさんはいつもニコニコしながらリムを迎えてくれる。
リムもそこでは自然と笑顔になれた。
「ただいまー」
リムは買い物をすませると、街から少し離れた一軒家に向かった。
玄関から入り、いつものように声をかけるが返事はない。
いや返事がないのはわかっていた。
何も気にしないような素振りで、買ってきた食料を調理場へと運んだ。
「~~♪ ~~♪」
今日の夕飯に使う分を残し、買ってきた食料をしまって行く。
リムの背ではまだ調理場は高さがある。
台座を3つほど用意し、前掛けを羽織るとなれた手つきで料理を進めた。
あれから既に1年は経過している。
今日はケイドが好きな肉の煮込みだ。
毎年必ず、この日にはそれを食べると決めている。
今日はその2回目、前回よりも美味しく作れるだろう。
家のリビングには、あの時リムを巻いたマントが置いてある。
ボロボロなマントだが捨てる気にはならない。
あのマントにはリムの想い出も詰まっている。
家の中にはリム以外の物音はしない。
1人で住むには少し大きい家だが、リムは気にしていなかった。
ベットのサイズも少し大きめだ
「~~♪ よーし、こんなものかな?」
あとは時間を見てじっくり煮込んで行くだけだ。
最後に香草を入れ、肉の臭みを消して行く。
これもケイドと旅していた時に教えてもらった知恵だ。
吹きこぼれないように弱火にし、食器棚から皿を取り出す。
皿は2つ。ケイドの分も用意してある。
肉を煮込む間に野菜を使った簡単なサラダも用意する。
「ケイドが見たら文句言うかな?」
ケイドは野菜嫌いだ。
男は野菜などーーなんて言ってた時が懐かしい。
いつの日か聞いた話で、野菜も食べなきゃ体に悪い事を知った。
それ以来無理矢理でもケイドには食べさせていたのだ。
「ふふっ」
そして買ってきたパンをスライスして行く。
これもケイドから教えてもらったが、そのまま齧り付くよりもスライスした方が食べやすい。
肉を乗せてパンと一緒に頬張るのがいいらしい。
上機嫌そうなリムがテキパキと料理を用意して行く。
リビングのテーブルにサラダとパンを並べ、あとは肉を用意すれば出来上がりだ。
ふと視界に入ったマントを眺める。
「……ケイド」
まだ年端も行かない女の子だ。
いくら取り繕ったとしても、やはり寂しさはあるのだろう。
マントを見る目にはその寂しさが宿っている。
リムの口から自然ともう一度言葉が出てきた。
「……ケイド」
「おう、呼んだか?」
「ケイド!!」
リムが声をした方に向くとケイドが立っていた。
右手には狩ってきた魔物の肉が握られている。
「もー!遅かったじゃない!!」
「すまんすまん。ちょっと道草食っててな。ほれ」
ケイドが背中に回していた左手をリムに差し出した。
その手には色鮮やかな花束が握られている。
「うわぁ……どうして?」
「言っただろ?今日はリムの誕生日だ。生まれ変わったリムの記念日にな」
少しキザっぽい笑顔を見せるケイド。
花束を受け取ったリムがケイドに抱きついてきた。
「ありがとう!!ケイド!大好きだよ?」
「へへっ。いいってことよ!」
リムに手を引っ張りれてリビングへと向かう。
途中狩ってきた肉は保存庫行きだ。
その間に出来上がった煮込みをリムが持ってくる。
美味しそうな匂いがケイドの鼻を擽ぐった。
「んあ!?また野菜かよ!」
「ちゃんと食べなきゃダメだよー?」
「へいへい。これもいい男の試練かな」
「ん?なーに?」
「いや、なんでもないよ。んじゃ食べよっか!」
「はーい!」
楽しそうな笑顔と会話が続いて行く。
彼らの冒険はこれでひとまず終了だ。
ケイド……いやおっさんはその手に幸せを掴むことが出来た。
めでたし、めでたし。
to be continued
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さて、追放されたおっさんのメインストーリーはここまでですが……この後設定集を挟んだ後に番外編が続きます (`・ω・´)
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15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
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