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第3話
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隼人が賢者の石の魔法陣を修正している間に、ゴーレムは部屋の片付けと掃除を終わらせた。見違える程綺麗になった部屋で、隼人は賢者の石の魔法陣を展開。
「また汚したら頼む」
そうゴーレムに告げ、魔法陣に魔力を注ぐ。その瞬間、魔法陣は馬鹿みたいに呆気なく賢者の石を吐き出した。
「...え」
拾って良く観察するが、それは紛れもなく賢者の石だ。再度魔法陣を展開し、もう一度魔力を注ぐ。魔法陣は同じようにポコンッと賢者の石を吐き出す。隼人は頭を抱え、賢者の石を拾った。賢者の石とは、万物の根源。別名〈神の石〉と呼ばれるそれは、この世に存在するありとあらゆる物質に変換出来る。金、宝石、希少な鉱石、人間や植物などの生命体、その他色々。文字通り、この世に存在する全てを手に入れられる。確かに賢者の石生成に関するプロセスは複雑怪奇で、並の錬金術師に思い付くものではない。だが思い付いてしまったが最後、少し魔力を注ぐだけで犬猫が糞をするように出てくるというのはあまりに衝撃的で。賢者の石生成の為に命を落とした記憶がある隼人にとっては怒りすら覚える。
「まぁ、言ってもしょうがないか」
3つになった賢者の石でお手玉をしながら、隼人は今後の方針を考えた。賢者の石が宙を舞う度に、ゴーレムがそれを目で追う。それに気を取られて賢者の石を落とし、拾おうとした瞬間。隼人は自身の骨の指が目に付いた。
「身体を作ろう。どうせだからカッコイイ奴を。それと強いやつ」
賢者の石を材料に白紙の本を1冊錬成し、もう1つの賢者の石でボールペンを錬成。机に移動して、1ページ目を開く。
「人里に入れるくらい写実的な造形にする必要があるな。あとはこの骨の身体を守る為に鎧としての役目も必要だ。剣とか使えないから戦闘スタイルは遠距離重視。魔法と、後は銃も作りたい。それと便利さも欲しいな。俺って味とか分かるのかな? まぁいいや。五感を再現出来る機能とか...いや、どうせならスーパーヒーローレベルに鋭い五感を...でもそうなると不便そうだから調節出来るようにするか。あとは...」
欲しい機能や必要要素を書き出して、それを実現する為の方法を考え書き足す。白紙だったページはあっという間に文字でビッシリと埋まっていき、書き込むページがどんどん進む。最高の錬金術師の知識と地球の現代知識が合わさって化学反応を起こし、全く新しい技術が生まれ。それが原因で身体づくりは徐々に脱線して最終決戦兵器じみていく。白骨故に空腹も疲れも感じず、集中力といった概念どころか時間の概念そのものが希薄だった。
一心不乱に本に書き込む隼人の背後で、ゴーレムは宙を漂う埃を捕まえようと奇妙なダンスを披露していた。しかし隼人がそれに気付いたのは、白紙の本が4冊丸々文字で埋まってからの事だった。
「また汚したら頼む」
そうゴーレムに告げ、魔法陣に魔力を注ぐ。その瞬間、魔法陣は馬鹿みたいに呆気なく賢者の石を吐き出した。
「...え」
拾って良く観察するが、それは紛れもなく賢者の石だ。再度魔法陣を展開し、もう一度魔力を注ぐ。魔法陣は同じようにポコンッと賢者の石を吐き出す。隼人は頭を抱え、賢者の石を拾った。賢者の石とは、万物の根源。別名〈神の石〉と呼ばれるそれは、この世に存在するありとあらゆる物質に変換出来る。金、宝石、希少な鉱石、人間や植物などの生命体、その他色々。文字通り、この世に存在する全てを手に入れられる。確かに賢者の石生成に関するプロセスは複雑怪奇で、並の錬金術師に思い付くものではない。だが思い付いてしまったが最後、少し魔力を注ぐだけで犬猫が糞をするように出てくるというのはあまりに衝撃的で。賢者の石生成の為に命を落とした記憶がある隼人にとっては怒りすら覚える。
「まぁ、言ってもしょうがないか」
3つになった賢者の石でお手玉をしながら、隼人は今後の方針を考えた。賢者の石が宙を舞う度に、ゴーレムがそれを目で追う。それに気を取られて賢者の石を落とし、拾おうとした瞬間。隼人は自身の骨の指が目に付いた。
「身体を作ろう。どうせだからカッコイイ奴を。それと強いやつ」
賢者の石を材料に白紙の本を1冊錬成し、もう1つの賢者の石でボールペンを錬成。机に移動して、1ページ目を開く。
「人里に入れるくらい写実的な造形にする必要があるな。あとはこの骨の身体を守る為に鎧としての役目も必要だ。剣とか使えないから戦闘スタイルは遠距離重視。魔法と、後は銃も作りたい。それと便利さも欲しいな。俺って味とか分かるのかな? まぁいいや。五感を再現出来る機能とか...いや、どうせならスーパーヒーローレベルに鋭い五感を...でもそうなると不便そうだから調節出来るようにするか。あとは...」
欲しい機能や必要要素を書き出して、それを実現する為の方法を考え書き足す。白紙だったページはあっという間に文字でビッシリと埋まっていき、書き込むページがどんどん進む。最高の錬金術師の知識と地球の現代知識が合わさって化学反応を起こし、全く新しい技術が生まれ。それが原因で身体づくりは徐々に脱線して最終決戦兵器じみていく。白骨故に空腹も疲れも感じず、集中力といった概念どころか時間の概念そのものが希薄だった。
一心不乱に本に書き込む隼人の背後で、ゴーレムは宙を漂う埃を捕まえようと奇妙なダンスを披露していた。しかし隼人がそれに気付いたのは、白紙の本が4冊丸々文字で埋まってからの事だった。
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