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第2話 鬼ごっこ.1

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薄暗い廊下を懐中電灯で照らしながら歩いて行く。

オバケに警戒しながらも、真っ直ぐに続く廊下を進んでいると、右と左と真ん中で別れ道になっているのが見える。
ノートに書かれた図面の通りだと、左に曲がって行くと迷路のような通路になっており、迷わずに進むとその先に出口があるみたいだ。
間取り図を頼りに見て行かないと出口には辿り着けなくなってしまいそうだ。

ポタ… ポタ…

右側の通路から、微かに水が滴る音が聞こえてくる。
間取り図を見ると、お風呂場があるようだ。

「ここからだと距離があるのに、何で近くで音がするんだろう…?」

お風呂場は先が見えない程奥の突き当たりを左にあるはずなのだが、ここまで水の音が聞こえてくるものなのか。

ポタポタ… ポタ…

それはだんだんはっきりと聞こえてきて、何かが自分の方に向かって来ている気配がした途端、あみは走っていた。




















「はぁはぁ…っ結構走ったから、大丈夫なはず……」

オバケが自分の後をついて来てないか不安だったが、滴る音が聞こえなくなったので安心する。

息を整えてる間に周りを見回して、自分が今どこにいるのかを確認するが、逃げる為に適当な道を進んできたので、どこまで来たのか分からなくなってしまっている。

それでもどうにか元の道に戻れないかと、間取り図を見ながら歩いていると、何かにぶつかってあみは後ろに転んでしまった。

カタン…!

強く当たって、持っていた懐中電灯は落としてしまい、ライトが付いたまま奥の方まで転がっていく。

懐中電灯が止まったと同時に、何にぶつかったのか見上げるまでもなく、赤い足がライトで照らされる。

「え…」

そっと、顔を上にあげると、赤い足の正体を見る。
身の毛もよだつ、恐ろしい存在が、あみの目の前に立っていた。

「!!!」

全身が真っ赤な肌に、額には角、黒くて長い髪は腰まで伸びている。“鬼”のような見た目のオバケだ。
顔はとてもじゃないが、怖くてもう見れない。

急いでその場から離れようと立ち上がり、走って逃げた時。

『10…』

「え?」

『9…』

“鬼”が、数を数え始める。

『8…』

「!」

数を数え終わったら捕まえに来ると思ったあみは、もっと遠くに逃げようと思いっ切り走る。

(数え終わる前に遠くに逃げないと…!!)

『7…』

長い廊下を突き進んで行く。
薄暗さに目が慣れてきたのか、周りが少し見える。

『6…』

突き当たりを右に曲がって走って、鬼は視界から見えなくなる。

『…5』

声も遠退いていき、あまり聞こえなくなる。

『…4』

『 』










『……0』




遠くの方から微かに、『0』と聞こえた。

鬼がこっちに向かって走って来る音がする。

あみは追いつかれないように走るが、鬼はもう後ろまで来ている。

捕まえようとして、逃げる様子はまるで、鬼ごっこをしてるみたいだ。

「はぁはぁ…っ」

体力も無くなり、走る事がつらくなってきた。
でも捕まってしまったら、殺されるかもしれないと別れ道を曲がり、走り続けた。

「な……」



その先は行き止まりだった。
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