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キャスリーンは小鳥の飼育を習うにあたって、一週間、毎日チェイスター伯爵邸を訪問した。
丁度、差し餌を始めたばかりの雛がいた。
もう直ぐ親鳥からも離せる頃合いであるからと説明を受けて、その雛を得る予定で育て方を習った。
その間もアダムは丁寧に飼育について教えてくれた。
仕事に差し障ると遠慮をすれば、今は休暇を得ているから大丈夫だと言われた。
孤独な独身男に、こんな華やかな時間は生涯二度と訪れることはないからと、キャスリーンの負担にならない様に思いやりを見せてくれた。
通うと言っても小鳥の世話であるから、ほんの僅かな時間である。
それでもキャスリーンは幸せだった。
アダムと出会えた。
アダムと会えて、言葉を交わせる。
アダムは愛情深い男であった。
小さな小鳥の雛を慈しむ。小鳥でさえ愛するのに、彼が人を愛さない訳が無い。
年若の小娘キャスリーンなど何も隠し事は出来ないのだから、どんなに気丈に振る舞ってもアダムへの思慕は漏れ出てしまって、果たしてそれに気付いているのかいないのか、アダムは大きな包容力でありのままのキャスリーンを受け入れてくれた。
それが喩え父親の様な愛でも良かった。唯ひたすらアダムの温かさに包まれていたかった。
アダムの言った通り、小鳥はとても愛情の深い生き物であった。
親鳥は寝食を忘れて卵を温めると言う。夫は卵に付きっ切りの妻に餌を吐き出し与える。時には自らも卵を温める。
雛が孵化するのに、雛が難儀している時には殻をつついて割って手助けをする。裸で産まれる雛を、彼らは絶えず守り餌を与えて、まばらに羽が生えるまで決して雛を離さない。
小鳥でさえこれほど我が子を愛するのだ。
雛は親に愛され育つのだわ。
親の愛を知らないキャスリーンは、雛を育てる親鳥に自分まで愛を与えられているように感じたのだった。
「そろそろこの子は離せるよ。まだ確かではないが、多分雄だ。初めて飼うなら雄が良いだろう。」
「それは何故ですの?」
「言葉を話すのは雄なんだ。雌も話すには話すが雄ほど堪能ではない。雄は明るく社交的でお喋りだ。対して雌は保守的で少々気難しく大人しい。」
「まあ!そんなに違うのですか?」
「ああ。彼らは実に愛情深い生き物だよ。番は生涯お互いから離れない。離れてしまえば深く悲しむ。だから絶えず愛し合い卵を産む。」
「まあ...」
「だから雌は短命なのだよ。卵を産むのは命懸けだからね。」
「命懸け..。命を懸けて産んでくれるのですね。」
「君だってそうだよ、キャスリーン。君の母上は命を懸けた筈だよ。」
伯爵邸に通い始めて間もなく、アダムはキャスリーンを名呼びする様になっていた。それは極々自然の成り行きであった。
「さあ、君のジェントルだ。大切に愛しておくれ。」
「勿論ですわ、アダム様。私はジェントルの母で妻で親友ですもの。」
「ははは、ジェントルは大変な幸せ者だな。」
こうして伯爵邸での飼育教室は終わりを迎えた。僅か一週間程の事であった。
けれどもキャスリーンは、一生分をアダムと過ごした様な気がしていた。
二人で頭を突き合わせて、小さな命を見守った。
まるで二人の子を育む様な気持ちになれた。
アダムはキャスリーンに幸せになって良いと言った。もっと幸せになるべきだと言ってくれた。
それはキャスリーンが生まれて初めて掛けられた愛の言葉であった。
だから、もう他に愛を求めなくても大丈夫だった。
アダムの下へ通った一週間を一生の思い出にして、ジェントルと二人、この邸の中で生きて行こうと思えたのだった。
結果として、キャスリーンがアルフォンに進言した、キャスリーンが愛人に替わって離れに移ると云う言い分は許されなかった。
アンソニーの手前、アルフォンには表立ってキャスリーンを蔑ろにする行いは避けたかったのだろう。
それでアルフォンは幸せなのだろうか。愛人も、本邸に移り住んでアルフォンと共にいたいと望んでいるのではないだろうか。
考え過ぎは最適解へは導かない。
思考はどんどん現実からかけ離れて行く。それでもキャスリーンは深読みしてしまうのをやめられなかった。
愛人は貴族の娘であるし学園にも通っていた。年齢もキャスリーンより年嵩であるから、その分しっかりしている筈である。
何よりアルフォンから長く愛されて、前侯爵夫妻にも暗黙の内に囲われるのを認められている。
であればやはり、キャスリーンこそ離れに移り、愛人が本邸に来るべきだろう。そうして家政も執務もキャスリーンから愛人へ託して大丈夫なのではなかろうか。
では、キャスリーンの立場はどうなるか。
二人の愛の目隠し妻となって矢面に立つのか。果たしてそれは現実的なのだろうか。
そうなれば、無用な本妻などは不必要ではなかろうか。ならば離縁になるのか。けれども今の生家にキャスリーンの戻る場所は無い。この婚姻は、キャスリーンの立場が苦しいのを承知の上で父親が受け入れた契約である。
せめて兄が爵位を継いだ後ならば屋敷の角にでも置いてくれるだろうが、父は今だ権勢を振るっており爵位を譲るのはまだまだ先の話である。
困った。困った時の殿下は既に頼ってしまった。アダムを紹介してくれた対価すら返していないのに、次なるお願いなど出来よう筈も無い。
今直ぐの離縁をキャスリーンは望んでいなかった。キャスリーンにはやらねばならない事がある。
古書の修復が為されたら、その目録を作って侯爵家の蔵書として保管をする予定を立てていた。
費用は既に侯爵家の経費として認められているのだが、キャスリーンはあの図書室に手を加えて整備したかった。
あれだけ言い争っだ後で、図書室を整えたいなどと流石のキャスリーンにも言い出せずにいた。
あれから、アルフォンとは夜を共に過ごしていない。
大方離れにいるのだろうが、もうそれはキャスリーンが考える事ではなかった。
侯爵家から離縁を求められる前に、キャスリーンの管理下にある内にあの古書とその目録をアンソニーに奉上しよう。
朽ちて放されていた古書である。今の侯爵家にはその価値を正しく理解出来る者は居ないのだ。それを補修し王家に奉上する事を誉れな事だとキャスリーンの勝手を許して欲しい。
目下の悩みは自分自身の身の置きどころであった。ジェントルを連れて何処へ行こう。
世界は広いというのに、小柄な婦人と小鳥の居場所は、何処にも見つけられそうには無かった。
丁度、差し餌を始めたばかりの雛がいた。
もう直ぐ親鳥からも離せる頃合いであるからと説明を受けて、その雛を得る予定で育て方を習った。
その間もアダムは丁寧に飼育について教えてくれた。
仕事に差し障ると遠慮をすれば、今は休暇を得ているから大丈夫だと言われた。
孤独な独身男に、こんな華やかな時間は生涯二度と訪れることはないからと、キャスリーンの負担にならない様に思いやりを見せてくれた。
通うと言っても小鳥の世話であるから、ほんの僅かな時間である。
それでもキャスリーンは幸せだった。
アダムと出会えた。
アダムと会えて、言葉を交わせる。
アダムは愛情深い男であった。
小さな小鳥の雛を慈しむ。小鳥でさえ愛するのに、彼が人を愛さない訳が無い。
年若の小娘キャスリーンなど何も隠し事は出来ないのだから、どんなに気丈に振る舞ってもアダムへの思慕は漏れ出てしまって、果たしてそれに気付いているのかいないのか、アダムは大きな包容力でありのままのキャスリーンを受け入れてくれた。
それが喩え父親の様な愛でも良かった。唯ひたすらアダムの温かさに包まれていたかった。
アダムの言った通り、小鳥はとても愛情の深い生き物であった。
親鳥は寝食を忘れて卵を温めると言う。夫は卵に付きっ切りの妻に餌を吐き出し与える。時には自らも卵を温める。
雛が孵化するのに、雛が難儀している時には殻をつついて割って手助けをする。裸で産まれる雛を、彼らは絶えず守り餌を与えて、まばらに羽が生えるまで決して雛を離さない。
小鳥でさえこれほど我が子を愛するのだ。
雛は親に愛され育つのだわ。
親の愛を知らないキャスリーンは、雛を育てる親鳥に自分まで愛を与えられているように感じたのだった。
「そろそろこの子は離せるよ。まだ確かではないが、多分雄だ。初めて飼うなら雄が良いだろう。」
「それは何故ですの?」
「言葉を話すのは雄なんだ。雌も話すには話すが雄ほど堪能ではない。雄は明るく社交的でお喋りだ。対して雌は保守的で少々気難しく大人しい。」
「まあ!そんなに違うのですか?」
「ああ。彼らは実に愛情深い生き物だよ。番は生涯お互いから離れない。離れてしまえば深く悲しむ。だから絶えず愛し合い卵を産む。」
「まあ...」
「だから雌は短命なのだよ。卵を産むのは命懸けだからね。」
「命懸け..。命を懸けて産んでくれるのですね。」
「君だってそうだよ、キャスリーン。君の母上は命を懸けた筈だよ。」
伯爵邸に通い始めて間もなく、アダムはキャスリーンを名呼びする様になっていた。それは極々自然の成り行きであった。
「さあ、君のジェントルだ。大切に愛しておくれ。」
「勿論ですわ、アダム様。私はジェントルの母で妻で親友ですもの。」
「ははは、ジェントルは大変な幸せ者だな。」
こうして伯爵邸での飼育教室は終わりを迎えた。僅か一週間程の事であった。
けれどもキャスリーンは、一生分をアダムと過ごした様な気がしていた。
二人で頭を突き合わせて、小さな命を見守った。
まるで二人の子を育む様な気持ちになれた。
アダムはキャスリーンに幸せになって良いと言った。もっと幸せになるべきだと言ってくれた。
それはキャスリーンが生まれて初めて掛けられた愛の言葉であった。
だから、もう他に愛を求めなくても大丈夫だった。
アダムの下へ通った一週間を一生の思い出にして、ジェントルと二人、この邸の中で生きて行こうと思えたのだった。
結果として、キャスリーンがアルフォンに進言した、キャスリーンが愛人に替わって離れに移ると云う言い分は許されなかった。
アンソニーの手前、アルフォンには表立ってキャスリーンを蔑ろにする行いは避けたかったのだろう。
それでアルフォンは幸せなのだろうか。愛人も、本邸に移り住んでアルフォンと共にいたいと望んでいるのではないだろうか。
考え過ぎは最適解へは導かない。
思考はどんどん現実からかけ離れて行く。それでもキャスリーンは深読みしてしまうのをやめられなかった。
愛人は貴族の娘であるし学園にも通っていた。年齢もキャスリーンより年嵩であるから、その分しっかりしている筈である。
何よりアルフォンから長く愛されて、前侯爵夫妻にも暗黙の内に囲われるのを認められている。
であればやはり、キャスリーンこそ離れに移り、愛人が本邸に来るべきだろう。そうして家政も執務もキャスリーンから愛人へ託して大丈夫なのではなかろうか。
では、キャスリーンの立場はどうなるか。
二人の愛の目隠し妻となって矢面に立つのか。果たしてそれは現実的なのだろうか。
そうなれば、無用な本妻などは不必要ではなかろうか。ならば離縁になるのか。けれども今の生家にキャスリーンの戻る場所は無い。この婚姻は、キャスリーンの立場が苦しいのを承知の上で父親が受け入れた契約である。
せめて兄が爵位を継いだ後ならば屋敷の角にでも置いてくれるだろうが、父は今だ権勢を振るっており爵位を譲るのはまだまだ先の話である。
困った。困った時の殿下は既に頼ってしまった。アダムを紹介してくれた対価すら返していないのに、次なるお願いなど出来よう筈も無い。
今直ぐの離縁をキャスリーンは望んでいなかった。キャスリーンにはやらねばならない事がある。
古書の修復が為されたら、その目録を作って侯爵家の蔵書として保管をする予定を立てていた。
費用は既に侯爵家の経費として認められているのだが、キャスリーンはあの図書室に手を加えて整備したかった。
あれだけ言い争っだ後で、図書室を整えたいなどと流石のキャスリーンにも言い出せずにいた。
あれから、アルフォンとは夜を共に過ごしていない。
大方離れにいるのだろうが、もうそれはキャスリーンが考える事ではなかった。
侯爵家から離縁を求められる前に、キャスリーンの管理下にある内にあの古書とその目録をアンソニーに奉上しよう。
朽ちて放されていた古書である。今の侯爵家にはその価値を正しく理解出来る者は居ないのだ。それを補修し王家に奉上する事を誉れな事だとキャスリーンの勝手を許して欲しい。
目下の悩みは自分自身の身の置きどころであった。ジェントルを連れて何処へ行こう。
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