令嬢スロート

桃井すもも

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婚約者H

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気のせいかな。

散策の帰り道、スロート嬢は無言になって、心なしか沈んでみえた。

大丈夫?キュッ
何処か具合でも悪いの?キュッ

心配と連動して手を握ってしまう。

もうこのまま馬車に乗せて連れ帰りたい。
いやいや、婿入りの私の帰る家はここになる。

連れ込み専用の別邸を買おうかな。
いいな、それ。
俄然やる気が出てきた。
領地経営頑張って、別邸買おう。
何なら一つじゃなくて
別邸1、別邸2、別邸3、別邸4..
そうだ日替わりが良いな。
そうするとあと二つ必要だ。

日曜日だけ本邸に連れ込もう。
いや、本邸だから帰るのか。

楽しみだ。
君と送る人生。
君と暮らす幸せ。

陽に透けるプラチナの髪がキラキラと輝く。
美しい。撫でたいな。
口付けしても良いだろうか。

一目惚れってあるんだな。
くだらない小説や観劇の中の事だと思っていた。

君が居てくれたら何もいらない。
財も爵位もくれてやる。

ああ、だけど別邸は欲しいかな。
日替わりだから6棟欲しいな。



********


ある年の秋、美丈夫と美女の婚姻がなされた。
夫が婿入りの婚姻であった。
政略と思われたのが、夫妻は評判の鴛鴦夫婦で有名であった。
金とプラチナ、富の象徴のような容姿ばかりでなく、賢明堅実な手腕を以て領地経営・新規事業に尽力した夫妻は、財も増やし続けた。
本邸を囲むように6棟もの別邸を所有して、毎日移動に忙しそうであった。
毎日楽しそうに移動していた。



               End



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