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本心1
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オフィーリアは語る。
一言一言、大切に言葉を選びながら。
それはまるで、自分で自分の本心を確かめているようだった。
表の気持ちと心の奥深く隠しておいた気持ちとを、二つ並べて突合せているようでもあった。
自分は逃げて来た。帝国へ逃げて来た。
覚悟を持って婚約者候補となった。
望まれる役割を果たそうと誓っていた。
唯一人、候補者として残った時に、自分が役不足であることを痛感していた。
それでも、貴方のお役に立てるなら何より嬉しいことだと、それだけは胸を張って言えた。
けれども、貴方に寄り添う女性が現れた時に、そんな自信は砕けて消えた。
頼りにならない自信であった。
だから、
全力で逃げた。
貴方の姿が見えない所へ。
貴方の声が聴こえない所へ。
貴方の澄んだ蒼い瞳に他の女性(ひと)が映っているのを見たくない。
オフィーリアと呼ぶ貴方の声が、他の女性(ひと)を呼ぶのを聴きたくない。
全力で遠くまで逃げたけれど、貴方を忘れることは一日も無かった。
心の片隅に、烟る金の髪と澄んだ蒼い瞳がいつでもあって、貴方を忘れる事など出来よう筈も無かった。
一言一言、大切に言葉を選びながら。
それはまるで、自分で自分の本心を確かめているようだった。
表の気持ちと心の奥深く隠しておいた気持ちとを、二つ並べて突合せているようでもあった。
自分は逃げて来た。帝国へ逃げて来た。
覚悟を持って婚約者候補となった。
望まれる役割を果たそうと誓っていた。
唯一人、候補者として残った時に、自分が役不足であることを痛感していた。
それでも、貴方のお役に立てるなら何より嬉しいことだと、それだけは胸を張って言えた。
けれども、貴方に寄り添う女性が現れた時に、そんな自信は砕けて消えた。
頼りにならない自信であった。
だから、
全力で逃げた。
貴方の姿が見えない所へ。
貴方の声が聴こえない所へ。
貴方の澄んだ蒼い瞳に他の女性(ひと)が映っているのを見たくない。
オフィーリアと呼ぶ貴方の声が、他の女性(ひと)を呼ぶのを聴きたくない。
全力で遠くまで逃げたけれど、貴方を忘れることは一日も無かった。
心の片隅に、烟る金の髪と澄んだ蒼い瞳がいつでもあって、貴方を忘れる事など出来よう筈も無かった。
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