王妃の手習い

桃井すもも

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告白2

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まさかの侍女の呟きに、室内の空気が一瞬で変わる。

やれやれと云うような、情けないと云うような。

「沈黙」と云う大仕事を放棄した王宮の面々の気配が戻る。

オフィーリアは、「私はこの瞬間を生涯忘れない自信があるわ」と思った。


空気が戻った。
この部屋には、アンドリューもオフィーリアも、侍従も侍女も護衛達もいる。

結構な人数だ。


いつも頼りにしていた侍従を見やると、アンドリューを見つめている。
"しっかりなさいませ"と云っているように見えるのはどうしてだろう。


「んんっ」

再び逸れたオフィーリアの集中力を、アンドリューが引き戻す。

アンドリューの耳が朱に染まっている。
何なら瞳も潤んでいる。

いけない、殿下、お風邪を召されたのかしら!

心配になったオフィーリアが「殿下、」と声を掛けようとしたその時、


「愛してるっ」
アンドリューが声高に宣誓した。


と、次の瞬間
「「「「不器用!」」」」
王宮の面々の声が重なった。



********


改めて温かいお茶を侍女が淹れてくれる。
香りが良い。ひとくち含むと、身体の芯まで沁み入るようだ。


正直になろう。素直になろう。
殿下がそうなさるのなら、私も心の内を伝えよう。

オフィーリアは面を上げてアンドリューを見つめた。

アンドリューは既にオフィーリアを見つめていたらしい。

二人向き合う。
何度もあったことなのに、初めて向き合う様な気持ちになる。

それでも心が温かく、落ち着いていられるのは、王宮の方々が温かな眼差しで見守っているからだろう。


「殿下。貴方様にお話ししたい事がございます。」

アンドリューの瞳の中のオフィーリアは、微笑んでいる。





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