王妃の手習い

桃井すもも

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晩餐の夜1

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視線。

まただわ、視線が合う。

何気無い瞬間に、ぱちりと視線が合う。
女王陛下・カテリーナと。

その度に、ふふふ、声が聴こえそうな笑みを貰う。

なのでオフィーリアも小さく、ふふ、と微笑みを返す。


皇宮での晩餐に招かれたのは、アンドリューの帰国する前々日の夜であった。


カテリーナ帝国女王陛下は、厳格且つ清廉な統治者である。

大国である帝国のみならず、大陸諸国に多大な発言力と影響力を持っている。

そして、ヘンドリック第五皇子の母でもある。

気さくなヘンドリックに気軽に晩餐に招かれたら、何気に席に混ざっていらした。

そうしてそれが不自然ではないところから、平素から子供達とそんな付き合い方をしているのが覗われた。


アンドリューの来帝に目的が無い筈がない。

オフィーリアに会う為とは思われなかった。

ウォルポール侯爵邸から皇宮に移った後のアンドリューの行動は、オフィーリアには分からない。

それでも、何某かの密約の為に、アンドリューは帝国ヘ来たのだろう。

女王陛下カテリーナは、その威厳ある面持ちとは裏腹に小柄な女性だ。

質素・倹約な身なりだけを拝見すれば、穏やかな教育者にさえ見える。

ヘンドリックから漂う品のある気さくさは、女王陛下譲りだろう。

時折アンドリューと短めに話す政治的な話題に、女性として、母として、統治者として何役も受け持って生きる女王陛下に、オフィーリアは不敬ながら「素敵な女性(方)だわ」と思うのであった。


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