王妃の手習い

桃井すもも

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王太子の婚約者2

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オフィーリアはオールブランス侯爵家の長女として生を受けた。

長く男系の続く、女児に恵まれなかった一族に大きな喜びを齎した。
総領娘である。女子の後継が認められているこの国で、後の女侯爵として大切に育てられた。

港を擁する侯爵領は国内有数の貿易領である。領地を囲む山脈は自然の要塞の役割を果たし、海と山と湖の恵みを享受している。

海を渡り他国と行き来する領地は活気があり、人も情報も流行も集まる。
一見華やかな地方都市と思われるであろうが、オーブランス領主は代々実直な人柄で、中央政権にあっても中立を保ってきた。

一族領民、皆ブルネットの髪と深い碧の瞳を持ち、その色合いからも、華やかな中央貴族から見れば、田舎貴族と侮られることこそ無いものの、古くからある地方貴族のひとつと見なされがちであった。

一族の結束は固く、侯爵家を筆頭に連なる貴族家は共に領地を護って来た。
そんな中で、オフィーリアも父に連れられ領地を廻り、時には海を渡りながら次期侯爵として学んで来た。

豊かな山並みから領地を臨む度、大海原の風を受ける度に、この土地と一族領民の繁栄の為に生きる事を歓びと感じて来た。

そんな人生の流れが変わったのは14歳の夏であった。

年の離れた弟が誕生した。
程なくして、王城より王太子の婚約者候補の命を受けることとなる。




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