アダムとイヴ

桃井すもも

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禁断の果実

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「アダム!アップルパイを作ったの!」
食べてみて!とエバ様がお勧めになっておられます。

お昼時のテラスです。

皆様、微笑ましく?ご覧の様子。
微笑んでいらっしゃいますよね?皆様!

私も微笑みます。
良かったですね、アダム様。

「イヴ様。」
名を呼ばれて振り返ると、フルール様とシリル様。

「一緒に食べませんこと?」

まあ!嬉しい!

いそいそとご一緒させて頂きます。

「あれ、良いの?」
シリル様が、アレと指差します。

「ホントね。」
フルール様がそこへ同意。

「良いのです。あの方達はあい..」
愛しあっていると言おうとしたところで、その先を言えませんでした。

アダム様と視線が合ってしまったからです。
折角のアップルタイム(アップルパイを食するタイム)に水を差してしまいました。

んんっ、「良いのです。」
気を取り直して、もう一度答えました。


放課後、図書室へ向かいました。

連載小説の次の巻が入っているのを聞いたので、是非とも借りねばと向かったのですが、途中の書架で足が止まりました。

料理本に混じって製菓の本が目に入り、思わず手に取ってしまいます。

『季節のパイとタルト』
表紙のイラストはアップルパイです。

暫し表紙を見つめて、中を開かずそっと棚に戻します。


多分、私は、生涯、アップルパイは作りません。

林檎の果実を人様に勧める事は、生涯、無いでしょう。



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