アダムとイヴ

桃井すもも

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エバ(Eve)

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どうしたら、あのような摩訶不思議な髪色に生まれる事が出来るのでしょう。

煌めくピンクの髪を春のそよ風に靡かせて、あちらからやって来るのはエバ様です。

遠目で分かるので便利です。

ひょいっとそこの木陰に隠れます。
こういう出会いは兎角面倒ですからね。

私、ミス・アベレージ(自称)は唐突な出来事も衝撃的な出来事も蒙御免(ごめんこうむる)のです。

きょろきょろしても、私は見つかりませんよ、キョロちゃん(エバ様)。

平均的に影の薄い私を、燦々と輝く青春を謳歌する令嬢を体現している(長い)貴女様が見付ける事など無理なのです。

きょろきょろしながら遠退くキョロちゃん(エバ様)を見送って、クラスへ向かいます。

ピンクの髪にピンクの瞳。
リボンもピンクなのに、とても良くお似合いです。
「可憐」とは、彼女の事を言うのでしょう。

真っ黒なアダム様が愛するピンクのエバ様。

そんな事をつらつら考えながら歩いておりますと、シリル様が前方に見えてきました。

旅は道連れ、ご一緒しながら歩くことになりました。

「今日はフルール様は一緒ではないのですね。」

「あ~、婚約者といるんじゃないかな。」

「まあ、仲がよろしい!」

「うん、やっと誤解が解けたらしい。」
めんどくさいからな、あいつ等。

などと軽口を仰るシリル様に、思わず笑ってしまいます。

見目が麗しいのに、気さくで心根のスッキリとしたシリル様は、お話しも楽しい方でいらっしゃいます。




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