アダムとイヴ

桃井すもも

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アダム(Adam)

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艶のある黒い髪。

潤む黒い瞳。

黒一色を纏ったアダム様。
私の婚約者(現)。

伯爵家の次男で三人兄弟の中間子。

どこまでもアベレージな私らしく、婚約者まで平均値。

しかしながら、一点異なるのは、アダム様は伯爵家の後継者でいらっしゃいます。

嫡子であられたお兄様が、侯爵家へ婿入りされる為に、次男であるアダム様が伯爵家を継ぐのです。

そして、もう一点異なるのは、彼は勉学・剣術どちらに於いても高成績の文武両道の方なのです。

そうして、もう一点異なるのは、彼が大変な美丈夫でいらっしゃると云うことでしょう。

もうここまで来ると、異なる点ばかりですから、私ももう諦めているのです。
彼には彼の愛するひ....
「イヴ。」

まあ、アダム様。
「御機嫌よう、アダム様。」
アルカイックスマイル=平均的令嬢の微笑み、で向き合います。

「何だか久しぶりだね。」

ええ、貴方様、不実でお忙しかったですから。

「先程、シリルと一緒だったようだけど、」

ええ、ご一緒しておりました。
何ならフルール様もご一緒しておりました。
「偶然ベンチでお会いしたのです。」

「そう。折角だから一緒に帰らないか?」

....暫し考えてみます。不実にお忙しいアダム様。ここでご一緒してはお邪魔になってしまいます。

「有難うございます。ですが今日はこのあと用事があるのです。」
お断り致しました。

またお誘い下さいませ、と平均的模範的婚約者としてのご挨拶をしてお別れ致しました。





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