アダムとイヴ

桃井すもも

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イヴ(Eve)

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金色の髪に蒼い瞳。

市井にいるなら持て囃される色合いも、貴族の中では珍しくもありません。

程々に控えめで、程々に物を言える。

ミス・アベレージを探すのなら私の所へどうぞ。

伯爵家の次女。
平均的な貴族家系に平均的な容姿。三姉妹の真ん中という、何処までも平均的貴族令嬢。

もし自分が殿方で、妻を選ぶとするなら、こんな面白味の無い女など、つまらないことでしょうね。

だって、自覚があるもの。

勉学も程々、教養も程々、社交のお付き合いも、もうその先は同じ文句。

なのに、婚約者だけは一級品でした。何故かしら。

だから、溜め息が出ちゃうのは、彼の不実が原因ではないのです。

正しいものを正しい処へ。
私は正したいのです。

彼は彼の愛する人の元へ。
私は私のいるべき処へ。

ちょっと悔しいのは、私自身の居場所が不確定な所かしら。

まあ、学園生活は長いわ。そのうち御縁も見つかるでしょう。

なにせ私、ミス・アベレージ(自称)なのですもの。

貴族によく見る色を纏った殿方と、何処かの邸のお茶会などと云うベタなシチュエーションで、いつかお会い出来るでしょう。

だからアダム様、安心なさって。
貴方は貴方の愛するひとを、真に求めて良いのです。

この婚約を解消出来るように、私も尽力しますね。

貴方の幸せを、心から祈っております。


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