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獣とは美しいものなのだと思った。
獣の様な獰猛な欲を滾らせて、今にも唸り出すのではないかと思う程に鬼気迫る眼差しに射すくめられて、それでもこの美しい獣をソフィアは心の底から愛おしいと思った。
聡明で勇敢で賢明で達観した、若き国王が悋気を起こしている。
婚約者の心変わりを疑って、それを隠すことなく詰っている。
ソフィアの胸の中に熱く滾るものが溢れて出る。
ああ、非力で無能であるのに、私こそこの男に縋っている。離れたくない、離したくない。
ローレン様。貴方、勘違いしているわ。
だからソフィアはそのままを言葉にした。
「何も解っていないのは貴方の方よ、ローレン様。貴方こそ私のものよ。誰にも渡しはしないわ。エミリア王女が返せと言って来たなら、力づくで奪い返すわ。」
そこ迄言って熱を帯びた唇をそっと男に押し当てた。
身体がふわりと持ち上がる。テラスにいたのが考える間もなく室内に引き入れられて、ローレンがソフィアを抱き締めたまま持ち上げたのだと解った。そのまま寝台の上に座らされ、獣と化した男が射抜く眼差しでソフィアを見つめる。
「二言はないな?」
「生きるも死ぬも貴方と共に。」
「その言葉、努々忘れるなよ。」
「貴方こそ。二度と私を疑わないで。」
そこからは、言葉を交わした記憶が無い。
どちらの体温か分からなくなる抱擁と熱を孕んだ口付けに、くらくらと目眩が起こる。どこもかしこも熱く火照って、息を継ぐのももどかしい。
熱い大きな掌が、ソフィアの頬を首を肩を背を、それがゆっくり腰まで降りて、壊れ物を労わるようにやわやわと擦るのをもどかしく受け止める。
口内は一つになったように境目を無くして、唯ひたすらに求め合う。抱き締める腕に力が込められる、息も絶えだえ、死んでしまうのではないかと思う程に苦しいのに、どうしてこんなに幸せなのか。
口付けだけで、ありとあらゆる快楽を知らされた。
はあはあと、互いに肩で息をしながら見つめ合う。ローレンの口元に指をのばして、口角を濡らす唾液を拭き取れば、すかさずその手を握られて指先に口付けられた。
触れる全てが愛おしい。
「ローレン様、私、無能なのよ。」
射抜く視線をずらすこと無く、こちらを見据える青い瞳。
「私、空っぽなのよ。」
ローレンの熱を帯びた掌が、ソフィアの頬を包む。
「けれど、この世の誰よりも貴方を愛していると神に誓えるわ。」
青い瞳は、やはり神話の湖だった。
でなければ、これ程美しい筈がない。
青い瞳が揺らいだと思ったら、瞬く間に水を湛えて、そこから雫が零れて落ちた。
美しい光景に目を奪われて、身動一つ取れずにいるソフィアに、ローレンはひとつ息を吐く。
「ソフィア、君こそなんにも解っちゃいない。この胸の内を見たならば、余りの悍(おぞ)ましさにきっと君は私を軽蔑するだろう。けれど、私ほど欲深かで、疑い深く、嫉妬深い男はいないんだよ。君はもう毒杯を煽ったも同じなんだよ。こんな男に捕まって、地獄の底まで引きずられる。」
それから雫を幾つか落として、それを拭う事も忘れて男は続けた。
「地獄の底まで来世まで、君を離さないから諦めてくれ。」
生まれたその日から、為政者として育てられた男は、常に人の視線に晒され悪意に晒され、欺瞞溢れる世界から真実を只管求めて生きて来た。
愛情などと優しいものは己の為のものでは無い。失敗も後悔も経験してはならない事だと思っていた。
唯一度の判断で最適解を導き出さねば、喰われてしまうのは己なのだと身に沁みて知っていた。
同じ親から生まれたのに、どろりと汚れを纏う事なく、優しく穏やかに生きる弟の眩しさと言ったら。
せめて、弟には何も分からぬままこの世界から出してやりたいと思っていた。弟に対してだけは、どこにでもいる当たり前の兄でいたかった。
それも、唯一人の少女の存在にたちまち瓦解した。何を失っても誰にも渡したくない。
誰よりも清らかなまま弟だけは守りたいと思っていた人間らしい心を、いとも簡単に手放した自分は鬼畜であろうか。実の血よりも求めて止まない女を選んだ。
詫びなければならないのは私なのだよ、ルイ。
今話して聞かせたら、娘は何と思うだろうか。
男には未だ娘に明かせない真実がある。
娘の瞳に失望の色を見たくない。
せめてこの手に落としてから、白状するのはその後だ。
君は許してくれるだろうか。
全てを知った後にも、私を愛していると言ってくれるだろうか。
冴えわたる月の光が娘の瞳にきらりと反射する。清も濁も飲むこんだその後に、清らかさだけを残すシトリンの瞳。
自身の瞳から零れる雫を、娘が小さな柔らかな手で拭ってくれる。
甘やかな夜に、向かい合って見つめ合う。
今は、ただこの指先の温もりを味わっていたいと思った。
何れ、告解の時が訪れる。地獄の責め苦は受け入れよう。だからどうかせめてその日まで、神に目溢しを願う。
娘を欺き続ける事を心に決めたらしい男は、もう一度だけと、柔らかな娘の唇に縋るように唇を重ねた。
獣の様な獰猛な欲を滾らせて、今にも唸り出すのではないかと思う程に鬼気迫る眼差しに射すくめられて、それでもこの美しい獣をソフィアは心の底から愛おしいと思った。
聡明で勇敢で賢明で達観した、若き国王が悋気を起こしている。
婚約者の心変わりを疑って、それを隠すことなく詰っている。
ソフィアの胸の中に熱く滾るものが溢れて出る。
ああ、非力で無能であるのに、私こそこの男に縋っている。離れたくない、離したくない。
ローレン様。貴方、勘違いしているわ。
だからソフィアはそのままを言葉にした。
「何も解っていないのは貴方の方よ、ローレン様。貴方こそ私のものよ。誰にも渡しはしないわ。エミリア王女が返せと言って来たなら、力づくで奪い返すわ。」
そこ迄言って熱を帯びた唇をそっと男に押し当てた。
身体がふわりと持ち上がる。テラスにいたのが考える間もなく室内に引き入れられて、ローレンがソフィアを抱き締めたまま持ち上げたのだと解った。そのまま寝台の上に座らされ、獣と化した男が射抜く眼差しでソフィアを見つめる。
「二言はないな?」
「生きるも死ぬも貴方と共に。」
「その言葉、努々忘れるなよ。」
「貴方こそ。二度と私を疑わないで。」
そこからは、言葉を交わした記憶が無い。
どちらの体温か分からなくなる抱擁と熱を孕んだ口付けに、くらくらと目眩が起こる。どこもかしこも熱く火照って、息を継ぐのももどかしい。
熱い大きな掌が、ソフィアの頬を首を肩を背を、それがゆっくり腰まで降りて、壊れ物を労わるようにやわやわと擦るのをもどかしく受け止める。
口内は一つになったように境目を無くして、唯ひたすらに求め合う。抱き締める腕に力が込められる、息も絶えだえ、死んでしまうのではないかと思う程に苦しいのに、どうしてこんなに幸せなのか。
口付けだけで、ありとあらゆる快楽を知らされた。
はあはあと、互いに肩で息をしながら見つめ合う。ローレンの口元に指をのばして、口角を濡らす唾液を拭き取れば、すかさずその手を握られて指先に口付けられた。
触れる全てが愛おしい。
「ローレン様、私、無能なのよ。」
射抜く視線をずらすこと無く、こちらを見据える青い瞳。
「私、空っぽなのよ。」
ローレンの熱を帯びた掌が、ソフィアの頬を包む。
「けれど、この世の誰よりも貴方を愛していると神に誓えるわ。」
青い瞳は、やはり神話の湖だった。
でなければ、これ程美しい筈がない。
青い瞳が揺らいだと思ったら、瞬く間に水を湛えて、そこから雫が零れて落ちた。
美しい光景に目を奪われて、身動一つ取れずにいるソフィアに、ローレンはひとつ息を吐く。
「ソフィア、君こそなんにも解っちゃいない。この胸の内を見たならば、余りの悍(おぞ)ましさにきっと君は私を軽蔑するだろう。けれど、私ほど欲深かで、疑い深く、嫉妬深い男はいないんだよ。君はもう毒杯を煽ったも同じなんだよ。こんな男に捕まって、地獄の底まで引きずられる。」
それから雫を幾つか落として、それを拭う事も忘れて男は続けた。
「地獄の底まで来世まで、君を離さないから諦めてくれ。」
生まれたその日から、為政者として育てられた男は、常に人の視線に晒され悪意に晒され、欺瞞溢れる世界から真実を只管求めて生きて来た。
愛情などと優しいものは己の為のものでは無い。失敗も後悔も経験してはならない事だと思っていた。
唯一度の判断で最適解を導き出さねば、喰われてしまうのは己なのだと身に沁みて知っていた。
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せめて、弟には何も分からぬままこの世界から出してやりたいと思っていた。弟に対してだけは、どこにでもいる当たり前の兄でいたかった。
それも、唯一人の少女の存在にたちまち瓦解した。何を失っても誰にも渡したくない。
誰よりも清らかなまま弟だけは守りたいと思っていた人間らしい心を、いとも簡単に手放した自分は鬼畜であろうか。実の血よりも求めて止まない女を選んだ。
詫びなければならないのは私なのだよ、ルイ。
今話して聞かせたら、娘は何と思うだろうか。
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娘の瞳に失望の色を見たくない。
せめてこの手に落としてから、白状するのはその後だ。
君は許してくれるだろうか。
全てを知った後にも、私を愛していると言ってくれるだろうか。
冴えわたる月の光が娘の瞳にきらりと反射する。清も濁も飲むこんだその後に、清らかさだけを残すシトリンの瞳。
自身の瞳から零れる雫を、娘が小さな柔らかな手で拭ってくれる。
甘やかな夜に、向かい合って見つめ合う。
今は、ただこの指先の温もりを味わっていたいと思った。
何れ、告解の時が訪れる。地獄の責め苦は受け入れよう。だからどうかせめてその日まで、神に目溢しを願う。
娘を欺き続ける事を心に決めたらしい男は、もう一度だけと、柔らかな娘の唇に縋るように唇を重ねた。
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