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「私の婚約者は君たちから選定することになる。ああ、残念ながらアナスタシア嬢、君には抜けてもらうがね。」
その言葉にアナスタシアが身構える。
「君にもアダムにも辛い思いをさせたね。陛下には私から進言するよ。余りみっともない事をして欲しくないからね。」
アナスタシアは、涙を堪え切れないのを隠すように蹲ってしまった。
纏まりかけた縁談を壊してまで、己の息子に充てがおうとした国王陛下。厚顔とはこの事ね!あれ?そう言えば、ルイ王子もアダム様にアナスタシア様を返すと言っていたわね。
あの学園の廊下で言葉を交わしたのを最後に、顔を合わせていないルイを思い出す。ど、どんな顔だったかしら?
薄情な婚約者候補である。
「では、私達三人から選定なさると?」
「まあ、そうなるかな。君たちには不自由をさせる。選定は速やかに行うよ。選定に漏れたからといって、くれぐれもご自分方に非が有ったなどと思わないで欲しい。些細な条件の違いであろうからね。」
えー。出来ればお姉様方からお選び下さいませ。王族とは観て楽しむものですわ。
思わず眉が下がってしまうソフィア。
今日のダンスレッスンは仕舞いである。こんなんではダンスどころでは無い。教師もこんな話を耳に入れて良かったのか、真逆口封じされるのではと顔面蒼白びびっている。
「さあ、今日はこれで解散としよう。アナスタシア嬢、外でアダムが待っているよ。」
元々麗しい笑みに麗しさマシマシに、王太子殿下はアナスタシアを促した。
皆、それぞれの邸にて親達に説明が必要であろう。そそくさと帰り支度を始めた。
ソフィアも父と兄の耳には入れねばならない。
はぁ、結局候補からは逃げられなかった。
ここは公爵家令嬢のお二人に、お家の力を総動員して頑張って頂きたい。
どちらも王家の血筋に当たる公爵家ですもの。もうこれはお姉様方で決まりね。選定は速やかに行うと仰っていらしたから、自由はもうすぐそこよ。頑張れソフィア、負けるなソフィア。
自分で自分にエールを送っていると、背中に声を掛けられた。
「ソフィア嬢。少しばかり残ってくれないか。君には説明しておかなければならない事がある。」
アナスタシアを先頭に、お姉様方も教師も既に退室していた。呑気な考え事に時間を取られたソフィアが出遅れた所で、ローレン王太子殿下に声を掛けられたのであった。
王城の貴賓室に始めて入った。
人払いのされた貴賓室に王太子と唯二人。向かい合わせに座っているも、天井まで神々しい装飾にここは神殿?美術館?繊細な文様にあんぐり口を開けて眺めてしまった。
「ふっ、ソフィア嬢。宜しいか?」
「あ、はい。宜しいです!」恥ずかしい。
ソフィアに関わる説明とは、ピンク頭、もといアマンダ嬢の事であった。
「アマンダ嬢には王家の血が流ている可能性があった。」
「え!」
初っ端から波動砲を打ち込まれた。死んじゃう。
「まあ、その可能性は消えたがね。初めから説明しよう。アマンダの母には祖父の娘である可能性があったんだよ。
祖父が手を付けた女官の娘がアマンダの母さ。その女官の娘が男爵との子を出産したときから、アマンダの存在に王家は注視していた。
男爵家に引き取られてからも、王家は彼女から目を離さなかった。奔放な気質であったようだからね、あちこちで種を貰って孕んで、王家の血を無闇に撒き散らしてもらっては困るのさ。
アマンダは本来、赤子のうちに処分される筈だった。そこに意見をしたの陛下だよ。君も知る通り、現在王族の数は極端に少ない。貴重な王家の血を無駄にしたくなかったのだろう。それで、」
そこで一口お茶を含む。ソフィアも倣ってお茶に口を付ける。
「それで、陛下は命じたのさ。アマンダが本当に王家の血筋であるのか。王家の特長が受け継がれているかを調べよと。命じられたのがルイだった。
ああ、宰相家や騎士団の息子達は違うよ?あれ等は勝手にアマンダに骨抜きにされただけだよ。
それで、その特長なんだがね。王家の血を引く者には痣がある。ここに。」
そう言って、ローレン王太子殿下は徐ろに足を広げて片方を上げ、内腿の果てしなく足の付根部分を指で示した。
その言葉にアナスタシアが身構える。
「君にもアダムにも辛い思いをさせたね。陛下には私から進言するよ。余りみっともない事をして欲しくないからね。」
アナスタシアは、涙を堪え切れないのを隠すように蹲ってしまった。
纏まりかけた縁談を壊してまで、己の息子に充てがおうとした国王陛下。厚顔とはこの事ね!あれ?そう言えば、ルイ王子もアダム様にアナスタシア様を返すと言っていたわね。
あの学園の廊下で言葉を交わしたのを最後に、顔を合わせていないルイを思い出す。ど、どんな顔だったかしら?
薄情な婚約者候補である。
「では、私達三人から選定なさると?」
「まあ、そうなるかな。君たちには不自由をさせる。選定は速やかに行うよ。選定に漏れたからといって、くれぐれもご自分方に非が有ったなどと思わないで欲しい。些細な条件の違いであろうからね。」
えー。出来ればお姉様方からお選び下さいませ。王族とは観て楽しむものですわ。
思わず眉が下がってしまうソフィア。
今日のダンスレッスンは仕舞いである。こんなんではダンスどころでは無い。教師もこんな話を耳に入れて良かったのか、真逆口封じされるのではと顔面蒼白びびっている。
「さあ、今日はこれで解散としよう。アナスタシア嬢、外でアダムが待っているよ。」
元々麗しい笑みに麗しさマシマシに、王太子殿下はアナスタシアを促した。
皆、それぞれの邸にて親達に説明が必要であろう。そそくさと帰り支度を始めた。
ソフィアも父と兄の耳には入れねばならない。
はぁ、結局候補からは逃げられなかった。
ここは公爵家令嬢のお二人に、お家の力を総動員して頑張って頂きたい。
どちらも王家の血筋に当たる公爵家ですもの。もうこれはお姉様方で決まりね。選定は速やかに行うと仰っていらしたから、自由はもうすぐそこよ。頑張れソフィア、負けるなソフィア。
自分で自分にエールを送っていると、背中に声を掛けられた。
「ソフィア嬢。少しばかり残ってくれないか。君には説明しておかなければならない事がある。」
アナスタシアを先頭に、お姉様方も教師も既に退室していた。呑気な考え事に時間を取られたソフィアが出遅れた所で、ローレン王太子殿下に声を掛けられたのであった。
王城の貴賓室に始めて入った。
人払いのされた貴賓室に王太子と唯二人。向かい合わせに座っているも、天井まで神々しい装飾にここは神殿?美術館?繊細な文様にあんぐり口を開けて眺めてしまった。
「ふっ、ソフィア嬢。宜しいか?」
「あ、はい。宜しいです!」恥ずかしい。
ソフィアに関わる説明とは、ピンク頭、もといアマンダ嬢の事であった。
「アマンダ嬢には王家の血が流ている可能性があった。」
「え!」
初っ端から波動砲を打ち込まれた。死んじゃう。
「まあ、その可能性は消えたがね。初めから説明しよう。アマンダの母には祖父の娘である可能性があったんだよ。
祖父が手を付けた女官の娘がアマンダの母さ。その女官の娘が男爵との子を出産したときから、アマンダの存在に王家は注視していた。
男爵家に引き取られてからも、王家は彼女から目を離さなかった。奔放な気質であったようだからね、あちこちで種を貰って孕んで、王家の血を無闇に撒き散らしてもらっては困るのさ。
アマンダは本来、赤子のうちに処分される筈だった。そこに意見をしたの陛下だよ。君も知る通り、現在王族の数は極端に少ない。貴重な王家の血を無駄にしたくなかったのだろう。それで、」
そこで一口お茶を含む。ソフィアも倣ってお茶に口を付ける。
「それで、陛下は命じたのさ。アマンダが本当に王家の血筋であるのか。王家の特長が受け継がれているかを調べよと。命じられたのがルイだった。
ああ、宰相家や騎士団の息子達は違うよ?あれ等は勝手にアマンダに骨抜きにされただけだよ。
それで、その特長なんだがね。王家の血を引く者には痣がある。ここに。」
そう言って、ローレン王太子殿下は徐ろに足を広げて片方を上げ、内腿の果てしなく足の付根部分を指で示した。
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