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鳩代弥衣は天使に出会う3
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ガチャと私たちのいる部屋の戸が開く。
「おかえりなさい」と天使様が私の後方に声をかけている。心地良さとの間に背中に緊張が走る、背筋が凍るというのはまさにその通りだと思う。
「君?その人は?」
「勝手に入れちゃってごめんなさい。でも、雨に濡れながらここを訪ねてきていたんです。叱責なら受けます」
「私が君を叱ったことがあるかい?君の判断は正しいよ」
尊い。私のことを庇う天使様最高です。涙が出ます。
「さて、お嬢さんもダンマリじゃちょっとね?」
「あー、いやー、そのですねぇ…」
「そんなに少年のハグは魅力的かい?」
「もちろん!!」
勢いで本音を言ってしまった。帰ってきたのは鷲倉小夜だ。私の考察ではこの人を誘拐犯だと推理している。つまり私の後ろに立っているだろう女性は稀代の大犯罪者なのだ。
小さくどこか呆れたようなため息をフッとついて言葉を続ける
「君、帰った時はしないのかい?」
「いえ、します。お姉さん失礼しますね」
そう言って天使様は私を離して鷲倉小夜の方へ歩く。すると天使様は彼女の両頬にキスをしたではないか!!?返すように鷲倉小夜も天使様の両頬にキスをした。
(な、なんて羨ましい…異様な光景だ)
この分だと鷲倉小夜は天使様に手を出しているのではないか?
「お嬢さんはSundayの記者だね。去年インタビューを受けたときにいただろう?」
「は、はい。覚えてらっしゃるのですね…」
確かに私は彼女のインタビューに同行したが名刺を渡した後は後ろでその様子を見守っていただけなのによく覚えているものだ。しかし、感心している場合ではなく、私がマスコミの人間だとわかっている彼女は私を警戒しているはずだ。
「君?夕食はあとでいいから先に風呂を済ませてきなさい。客人と三人で食事を取ろう」
「わかりました」
そう言って天使様は部屋を出て行った。
「さて、」
何を言われるのだろう。脅される?殺される?でも三人で食事…?
「彼を見てどう思う?」
「え、あぁ、えーと、素敵な男の子だなぁと」
「だろう?あれは人間を私しか知らない少年だ。もちろん教養などは私の折り紙つきだ」
そうだ、彼はハッキリ言って現代社会においては異常なんだ。
「あれが現代社会や集団圧力を回避した男の一例だ。彼は格別頭も容姿も性格も良いことは前提だが彼を見た後だと他の方が歪んでみえないか?」
「それは、そうかもしれませんが…都合よく判断したら…という話では?私は男性の態度についてはある程度理解していますから」
「納得はできないのだな」
「そうなりますね…」
彼女は天使様は特別ではなく特殊な状況下で育つことで厄介な常識などを排除した人間。そう言いたいのだろうか。
私は性欲もあるし、男性との関係に憧れもある。その上で私なりに生きて、感じて、考えている。
「きっとお嬢さんは気づいてしまっているだろう?」
私は唾を飲んだ。
「彼が高雛零梛ということに」
やはり、やっぱりそうだった。10年前の被害者は天使様で犯人はこの女。
鷲倉小夜は続ける。
「あの日より前に何度も彼とは会っているんだ。もちろん彼は覚えているはずもないがね。するとどうだろう彼は毎回私に微笑みかけるんだ」
赤子なんだからそうだろう自意識があるはずもない。
「そこに彼の縁談や精液の話をされているというのを彩美から聞いたんだ」
私の知っている情報と同じだ。噂は本当だったのかとかそんな感想しか出ない。酷であり気持ちの悪い話だと思うが理解も納得もできてしまう。
「私は思ったわけだ。ここで彼を世間と隔離したらどうなるのか。愛を持って制限なく育てたら彼はどうなるのか。と」
これが彼女の動機か。しかし彼女の話には引き込まれてしまう。
「だが私もそれだけで行動してしまうほど愚かでもないし、探究心があるわけでもない。しかし彩美は注目度に対しての警戒心が足りていなかった」
彼女の目は真剣で、誘拐という犯罪が悪に見えない。天使様の微笑みを思い出して鷲倉小夜に肩入れしてしまいそうだ。
「彩美はあの日、マネージャーに子ども2人を預けたのは知っているか?」
「それは、はい。彼女も怪我をした被害者の一人ですから」
「彼女は過激派の一人であることを彩美は察知していなかったんだ」
過激派。世間では男性の精液定期の義務や、保護するような制度が存在する。それに反対する組織のうち男性は不要である。もしくは男性を家畜のように扱って構わない。といったような思想を持つ派閥のことだ。
制度の撤廃をすることで男女平等を叶えると謳う組織は穏健派と呼ばれていたりする。
高雛彩美のマネージャーは過激派と繋がりがあったということは、零梛くんを攫ってどうにかしようとしたんだろうか。
「彼女は台風の中それを実行することで後を追わせないようにする予定だった。しかし、上手くはいかなかった。彩美は2人の子どもを預けたから」
「おかえりなさい」と天使様が私の後方に声をかけている。心地良さとの間に背中に緊張が走る、背筋が凍るというのはまさにその通りだと思う。
「君?その人は?」
「勝手に入れちゃってごめんなさい。でも、雨に濡れながらここを訪ねてきていたんです。叱責なら受けます」
「私が君を叱ったことがあるかい?君の判断は正しいよ」
尊い。私のことを庇う天使様最高です。涙が出ます。
「さて、お嬢さんもダンマリじゃちょっとね?」
「あー、いやー、そのですねぇ…」
「そんなに少年のハグは魅力的かい?」
「もちろん!!」
勢いで本音を言ってしまった。帰ってきたのは鷲倉小夜だ。私の考察ではこの人を誘拐犯だと推理している。つまり私の後ろに立っているだろう女性は稀代の大犯罪者なのだ。
小さくどこか呆れたようなため息をフッとついて言葉を続ける
「君、帰った時はしないのかい?」
「いえ、します。お姉さん失礼しますね」
そう言って天使様は私を離して鷲倉小夜の方へ歩く。すると天使様は彼女の両頬にキスをしたではないか!!?返すように鷲倉小夜も天使様の両頬にキスをした。
(な、なんて羨ましい…異様な光景だ)
この分だと鷲倉小夜は天使様に手を出しているのではないか?
「お嬢さんはSundayの記者だね。去年インタビューを受けたときにいただろう?」
「は、はい。覚えてらっしゃるのですね…」
確かに私は彼女のインタビューに同行したが名刺を渡した後は後ろでその様子を見守っていただけなのによく覚えているものだ。しかし、感心している場合ではなく、私がマスコミの人間だとわかっている彼女は私を警戒しているはずだ。
「君?夕食はあとでいいから先に風呂を済ませてきなさい。客人と三人で食事を取ろう」
「わかりました」
そう言って天使様は部屋を出て行った。
「さて、」
何を言われるのだろう。脅される?殺される?でも三人で食事…?
「彼を見てどう思う?」
「え、あぁ、えーと、素敵な男の子だなぁと」
「だろう?あれは人間を私しか知らない少年だ。もちろん教養などは私の折り紙つきだ」
そうだ、彼はハッキリ言って現代社会においては異常なんだ。
「あれが現代社会や集団圧力を回避した男の一例だ。彼は格別頭も容姿も性格も良いことは前提だが彼を見た後だと他の方が歪んでみえないか?」
「それは、そうかもしれませんが…都合よく判断したら…という話では?私は男性の態度についてはある程度理解していますから」
「納得はできないのだな」
「そうなりますね…」
彼女は天使様は特別ではなく特殊な状況下で育つことで厄介な常識などを排除した人間。そう言いたいのだろうか。
私は性欲もあるし、男性との関係に憧れもある。その上で私なりに生きて、感じて、考えている。
「きっとお嬢さんは気づいてしまっているだろう?」
私は唾を飲んだ。
「彼が高雛零梛ということに」
やはり、やっぱりそうだった。10年前の被害者は天使様で犯人はこの女。
鷲倉小夜は続ける。
「あの日より前に何度も彼とは会っているんだ。もちろん彼は覚えているはずもないがね。するとどうだろう彼は毎回私に微笑みかけるんだ」
赤子なんだからそうだろう自意識があるはずもない。
「そこに彼の縁談や精液の話をされているというのを彩美から聞いたんだ」
私の知っている情報と同じだ。噂は本当だったのかとかそんな感想しか出ない。酷であり気持ちの悪い話だと思うが理解も納得もできてしまう。
「私は思ったわけだ。ここで彼を世間と隔離したらどうなるのか。愛を持って制限なく育てたら彼はどうなるのか。と」
これが彼女の動機か。しかし彼女の話には引き込まれてしまう。
「だが私もそれだけで行動してしまうほど愚かでもないし、探究心があるわけでもない。しかし彩美は注目度に対しての警戒心が足りていなかった」
彼女の目は真剣で、誘拐という犯罪が悪に見えない。天使様の微笑みを思い出して鷲倉小夜に肩入れしてしまいそうだ。
「彩美はあの日、マネージャーに子ども2人を預けたのは知っているか?」
「それは、はい。彼女も怪我をした被害者の一人ですから」
「彼女は過激派の一人であることを彩美は察知していなかったんだ」
過激派。世間では男性の精液定期の義務や、保護するような制度が存在する。それに反対する組織のうち男性は不要である。もしくは男性を家畜のように扱って構わない。といったような思想を持つ派閥のことだ。
制度の撤廃をすることで男女平等を叶えると謳う組織は穏健派と呼ばれていたりする。
高雛彩美のマネージャーは過激派と繋がりがあったということは、零梛くんを攫ってどうにかしようとしたんだろうか。
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