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17.第二迷宮
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「ギガっ!」
襲いかかってくる小鬼、ゴブリンを切り捨て僕は迷宮の奥へと進んでいた。
勿論別に今から迷宮で鍛えようと思っているわけではない。
正直、今は身体の傷はかなり回復したとはいえ、体力までは戻ってなく本調子とは言い難い状態のなのだ。
そんな状況で何をしようとしているかというと、僕はこの迷宮の出口、それも裏口なるものを探している。
迷宮の出口は知っているが、それは王国に管理されており、そこから出ることはかなり難しい。
おそらく隠密を使えば迷宮を管理している騎士程度の目ならば誤魔化せるだろうが、王宮の中まで隠密が通用するかは分からない。
迷宮は王宮の中で管理されていて、そして迷宮から出るには王宮を通る道以外存在しない。
「そして王宮にはおそらく今の僕では敵うか難しい奴がいると」
「ギャッ!」
僕はそう呟きながらさらにゴブリンを切り裂く。
そう、この王国にはかなりの強者がいると断言できる。
先ず国王は間違いなく強い。
数える程しか会ったことはないが、それでもその身体からは恐ろしいほどの威圧感が漏れていた。
正直、何で国王やってんだよ、と呆れるたほど。
そして強敵は他にもいる可能性がある。
理由は僕が騎士から奪った下層の地図。
それは本当に繊細な地図で、そしてその繊細さはあの下層を王国の何者かが探索したことを示していた。
「いやぁ、本気で怖い……」
しかもあの丁寧さからして、かなり綿密に探索を行なっているはずだ。
僕が必死に逃げ惑うことしかできなかったあの下層をだ。
「例え探索を行なったのが複数人であったとしても、直接遣り合うとなったらかなり分が悪い、か」
そしてそんな化け物どもに僕の隠密が効くとは思い難い。
というか、そんな存在に今の僕の隠密が効けば奇跡だ。
僕はそんな危険を冒す訳にはいかない。
そんな失態を犯せばいきなり計画がおじゃんだ。
だが、迷宮で暮らそうと思うのは自殺行為の他の何物でもない。
何故ならば、迷宮では殆どだべられるものが取れないのだ。
そんな状況で生き抜けるわけがない。
つまり僕が取れる選択肢は1つ。
迷宮を出ることが出来る裏口探すことだ。
「まぁ、でもそんなに簡単には見つからないか……」
それだけのことを考えながら、かなりの数のゴブリンをあっさりと全滅させた僕は、何事もなかったかのように嘆息する。
だが、その足元にはゴブリン供の死体が散乱していて、周囲に誰か人が来れば悲鳴を上げているかもしれない物騒さだろう。
「まぁ、もう慣れたけど……」
僕は悲惨なゴブリンの死体を見て、それでも一切感情を動かすことの無くなった自分に気づき嘆息する。
昨日まで騎士2人程度の死体で正気を失っていたのに、その時がもう遠い過去に感じる。
まぁ考えても仕方がないと、僕はゴブリンの死体を漁り始めた。
ゴブリンの死体、いや、迷宮の魔物全部に言えることだが、その身体は鉱物であったりと、かなりの硬度を誇っており、採集することでギルドと呼ばれる場所で現金に換えることが出来る。
ついでにそれを収入にする冒険者と呼ばれる異世界特有の職業も存在しているらしい。
正直かなり嵩張るが、無一文で出てきた今、金が必要であろうと判断して僕はゴブリンの素材になる箇所を剥ぎ取って行く。
ゴブリンの身体は硬く、素材を取る際にはかなりの力が必要になる。
だがゴブリンの素材を慣れぬ手つきで剥ぎ取りながらも、僕の頭は今後のことを考えていた。
それは身体と脳が別々な動く、並列思考と同じような行為。
下層で明らかに実力的に格上の魔物達から逃げきるには、必死に身体を動かしながら逃げる為の策を考えることのできるこの能力の覚醒が必要不可欠だった。
そしてその能力はゴブリンとの戦闘にも遺憾無く発揮されていて、おそらく下層で僕が得た一番の成果だろう。
だが、別にこの能力はスキルの効果ではない。
そして勿論ステータスの効果も関係ない。
普通に何度も死に掛けていたせいで手にした、鍛錬の結果だ。
「というか、こんな能力を得る程に戦っていたのに身体能力に関してはそんなに上がってないって………」
だが、総合的に考えるとあれだけの地獄を経験してきたのにも関わらず僕の手にした能力は余りにもしょぼかった。
確かに身体能力は確かに上がっている。
だが、それは精々1キロのものしか持てなかった人間が1.3キロのものを持てるようになった程度の強化。
確かに強化はされている。
日本では1.3倍の強化はかなり凄いことだろう。
「だけど、結果に対してかなりしょぼいだろう……」
騎士達は僕に竜を殺せば目に見える形で強くなると言っていた。
だが、正直竜クラスの化け物を一体殺したが、サイクロプスよりも少し上程度の強化しかされなかった………
「もしかしてあの騎士2人普通に嘘ついていたのか……」
一瞬、僕の頭にそんな考えが浮かぶ。
だが、迷宮の魔物を倒しても対して強化はされないという話だったのにそこで騙す意味が分からない。
「まぁでもあの2人屑だったからあり得るか……」
しかし最終的に答えが出ないまま、ゴブリンの素材の回収を終えた僕は、あの騎士達の所為だということで結論づける。
もしかしたら間違っているかもしれないが、まぁ屑だしいいだろう、と頷き僕は再度歩き始めた。
それからどれだけ上層を歩き回っただろうか。
転移から真っ直ぐに崖まで来たせいかそこまで気にならなかったが、想像以上に上層は広く、かなりの時間僕は彷徨っていた。
もう既にどれだけのゴブリンを殺したか分からない。
もう素材はもう持てないほど採集しており、もうゴブリンを殺してから採集をしないようになってかなりの時間が過ぎた。
「騎士の探索が始まるまでには裏口を見つけたいんだけど……」
僕が殺したゴブリンの死体、それは放っておくと迷宮に吸い込まれていっていたのでおそらく僕が迷宮にいることは痕跡でバレたりはしない。
だがこのまま彷徨っていては探索に来た騎士に見つかる可能性が高くなる。
「迷宮は次元の裂け目から出来た存在で不安定。複数の出入り口が存在することが多い」
僕は前に読んだ本の内容を思い出し、これだけ大きな迷宮ならばもうそろそろ裏口が見つかって良いはずなのに、と溜息を漏らす。
「ギガッ!」
「またお前らか……」
そしてさらにもう何度目かも分からないゴブリン達の襲撃に、気分がどんどん暗くなって行く。
腹がなり、身体を空腹が蝕む。
そして一日中迷宮で活動していたせいか、疲労が溜まっており眠気で瞼が重い。
「ギギッ!?」
「はいよ」
だが、勿論ゴブリン程度に苦戦することなく僕はあっさりと数体のゴブリンを剣で切り裂く。
白川から貰った剣は僕の使っていた剣よりもかなり上等なのもので、滑らかにゴブリンの骨まで切り裂く。
「ギーッ!」
そしてその僕の剣筋に驚いたのか、1人のゴブリンが逃げ出した。
「っ!面倒くさい……」
僕はあっさりと他のゴブリンを切り殺し、逃げたゴブリンが他のゴブリン達を呼ぶ前に殺すため走り出す。
「ギギッ!?」
「はぁ……」
そして強化された僕は直ぐにゴブリンに追いつきその命を奪う。
「それにしても本当に後どれだけ探し回れば………」
一仕事終えた僕の胸にあるのはただの徒労感。
もう何度も繰り返していればこうなっても仕方がない。
そう胸中で言い訳しながら本日何度目かもしれない嘆息しかけ、
「っ!」
ーーー 目の前の光景僕は絶句した。
今まで僕がいた迷宮の壁は、ある程度明るさを保っていた。
だが、今僕がいる場所は明らかにその場所よりも薄暗い。
「出口が!」
僕はそう隠しきれない歓喜を口元に滲ませながら走り出して、
「クルル?」
「えっ、コボルト?」
その先で今まで遭遇して来なかった初めての魔物を目にする。
つまりここは迷宮であるのだが、明らかに先ほどいた王国の迷宮とはこの場所は違っていて、
「違う迷宮に出たのか!」
そして僕はようやく王国の迷宮を抜け出し、
新たな迷宮に迷い込んだことを悟った……
襲いかかってくる小鬼、ゴブリンを切り捨て僕は迷宮の奥へと進んでいた。
勿論別に今から迷宮で鍛えようと思っているわけではない。
正直、今は身体の傷はかなり回復したとはいえ、体力までは戻ってなく本調子とは言い難い状態のなのだ。
そんな状況で何をしようとしているかというと、僕はこの迷宮の出口、それも裏口なるものを探している。
迷宮の出口は知っているが、それは王国に管理されており、そこから出ることはかなり難しい。
おそらく隠密を使えば迷宮を管理している騎士程度の目ならば誤魔化せるだろうが、王宮の中まで隠密が通用するかは分からない。
迷宮は王宮の中で管理されていて、そして迷宮から出るには王宮を通る道以外存在しない。
「そして王宮にはおそらく今の僕では敵うか難しい奴がいると」
「ギャッ!」
僕はそう呟きながらさらにゴブリンを切り裂く。
そう、この王国にはかなりの強者がいると断言できる。
先ず国王は間違いなく強い。
数える程しか会ったことはないが、それでもその身体からは恐ろしいほどの威圧感が漏れていた。
正直、何で国王やってんだよ、と呆れるたほど。
そして強敵は他にもいる可能性がある。
理由は僕が騎士から奪った下層の地図。
それは本当に繊細な地図で、そしてその繊細さはあの下層を王国の何者かが探索したことを示していた。
「いやぁ、本気で怖い……」
しかもあの丁寧さからして、かなり綿密に探索を行なっているはずだ。
僕が必死に逃げ惑うことしかできなかったあの下層をだ。
「例え探索を行なったのが複数人であったとしても、直接遣り合うとなったらかなり分が悪い、か」
そしてそんな化け物どもに僕の隠密が効くとは思い難い。
というか、そんな存在に今の僕の隠密が効けば奇跡だ。
僕はそんな危険を冒す訳にはいかない。
そんな失態を犯せばいきなり計画がおじゃんだ。
だが、迷宮で暮らそうと思うのは自殺行為の他の何物でもない。
何故ならば、迷宮では殆どだべられるものが取れないのだ。
そんな状況で生き抜けるわけがない。
つまり僕が取れる選択肢は1つ。
迷宮を出ることが出来る裏口探すことだ。
「まぁ、でもそんなに簡単には見つからないか……」
それだけのことを考えながら、かなりの数のゴブリンをあっさりと全滅させた僕は、何事もなかったかのように嘆息する。
だが、その足元にはゴブリン供の死体が散乱していて、周囲に誰か人が来れば悲鳴を上げているかもしれない物騒さだろう。
「まぁ、もう慣れたけど……」
僕は悲惨なゴブリンの死体を見て、それでも一切感情を動かすことの無くなった自分に気づき嘆息する。
昨日まで騎士2人程度の死体で正気を失っていたのに、その時がもう遠い過去に感じる。
まぁ考えても仕方がないと、僕はゴブリンの死体を漁り始めた。
ゴブリンの死体、いや、迷宮の魔物全部に言えることだが、その身体は鉱物であったりと、かなりの硬度を誇っており、採集することでギルドと呼ばれる場所で現金に換えることが出来る。
ついでにそれを収入にする冒険者と呼ばれる異世界特有の職業も存在しているらしい。
正直かなり嵩張るが、無一文で出てきた今、金が必要であろうと判断して僕はゴブリンの素材になる箇所を剥ぎ取って行く。
ゴブリンの身体は硬く、素材を取る際にはかなりの力が必要になる。
だがゴブリンの素材を慣れぬ手つきで剥ぎ取りながらも、僕の頭は今後のことを考えていた。
それは身体と脳が別々な動く、並列思考と同じような行為。
下層で明らかに実力的に格上の魔物達から逃げきるには、必死に身体を動かしながら逃げる為の策を考えることのできるこの能力の覚醒が必要不可欠だった。
そしてその能力はゴブリンとの戦闘にも遺憾無く発揮されていて、おそらく下層で僕が得た一番の成果だろう。
だが、別にこの能力はスキルの効果ではない。
そして勿論ステータスの効果も関係ない。
普通に何度も死に掛けていたせいで手にした、鍛錬の結果だ。
「というか、こんな能力を得る程に戦っていたのに身体能力に関してはそんなに上がってないって………」
だが、総合的に考えるとあれだけの地獄を経験してきたのにも関わらず僕の手にした能力は余りにもしょぼかった。
確かに身体能力は確かに上がっている。
だが、それは精々1キロのものしか持てなかった人間が1.3キロのものを持てるようになった程度の強化。
確かに強化はされている。
日本では1.3倍の強化はかなり凄いことだろう。
「だけど、結果に対してかなりしょぼいだろう……」
騎士達は僕に竜を殺せば目に見える形で強くなると言っていた。
だが、正直竜クラスの化け物を一体殺したが、サイクロプスよりも少し上程度の強化しかされなかった………
「もしかしてあの騎士2人普通に嘘ついていたのか……」
一瞬、僕の頭にそんな考えが浮かぶ。
だが、迷宮の魔物を倒しても対して強化はされないという話だったのにそこで騙す意味が分からない。
「まぁでもあの2人屑だったからあり得るか……」
しかし最終的に答えが出ないまま、ゴブリンの素材の回収を終えた僕は、あの騎士達の所為だということで結論づける。
もしかしたら間違っているかもしれないが、まぁ屑だしいいだろう、と頷き僕は再度歩き始めた。
それからどれだけ上層を歩き回っただろうか。
転移から真っ直ぐに崖まで来たせいかそこまで気にならなかったが、想像以上に上層は広く、かなりの時間僕は彷徨っていた。
もう既にどれだけのゴブリンを殺したか分からない。
もう素材はもう持てないほど採集しており、もうゴブリンを殺してから採集をしないようになってかなりの時間が過ぎた。
「騎士の探索が始まるまでには裏口を見つけたいんだけど……」
僕が殺したゴブリンの死体、それは放っておくと迷宮に吸い込まれていっていたのでおそらく僕が迷宮にいることは痕跡でバレたりはしない。
だがこのまま彷徨っていては探索に来た騎士に見つかる可能性が高くなる。
「迷宮は次元の裂け目から出来た存在で不安定。複数の出入り口が存在することが多い」
僕は前に読んだ本の内容を思い出し、これだけ大きな迷宮ならばもうそろそろ裏口が見つかって良いはずなのに、と溜息を漏らす。
「ギガッ!」
「またお前らか……」
そしてさらにもう何度目かも分からないゴブリン達の襲撃に、気分がどんどん暗くなって行く。
腹がなり、身体を空腹が蝕む。
そして一日中迷宮で活動していたせいか、疲労が溜まっており眠気で瞼が重い。
「ギギッ!?」
「はいよ」
だが、勿論ゴブリン程度に苦戦することなく僕はあっさりと数体のゴブリンを剣で切り裂く。
白川から貰った剣は僕の使っていた剣よりもかなり上等なのもので、滑らかにゴブリンの骨まで切り裂く。
「ギーッ!」
そしてその僕の剣筋に驚いたのか、1人のゴブリンが逃げ出した。
「っ!面倒くさい……」
僕はあっさりと他のゴブリンを切り殺し、逃げたゴブリンが他のゴブリン達を呼ぶ前に殺すため走り出す。
「ギギッ!?」
「はぁ……」
そして強化された僕は直ぐにゴブリンに追いつきその命を奪う。
「それにしても本当に後どれだけ探し回れば………」
一仕事終えた僕の胸にあるのはただの徒労感。
もう何度も繰り返していればこうなっても仕方がない。
そう胸中で言い訳しながら本日何度目かもしれない嘆息しかけ、
「っ!」
ーーー 目の前の光景僕は絶句した。
今まで僕がいた迷宮の壁は、ある程度明るさを保っていた。
だが、今僕がいる場所は明らかにその場所よりも薄暗い。
「出口が!」
僕はそう隠しきれない歓喜を口元に滲ませながら走り出して、
「クルル?」
「えっ、コボルト?」
その先で今まで遭遇して来なかった初めての魔物を目にする。
つまりここは迷宮であるのだが、明らかに先ほどいた王国の迷宮とはこの場所は違っていて、
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