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第24話 変わった人間(アルフォート目線)
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助けたはずの拒絶されてからずっと、私はこの家に閉じこもっていた。
自分は誰にも受け入れられない悪魔だから。
ここに閉じこもっておけば孤独でも、少なくても人に拒絶されることはないから。
だから私はレシアスが魔境に迷い込んだのを見つけた時も深く関わる気なんて無かった。
……そう、彼女が国王が告げていた私への花嫁であることを悟りながらも。
深く関わっても最後に待っているのは拒絶なのだ。
この力を見て、私を恐れ無かった人間はいない。
けれども何故かレシアスはこの家に残ることを望んだ。
何故レシアスがそんなことを望んだのか私にはわからない。
何せここは私という存在を抜きにしてもおぞましい魔境の中に建てられた家なのだ。
普通の人間ならばこんな場所に残ることをよしとはしない。
だから私は突っぱねていればレシアスもいつのまにか根を上げるだろうと思っていた。
だが、何故かレシアスは頑として諦めようとはしなかった。
そしてそのレシアスの姿に何故か私は彼女を家に置くことに決めていた。
レシアスの態度を見て、彼女を追い出すことが出来なかったのだ。
……けれども、少しして僕はその自分の決断を後悔することになった。
私は敢えてレシアスに好印象を植え付けないように振舞っていた。
過ごす時間は必要最小限にして、敢えてレシアスの行動に反応しなかった。
……けれどもそんな私の試みはあまりうまくかなかった。
何せ初日の掃除の際に既に私はぼろを出してしまったのだ。
レシアスの掃除の後、家は見違えたように綺麗になっていた。
そしてその家を見て私は無反応を装うことが出来なかったのだ。
けれどもレシアスに心を許してはならない、と私はそう自分を戒めて、けれどもそれは無理だった。
レシアス、彼女はあまりにも魅力的な少女だったのだから。
レシアスは酷く心優しく、そして気遣いのできる少女だった。
もちろん、私が竜神であることに気づいていないからなのだろうが、それでもそのレシアスの態度に私はどんどんと彼女の存在に心を許していった。
今まで一人で孤独に過ごしていた私にとって、レシアスと過ごすひと時ははあまりにも甘美なものだった。
決して私はレシアスに恋愛感情を抱いたわけでもなかった。
けれどもレシアスは厄介な人間から、私にとってかけがえのない存在へと変わっていった。
……レシアスも私が竜神だと知ったら離れていくことを知りながらも。
そんな自分に私は危うさを感じていた。
この先未来レシアスは私の正体に気づいて私を拒絶する。
そしてそうなれば私は立ち直れるのだろうかと。
だから私は強引に彼女を家に送り返そうとした。
突然呼び出し、家に帰るように言いつけた。
……そして、その私の言葉に反発してくれたレシアスの姿に黙ったままでいるのが耐えきれなくなって、私は言わないと決めていたはずの自分の正体を語った。
その時、私はレシアスに自分の正体を語りながら、自分をあざ笑っていた。
最後まで隠し通せたら、レシアスは少しくらい私のことを良く思ってくれていたかもしれないのに、何をしているのだろうと。
そして私は、最悪の悪魔だと、今まで親切にしてくれたレシアスが自分に怯えた視線を上げるだろうとそう思っていた。
「本当にありがとうございます!」
ーーー けれども、その時彼女が口にしたのはそんな、感謝の言葉だった。
そして、その時私は初めて自分が人に認められたことを悟った……
◇◆◇
「……本当にレシアス嬢は物好きだな。こんな悪魔に感謝するとは」
レシアスの感謝の言葉を思い出した私は呆れたようにそう漏らした。
……けれども、口調に反して私の口元は緩みは隠しきれていなかった。
今まで私はレシアスを追い出そう何て考えていたが、けれども今私はそんなこと一切考えていなかった。
それよりも、今は頼み込んでこの位にいて欲しいくらいで……
「……今から頼み込むか」
私は気づけばそう呟いて歩き出していた。
今はもう深夜で、そんな時間から女性の部屋に尋ねるなど普通に考えれば非常識極まり無い行動だ。
けれども今の私はどうしてもこらえることが出来なかった。
どうしようもなく胸が踊り、レシアスと共にこの家に入れると考えるだけで口元が緩む。
「ぅぁっ!」
「ーーーっ!」
……けれどもレシアスの部屋から響いた呻き声らしき音に私の顔から笑みは消えた。
「レシアス嬢!」
次の瞬間、私は扉を開き彼女の部屋に飛び込んでいた……
自分は誰にも受け入れられない悪魔だから。
ここに閉じこもっておけば孤独でも、少なくても人に拒絶されることはないから。
だから私はレシアスが魔境に迷い込んだのを見つけた時も深く関わる気なんて無かった。
……そう、彼女が国王が告げていた私への花嫁であることを悟りながらも。
深く関わっても最後に待っているのは拒絶なのだ。
この力を見て、私を恐れ無かった人間はいない。
けれども何故かレシアスはこの家に残ることを望んだ。
何故レシアスがそんなことを望んだのか私にはわからない。
何せここは私という存在を抜きにしてもおぞましい魔境の中に建てられた家なのだ。
普通の人間ならばこんな場所に残ることをよしとはしない。
だから私は突っぱねていればレシアスもいつのまにか根を上げるだろうと思っていた。
だが、何故かレシアスは頑として諦めようとはしなかった。
そしてそのレシアスの姿に何故か私は彼女を家に置くことに決めていた。
レシアスの態度を見て、彼女を追い出すことが出来なかったのだ。
……けれども、少しして僕はその自分の決断を後悔することになった。
私は敢えてレシアスに好印象を植え付けないように振舞っていた。
過ごす時間は必要最小限にして、敢えてレシアスの行動に反応しなかった。
……けれどもそんな私の試みはあまりうまくかなかった。
何せ初日の掃除の際に既に私はぼろを出してしまったのだ。
レシアスの掃除の後、家は見違えたように綺麗になっていた。
そしてその家を見て私は無反応を装うことが出来なかったのだ。
けれどもレシアスに心を許してはならない、と私はそう自分を戒めて、けれどもそれは無理だった。
レシアス、彼女はあまりにも魅力的な少女だったのだから。
レシアスは酷く心優しく、そして気遣いのできる少女だった。
もちろん、私が竜神であることに気づいていないからなのだろうが、それでもそのレシアスの態度に私はどんどんと彼女の存在に心を許していった。
今まで一人で孤独に過ごしていた私にとって、レシアスと過ごすひと時ははあまりにも甘美なものだった。
決して私はレシアスに恋愛感情を抱いたわけでもなかった。
けれどもレシアスは厄介な人間から、私にとってかけがえのない存在へと変わっていった。
……レシアスも私が竜神だと知ったら離れていくことを知りながらも。
そんな自分に私は危うさを感じていた。
この先未来レシアスは私の正体に気づいて私を拒絶する。
そしてそうなれば私は立ち直れるのだろうかと。
だから私は強引に彼女を家に送り返そうとした。
突然呼び出し、家に帰るように言いつけた。
……そして、その私の言葉に反発してくれたレシアスの姿に黙ったままでいるのが耐えきれなくなって、私は言わないと決めていたはずの自分の正体を語った。
その時、私はレシアスに自分の正体を語りながら、自分をあざ笑っていた。
最後まで隠し通せたら、レシアスは少しくらい私のことを良く思ってくれていたかもしれないのに、何をしているのだろうと。
そして私は、最悪の悪魔だと、今まで親切にしてくれたレシアスが自分に怯えた視線を上げるだろうとそう思っていた。
「本当にありがとうございます!」
ーーー けれども、その時彼女が口にしたのはそんな、感謝の言葉だった。
そして、その時私は初めて自分が人に認められたことを悟った……
◇◆◇
「……本当にレシアス嬢は物好きだな。こんな悪魔に感謝するとは」
レシアスの感謝の言葉を思い出した私は呆れたようにそう漏らした。
……けれども、口調に反して私の口元は緩みは隠しきれていなかった。
今まで私はレシアスを追い出そう何て考えていたが、けれども今私はそんなこと一切考えていなかった。
それよりも、今は頼み込んでこの位にいて欲しいくらいで……
「……今から頼み込むか」
私は気づけばそう呟いて歩き出していた。
今はもう深夜で、そんな時間から女性の部屋に尋ねるなど普通に考えれば非常識極まり無い行動だ。
けれども今の私はどうしてもこらえることが出来なかった。
どうしようもなく胸が踊り、レシアスと共にこの家に入れると考えるだけで口元が緩む。
「ぅぁっ!」
「ーーーっ!」
……けれどもレシアスの部屋から響いた呻き声らしき音に私の顔から笑みは消えた。
「レシアス嬢!」
次の瞬間、私は扉を開き彼女の部屋に飛び込んでいた……
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