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怒りを持つものたち
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「わ、私にそんなつもりは……!」
そう必死に告げながら、私は自分の体が震えているのに気づいていた。
感じるのは濃密な死の恐怖。
それに対して、私はただ命乞いをすることしかできない。
しかし、その私の必死の懇願が、聖獣の心をつかむことはなかった。
一切変わることのない濃密な殺気に、そのことを私は理解させられる。
「さも聖獣のように振る舞っていてか? 真の聖女であるカシュアを勝手にはめようとしてよく言えるな」
「それは……!」
とっさに言い訳しようとして、私はその言葉を喉元で止める。
……聖獣なんて出てくるとは思っていなかった、それが目の前の存在を苛立たせる効果しかないことに、直前に気づいて。
途中で言葉を途絶えさせた私に一切気を払うことなく、聖獣は続ける。
「そして何より。……貴様は、我が認めたマレシアを偽聖女と断罪し、あげくの果てに利用しようとした」
「……っ!」
その時、私はようやく気づく。
マレシアが、この存在にとってかけがえのない存在であることに。
マレシアを誘拐しようとした自身の行動こそが、何より聖獣の逆鱗にふれたことを。
……そしてそれは、今更気づいてもどうしようもないことだった。
そのことに気づき、言葉を失う私を冷笑し、聖獣は続ける。
「本当におめでたい奴だな。そんなお前に、もう一つ教えてやる。──お前が激怒させたのは我だけではないぞ」
そう告げると、聖獣は指をぱちん、とならす。
それはある程度の魔術師として修練を納めた私にも、なんの意味があるのか全く理解できない行動。
けれど、その行為を区切りに世界は大きく変わった。
「……は?」
次の瞬間、部屋の中私を囲むように現れたのは、いつぞやを思い出す黒い群だった。
それはあのときと違って、人の手のひら程の子供の姿をしていたが、私にははっきりと理解できた。
これは、魔精霊達だと。
黒目黒髪の彼等と、私の目がごまかせない程にはっきりとあう。
瞬間、魔妖精達は口を開き叫びだした。
[……! ……!]
[………………!]
[……!]
一瞬で部屋の中を叫びが、敵意が覆い、私の脳裏を犯す。
悪夢のような状況に、私の頭が限界を迎えかける直前。
「相変わらず、小うるさい奴らだ」
ぱちん、と聖獣が再度指を鳴らす音が響いた。
その美貌を歪めた聖獣は、そう吐き捨てると再度私視線を向ける。
「まあ、これで理解できたか? 自分が一体何をして、どんな存在に敵意を向けられているかを?」
もはや、その言葉に身じろぎさえできなくなった私に、聖獣は淡々と続ける。
「さて、どんな死に方がいいかくらい選ばせてやる」
そう必死に告げながら、私は自分の体が震えているのに気づいていた。
感じるのは濃密な死の恐怖。
それに対して、私はただ命乞いをすることしかできない。
しかし、その私の必死の懇願が、聖獣の心をつかむことはなかった。
一切変わることのない濃密な殺気に、そのことを私は理解させられる。
「さも聖獣のように振る舞っていてか? 真の聖女であるカシュアを勝手にはめようとしてよく言えるな」
「それは……!」
とっさに言い訳しようとして、私はその言葉を喉元で止める。
……聖獣なんて出てくるとは思っていなかった、それが目の前の存在を苛立たせる効果しかないことに、直前に気づいて。
途中で言葉を途絶えさせた私に一切気を払うことなく、聖獣は続ける。
「そして何より。……貴様は、我が認めたマレシアを偽聖女と断罪し、あげくの果てに利用しようとした」
「……っ!」
その時、私はようやく気づく。
マレシアが、この存在にとってかけがえのない存在であることに。
マレシアを誘拐しようとした自身の行動こそが、何より聖獣の逆鱗にふれたことを。
……そしてそれは、今更気づいてもどうしようもないことだった。
そのことに気づき、言葉を失う私を冷笑し、聖獣は続ける。
「本当におめでたい奴だな。そんなお前に、もう一つ教えてやる。──お前が激怒させたのは我だけではないぞ」
そう告げると、聖獣は指をぱちん、とならす。
それはある程度の魔術師として修練を納めた私にも、なんの意味があるのか全く理解できない行動。
けれど、その行為を区切りに世界は大きく変わった。
「……は?」
次の瞬間、部屋の中私を囲むように現れたのは、いつぞやを思い出す黒い群だった。
それはあのときと違って、人の手のひら程の子供の姿をしていたが、私にははっきりと理解できた。
これは、魔精霊達だと。
黒目黒髪の彼等と、私の目がごまかせない程にはっきりとあう。
瞬間、魔妖精達は口を開き叫びだした。
[……! ……!]
[………………!]
[……!]
一瞬で部屋の中を叫びが、敵意が覆い、私の脳裏を犯す。
悪夢のような状況に、私の頭が限界を迎えかける直前。
「相変わらず、小うるさい奴らだ」
ぱちん、と聖獣が再度指を鳴らす音が響いた。
その美貌を歪めた聖獣は、そう吐き捨てると再度私視線を向ける。
「まあ、これで理解できたか? 自分が一体何をして、どんな存在に敵意を向けられているかを?」
もはや、その言葉に身じろぎさえできなくなった私に、聖獣は淡々と続ける。
「さて、どんな死に方がいいかくらい選ばせてやる」
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