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第一章
第35話 同居人としての生活
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色々と変わった数日間。
その間に変化したのはギルド職員の人達との関係や、僕自身の心の持ちようだけではなかった。
僕とサーシャさんの関係についても大きく変わっていた。
というのも、僕はもうサーシャさんの居候という立場ではない。
なぜなら、僕は正式に雇われたことにより、ギルドに居候することができるようになったのだ。
それでも僕がサーシャさんに住む理由は僕がサーシャさんと一緒に居たいと思ったから。
……ではなく、僕がサーシャさんに懇願されてなし崩し的に説得されたからだった。
この数日間、僕は少しでも恩を返すべく、率先して家事をこなすようにしていた。
屋敷にいた頃は少しでも自分を見て欲しくて屋敷の雑務を行っていたことで、僕には家事の経験があった。
なおかつ、野営経験や精霊達への感謝の印として好物を振る舞うことから、料理の経験についても多少は持っている。
それらを最大限に活かし、サーシャさんへと恩を返そうとした結果、僕は徐々にある違和感に気づくことになった。
すなわち、サーシャさんは身の回りのことが壊滅的なのではないかと。
僕のいた寝室こそ、多少埃が溜まっている程度だったが、リビングにかけては書類のゴミだらけ。
そして、僕が料理されなければ出されるのは常に同じスープ。
ついでにそのスープは、ギルド前の屋台で売られていた。
そんな状況の中、僕が必死に家事をすること早数日。
「あー、本当にライバートがギルドに盗られることがなくて良かったわ!」
……こうして、僕とサーシャさんの関係は居候から同居人という立場へと変化していた。
僕の作ったオーク肉の照り焼きを頬張りながら、満足げにそう告げるサーシャさん。
その姿に苦笑しながら、僕は告げる。
「別に盗られるという話でもないですけどね……」
「ライバート居なくなると、私のこの快適な生活がなくなるのよ! 許せる訳ないでしょう!」
「サーシャさんはもう少し家事ができた方がいいのでは?」
「……はい」
端的な僕の言葉に、サーシャさんは無言で俯く。
その姿に、僕は微かに赤くなった顔を逸らして隠す。
……この人は本当に心臓に悪いことばかり言うと。
この生活をしていく内に、僕はサーシャさんの扱いを理解しつつあった。
すなわち、この人相手に甘い態度はからかわれる種をあげる様なものだと。
その結果、僕はこうして淡々と言葉を返すようにしている。
けれど、その一方で別に僕の内心自体は変わっていなかった。
すなわち、サーシャさんに感謝しているという気持ち自体は。
こうして同居人と過ごすようになって、僕は徐々にサーシャさんについて理解しつつあった。
サーシャさんは想像以上に僕に気を使ってくれていたことを。
──サーシャさんはほとんどない時間を僕に分けてくれていたことを。
「御馳走様! 今日もおいしかったわ!」
満足げな様子で立ち上がったサーシャさんはにっこりと笑って食器を僕の方へと置く。
サーシャさんの雰囲気が変わったのはその瞬間だった。
「それじゃ、もう一頑張りしますか」
そう言って、サーシャさんが向き直った方向。
……そこにあるのは、山積みとなった書類だった。
その間に変化したのはギルド職員の人達との関係や、僕自身の心の持ちようだけではなかった。
僕とサーシャさんの関係についても大きく変わっていた。
というのも、僕はもうサーシャさんの居候という立場ではない。
なぜなら、僕は正式に雇われたことにより、ギルドに居候することができるようになったのだ。
それでも僕がサーシャさんに住む理由は僕がサーシャさんと一緒に居たいと思ったから。
……ではなく、僕がサーシャさんに懇願されてなし崩し的に説得されたからだった。
この数日間、僕は少しでも恩を返すべく、率先して家事をこなすようにしていた。
屋敷にいた頃は少しでも自分を見て欲しくて屋敷の雑務を行っていたことで、僕には家事の経験があった。
なおかつ、野営経験や精霊達への感謝の印として好物を振る舞うことから、料理の経験についても多少は持っている。
それらを最大限に活かし、サーシャさんへと恩を返そうとした結果、僕は徐々にある違和感に気づくことになった。
すなわち、サーシャさんは身の回りのことが壊滅的なのではないかと。
僕のいた寝室こそ、多少埃が溜まっている程度だったが、リビングにかけては書類のゴミだらけ。
そして、僕が料理されなければ出されるのは常に同じスープ。
ついでにそのスープは、ギルド前の屋台で売られていた。
そんな状況の中、僕が必死に家事をすること早数日。
「あー、本当にライバートがギルドに盗られることがなくて良かったわ!」
……こうして、僕とサーシャさんの関係は居候から同居人という立場へと変化していた。
僕の作ったオーク肉の照り焼きを頬張りながら、満足げにそう告げるサーシャさん。
その姿に苦笑しながら、僕は告げる。
「別に盗られるという話でもないですけどね……」
「ライバート居なくなると、私のこの快適な生活がなくなるのよ! 許せる訳ないでしょう!」
「サーシャさんはもう少し家事ができた方がいいのでは?」
「……はい」
端的な僕の言葉に、サーシャさんは無言で俯く。
その姿に、僕は微かに赤くなった顔を逸らして隠す。
……この人は本当に心臓に悪いことばかり言うと。
この生活をしていく内に、僕はサーシャさんの扱いを理解しつつあった。
すなわち、この人相手に甘い態度はからかわれる種をあげる様なものだと。
その結果、僕はこうして淡々と言葉を返すようにしている。
けれど、その一方で別に僕の内心自体は変わっていなかった。
すなわち、サーシャさんに感謝しているという気持ち自体は。
こうして同居人と過ごすようになって、僕は徐々にサーシャさんについて理解しつつあった。
サーシャさんは想像以上に僕に気を使ってくれていたことを。
──サーシャさんはほとんどない時間を僕に分けてくれていたことを。
「御馳走様! 今日もおいしかったわ!」
満足げな様子で立ち上がったサーシャさんはにっこりと笑って食器を僕の方へと置く。
サーシャさんの雰囲気が変わったのはその瞬間だった。
「それじゃ、もう一頑張りしますか」
そう言って、サーシャさんが向き直った方向。
……そこにあるのは、山積みとなった書類だった。
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