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離縁の準備
第三十三話
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そういいながら、大胆な事を言ってしまったのではないかと、私の顔は真っ赤だった。
しかし、そんな表情を出さずに私はアルダムに微笑みかける。
……幸いなのは、いつもなら私の内心を見抜いてくるマリアもしゅんとしていることか。
物珍しいマリアの様子に私は心から感謝する。
そんな私をどう勘違いしたのか、アルダムは申し訳なさそうに口を開いた。
「……まずはじめに謝罪を。このたびのことは突然で、本当に謝罪の意を持っています」
「あ、いえ。それはいらないわ。助けて貰って、謝罪は求めないわ!」
その言葉に私は急いで訂正の言葉を口にした。
冷静さを失っていたところはあるが、さすがの私も状況は理解していた。
すなわち、アルダムは私の為に結婚という形をとっのだと。
この一ヶ月の対処などを目にし、私もそのことをよく理解している。
それにお礼はあれど、文句を言う気はない。
「ただ、単純に状況がわからないから教えてほしいだけなの。気になっていたけど、忙しすぎて話を聞けなかったし」
「……そうでしたか」
私の言葉にアルダムが心底ほっとした様子で口を開く。
「確かに、この一ヶ月説明の為に予定をとろうにも、あいているのはここだけでしたものね」
その言葉に、私とマリアは無言で顔をそらす。
確かに、私達が忙しかったのは事実だ。
……しかし、時間がとれなかった一番大きな理由は別だった。
私の方が心の準備ができていなかっただけ、という。
思い出すのは一ヶ月前。
アルダムの使いが来る度にショートする私の姿に、マリアが一ヶ月後の予定を決めた日のこと。
あの時のマリアの英断を、私は心から感謝している。
それがなければ、こうして内心を隠すことはできなかっただろう。
それらの経緯がアルダムを萎縮させたのだとすれば、素直に申し訳ない。
「むしろ、私の方が申し訳ないわ……。助けて貰ったのにお礼を直接いうのにもここまでかかってしまって。本当にありがとうね」
「いえ、最初にお礼を頂いた時に言ったように、これはただの恩返しですから」
「もう私の方が恩を返さないといけないくらいだと思うんだけど……」
「冗談はやめてください。こんな程度で、私の抱えている感謝を表せる訳がないじゃないですか」
その言葉に私は思わず押し黙る。
本気で私はアルダムに恩を感じている。
けれど、それさえ口にできないような心からの感謝をアルダムは顔に浮かべていた。
それに胸がうずいて、私はなにも言えなくなる。
そんな私に、アルダムはさわやかに笑う。
「脱線していましたね。結婚についてのご説明ですね」
「……ええ」
「ライラ様、安心してください」
優しげな声でそう告げるアルダムに、私の胸がどうしようもなく痛む。
もしかしたらこのまま死んでしまうのかもしれない。
そんな思いが私の胸にあふれて。
「──これはただの契約結婚ですので」
次の瞬間、浮かれた私の頭に現実という名の冷水が浴びせられた。
しかし、そんな表情を出さずに私はアルダムに微笑みかける。
……幸いなのは、いつもなら私の内心を見抜いてくるマリアもしゅんとしていることか。
物珍しいマリアの様子に私は心から感謝する。
そんな私をどう勘違いしたのか、アルダムは申し訳なさそうに口を開いた。
「……まずはじめに謝罪を。このたびのことは突然で、本当に謝罪の意を持っています」
「あ、いえ。それはいらないわ。助けて貰って、謝罪は求めないわ!」
その言葉に私は急いで訂正の言葉を口にした。
冷静さを失っていたところはあるが、さすがの私も状況は理解していた。
すなわち、アルダムは私の為に結婚という形をとっのだと。
この一ヶ月の対処などを目にし、私もそのことをよく理解している。
それにお礼はあれど、文句を言う気はない。
「ただ、単純に状況がわからないから教えてほしいだけなの。気になっていたけど、忙しすぎて話を聞けなかったし」
「……そうでしたか」
私の言葉にアルダムが心底ほっとした様子で口を開く。
「確かに、この一ヶ月説明の為に予定をとろうにも、あいているのはここだけでしたものね」
その言葉に、私とマリアは無言で顔をそらす。
確かに、私達が忙しかったのは事実だ。
……しかし、時間がとれなかった一番大きな理由は別だった。
私の方が心の準備ができていなかっただけ、という。
思い出すのは一ヶ月前。
アルダムの使いが来る度にショートする私の姿に、マリアが一ヶ月後の予定を決めた日のこと。
あの時のマリアの英断を、私は心から感謝している。
それがなければ、こうして内心を隠すことはできなかっただろう。
それらの経緯がアルダムを萎縮させたのだとすれば、素直に申し訳ない。
「むしろ、私の方が申し訳ないわ……。助けて貰ったのにお礼を直接いうのにもここまでかかってしまって。本当にありがとうね」
「いえ、最初にお礼を頂いた時に言ったように、これはただの恩返しですから」
「もう私の方が恩を返さないといけないくらいだと思うんだけど……」
「冗談はやめてください。こんな程度で、私の抱えている感謝を表せる訳がないじゃないですか」
その言葉に私は思わず押し黙る。
本気で私はアルダムに恩を感じている。
けれど、それさえ口にできないような心からの感謝をアルダムは顔に浮かべていた。
それに胸がうずいて、私はなにも言えなくなる。
そんな私に、アルダムはさわやかに笑う。
「脱線していましたね。結婚についてのご説明ですね」
「……ええ」
「ライラ様、安心してください」
優しげな声でそう告げるアルダムに、私の胸がどうしようもなく痛む。
もしかしたらこのまま死んでしまうのかもしれない。
そんな思いが私の胸にあふれて。
「──これはただの契約結婚ですので」
次の瞬間、浮かれた私の頭に現実という名の冷水が浴びせられた。
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