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第22話 ライフォード目線
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こちらに青い顔を向けるマルシェ。
その顔を見ながら、私の頭に思い浮かんできたのは広場の中サラリアが私に謝罪とともに告げた言葉だった。
ある貴族が、自分の不貞を目にしたと糾弾したという。
それを今まで私は気にしてもいなかった。
何故なら、私の目的はあくまでマーリスだったから。
他に協力者がいたかもしれない、とは理解していたが、あくまでその程度。
その協力者も、マーリスに脅された程度の被害者だと思っていたのだ。
そしてまた、私はマルシェもマーリスに騙された内の一人だと思い込んでいた。
マーリスの嘘に騙された愚かな令嬢。
それが、マルシェなのだと、サラリアの冤罪には彼女は関わっていないと思っていた。
だが、その考えが大きな間違いであったことを私は、自分の服装に反応したマルシェを見て気づいた。
今私の身につけている服装は、サラリアに会うときに身につけていた平民のものだ。
そして、同時にサラリアの不貞相手が身につけているとされたもの。
つまり今私の服装を知るということは、サラリアの冤罪に関わっている証拠に他らない。
そう、マルシェもサラリアを貶めた貴族のうち一人だったのだ。
それを知ったと同時に、自分の愚かさに気づいた私は唇を噛みしめる。
どうやら、マーリスへの怒りから目が曇っていたらしい。
そのことを悔いながら、私はマルシェへと向けて口を開いた。
「成る程。マルシェ嬢、貴女が私とサラリア嬢の不貞を目にされたと」
「っ!ち、違うのです!」
私が発した言葉に、マルシェはその顔をさらに青くする。
当たり前だろう。
彼女がしたことは、王子の不貞を広めたことと同義なのだから。
それも、まるで証拠もない出鱈目の。
それは、マルシェからすれば最悪の事態だろう。
だからこそ、マルシェは焦ったように言い訳をしようと口を開く。
「そ、その……」
だが、焦りのせいかマルシェの口から出るのはまとまりの無い言葉だけ。
時間が経つにつれ、マルシェの目には焦燥が募っていくが、その焦りはさらにマルシェの発する言葉を取り留めのないものとする。
そんなマルシェに嘲りの目を向けた私は、彼女の言葉を阻むように口を開いた。
「サラリア嬢に手を出すことだけは許さない」
「…………え?」
その私の言葉に、マルシェは惚けた声を上げる。
その目が何よりも雄弁に彼女の驚愕を語っている。
しかし、そんな彼女を無視して私は振り返り、その場を後にする。
その胸に浮かぶのは新たな決意。
もしかしたら、もはやサラリアの頭の中にはマルシェの存在はないかもしれない。
それでも、きちんと報いは受けさせてみせる、という。
その決意を胸に、私は足を早めた。
………しかし、その時の私は知らない。
マルシェの報いを与えるという決意。
それが無駄になることを。
──いや、それだけではない。
マルシェの悪評を拭うためにマーリスを脅したこと。
そして、サラリアを妻に迎える為の準備。
それら全てが無駄になることを。
何故なら愛した令嬢サラリアは、いや。
──裏切り者、そう呼ばれた令嬢は紛れも無い才媛だったのだから。
その顔を見ながら、私の頭に思い浮かんできたのは広場の中サラリアが私に謝罪とともに告げた言葉だった。
ある貴族が、自分の不貞を目にしたと糾弾したという。
それを今まで私は気にしてもいなかった。
何故なら、私の目的はあくまでマーリスだったから。
他に協力者がいたかもしれない、とは理解していたが、あくまでその程度。
その協力者も、マーリスに脅された程度の被害者だと思っていたのだ。
そしてまた、私はマルシェもマーリスに騙された内の一人だと思い込んでいた。
マーリスの嘘に騙された愚かな令嬢。
それが、マルシェなのだと、サラリアの冤罪には彼女は関わっていないと思っていた。
だが、その考えが大きな間違いであったことを私は、自分の服装に反応したマルシェを見て気づいた。
今私の身につけている服装は、サラリアに会うときに身につけていた平民のものだ。
そして、同時にサラリアの不貞相手が身につけているとされたもの。
つまり今私の服装を知るということは、サラリアの冤罪に関わっている証拠に他らない。
そう、マルシェもサラリアを貶めた貴族のうち一人だったのだ。
それを知ったと同時に、自分の愚かさに気づいた私は唇を噛みしめる。
どうやら、マーリスへの怒りから目が曇っていたらしい。
そのことを悔いながら、私はマルシェへと向けて口を開いた。
「成る程。マルシェ嬢、貴女が私とサラリア嬢の不貞を目にされたと」
「っ!ち、違うのです!」
私が発した言葉に、マルシェはその顔をさらに青くする。
当たり前だろう。
彼女がしたことは、王子の不貞を広めたことと同義なのだから。
それも、まるで証拠もない出鱈目の。
それは、マルシェからすれば最悪の事態だろう。
だからこそ、マルシェは焦ったように言い訳をしようと口を開く。
「そ、その……」
だが、焦りのせいかマルシェの口から出るのはまとまりの無い言葉だけ。
時間が経つにつれ、マルシェの目には焦燥が募っていくが、その焦りはさらにマルシェの発する言葉を取り留めのないものとする。
そんなマルシェに嘲りの目を向けた私は、彼女の言葉を阻むように口を開いた。
「サラリア嬢に手を出すことだけは許さない」
「…………え?」
その私の言葉に、マルシェは惚けた声を上げる。
その目が何よりも雄弁に彼女の驚愕を語っている。
しかし、そんな彼女を無視して私は振り返り、その場を後にする。
その胸に浮かぶのは新たな決意。
もしかしたら、もはやサラリアの頭の中にはマルシェの存在はないかもしれない。
それでも、きちんと報いは受けさせてみせる、という。
その決意を胸に、私は足を早めた。
………しかし、その時の私は知らない。
マルシェの報いを与えるという決意。
それが無駄になることを。
──いや、それだけではない。
マルシェの悪評を拭うためにマーリスを脅したこと。
そして、サラリアを妻に迎える為の準備。
それら全てが無駄になることを。
何故なら愛した令嬢サラリアは、いや。
──裏切り者、そう呼ばれた令嬢は紛れも無い才媛だったのだから。
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