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第17話 ライフォード目線

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 「っ!な、何故!」

 私の言葉に、何が起きたか分からず狼狽えるマーリス。
 その姿に、呆れを覚えながら私は口を開いた。

 「逆にこちらが問いたい。何故歴代の辺境伯の中でも愚かなサースマリア家と交流を持ちたいなど考えられたのか?」

 そう告げた言葉に、本気で私が自分に価値を見出していないことを理解し、マーリスは目を見開く。
 どうやら、本気でマーリスはサースマリア辺境伯の存在を出せば、全てが上手くいくと考えていたらしい。
 たしかに、辺境伯の力はマーリスがそう思い込むのも無理がないほど大きい。
 私だとしても、辺境伯の協力者が得られると聞けば、冷静ではいられないだろう。 

 だが、サースマリア家に関しては例外だった。

 現当主、次期当主、そして一人娘であるマルシェ・サースマリア。
 その全員全てが、貴族の中でも特別愚かなのだ。
 散財し、今や有する私軍を養うのにさえ、苦労しているらしい。
 そんな相手の助力など、私が必要に思うわけがなかった。

 「っ!」

 私が本気でサースマリア家の助力を求めていないことに気づいたのか、マーリスは再度その顔を青くする。
 そんなマーリスに、私は思わず口を開いていた。

 「……サラリア嬢が婚約者であれば、また話は別だっただろうに」

 それは、純粋な疑問からでた言葉だった。
 もし、本当にマーリスが反乱を企んでいても、サラリア嬢が婚約者であれば、私はマーリスを許したかもしれない。
 サラリアの能力には、辺境伯さえ上回るそれだけの価値があるのだ。
 だからこそ私は、マーリスが何故サラリアとの婚約を破棄したのか疑問を覚えていた。

 辺境伯だといえ、評判の悪く能力的もないサースマリア家、それとサラリア。
 サラリアの能力を知る人間ならば、間違いなくサラリアの方を選ぶ。
 なのに婚約者として長年サラリアの側にいたマーリスはマルシェを選んだ。
 その理由がまるで理解できなかった私は、マーリスの真意を尋ねるべく口を開こうとする。

 「……サラリア?あの女が優秀なわけ無いだろうが!」

 「…………は?」 

 マーリスが、怒りを爆発させたのはそのときだった。
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