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第23話 マクスタリア

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 「さっきから大人しく聞いていれば調子に乗りよって!」

 私の挑発を聞いたマルドーレはあっさりと激情した。

 「私が無能なわけがないだろうが!おかしいのはこれだけの組織を作りながら利用しなかったマーセリアの方だろうが!」

 そしてマルドーレは感情的に、そう怒声をあげた。
 ……その一方的な言葉は周囲の人間からの視線をさらに悪くしていることに気づくこともなく、さらに感情的に言葉を重ねる。

 「こんな大きな組織、軍事同盟にすればどれだけの権力が……っ!」

 しかし、その途中マルドーレは失言する。
 自分から大陸連盟を軍事同盟にしようとしたことを明言してしまったのだ。
 そしてそのことに気づいた瞬間、マルドーレの顔から血の気が引く。

 「それの何が悪い!」

 けれども、それはほんの一瞬のことだった。
 すぐにマルドーレは開き直ったのだ。

 「貴様らとて、私と同じ立場にあれば同じように考えたくせに、何を今更善人面している!私はただ運が悪かっただけではないか!」

 ……マルドーレの言葉、それは本当に見当違いなものだった。
 何せこの場にいる誰1人として大陸連盟の権限を求めているものはいないのだ。
 ただ、争いの絶えない大陸の中、自身の国を守るためにこの場にいる人間はいるのだから。

 「図星を指されて何も言えないか!」

 ……けれども、そんなことをマルドーレは考えない。
 彼は欲望に取り憑かれたのが自分だけであることに気づくことなく、暴走を続ける。

 それはどうしようもなく、無様な姿でけれども、そんな姿をさらしていることに本人だけが気づいていない。

 「そもそもこんなことで文句を言われてたまるか!貴様らは大陸連盟の一員なのだろう!ならば盟主である私の言いつけを聞くのが普通だろうが!」

 最終的に、マルドーレが告げた言葉はどうしようもなく自分本位なものだった。
 確かに大陸連盟の盟主はマルドーレではあるが、その盟主と言う立場にはなんの権限もないのだ。
 何せ、大陸連盟内の加盟国の立場は対等なのだから。
 しかしそんなもとを無視してマルドーレは言葉を告げていて、そのマルドーレの態度に加盟国の人間達はもはや怒りを隠そうともしなかった。

 「確かに。その通りですね」

 「……はっ?」

 「そうだろう!」

 ……しかし、そんなマルドーレの一方的な言葉にたいし、私は笑顔でそう告げた。
 その私の態度に周囲にどよめきが走り、私を味方と判断したマルドーレが私へと笑いかけてきて。

 「あなたが私達を大陸連盟の一員として認めないと言うならば、私達は不本意ながらも盟主の要望に応じて大陸連盟を追放されることにします」

 「……え?」

 ーーーけれども、次の瞬間私が告げたその言葉にマルドーレの表情は固まることになった。
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