妹に全てを奪われた私は〜虐げられた才女が愛されることを知るまで〜

影茸

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思いもせぬ言葉 (アルフォード視点)

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 マルクの部屋にたどり着くその道中、俺はマルクと遭遇することになった。
 こちらを見かけて一直線にこちらに向かってくるその姿に、俺はマリアが何らかの手段でマルクにもサーシャリア失踪を伝えたことを理解する。
 いや、この状況だ。
 生徒会メンバー全員に伝えているのかもしれない。
 そんなことを考えているうちにも、目の前にマルクは迫っていた。

「アルフォード! 聞いたか、サーシャリアが部屋から消えた!」

「……ああ、マリアから聞いた」

「なら話は早い! 王宮内を探したが、サーシャリアの姿は見つかっていない。おそらくもう外にでてるはずだ!」

 その言葉を聞きながら、俺は内心うなずく。
 サーシャリアのことだ、素早く王宮を後にしていてもおかしくないだろうと。
 騒ぎにって抜け出すのが難しくなる前に抜け出す、サーシャリアはそれだけの判断ができる人間だ。
 そしてもう外にいるならば、速やかに捜索を出さなければ見つけだすのは難しくなるだろう。
 それを理解しているのか、マルクは焦った様子で言葉を続けようとして。

「今からすぐに捜索をだそうと思うが……ちょっとまて、お前何を考えている?」

 ……その途中、マルクは表情を険しいものとした。
 何も答えない俺に、マルクはさらに続ける。

「……もしかして、お前捜索にはでないつもりか?」

 そう尋ねてきたマルクを俺はまっすぐ見返す。

「マルク、前に計画をいったのを覚えてるだろう。俺は嫌われても伯爵家をつぶすつもりだと」

「……今、それになんの関係がある?」

「とぼけるな、マルク。わかっているだろう。想定外に早く判明してしまい、サーシャリアのメンタルは不安定だが、それでも俺の計画に大きな支障はない」

 だから、俺は捜索にはいかない、俺はそういうつもりだった。
 俺以外の生徒会メンバーでいって、俺を悪者にする形で、サーシャリアと話し合ってくれ、と。
 俺は、そういういうつもりだった。
 それなら、サーシャリアも怒りを収めてくれるかもしれない、と。

「……あの計画は、全部なかったことにする」

 ──なのに、俺の口からでたのは、まるで考えもしていなかった言葉だった。
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