妹に全てを奪われた私は〜虐げられた才女が愛されることを知るまで〜

影茸

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対抗するための手段 (ソシリア視点)

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 前回のリーリアの発言に対するご指摘ありがとうございます。
 私も確認したところ、かなり説明を省いていたことに気づき、付け足させて頂きました。
 あまり内容とは関係ないなですので、お気になった方だけ確認して頂ければ幸いです。


 ◇◇◇

 アルフォードが告げた言葉に、部屋を沈黙が支配する。
 そんな中、マルクが口を開く。

「ま、待ってくれ。どういう意味だ?」

「簡単な話だ。まず、俺たちに敵意を持っている相手が、好意的に接してきたらお前はなにを考える」

「……罠だな」

「そうでしょう。つまり侯爵家がサーシャリアに婚約を申し込んだのは、罠としか考えられないのよ」

 アルフォードの言葉を引き継ぎ、リーリアがそう告げる。
 その顔に、隠しきれない衝撃を浮かべたままリーリアはさらに口を開く。

「でも、その罠の為に次期当主を使うなんて、明らかにおかしいのよ。ふつうに考えて、それではサーシャリアをはめられても、次期当主の名前には傷がつくもの」

 次期当主の名前に傷を付けてもなお、サーシャリアをおとしめたいほど憎んでいた可能性がないとは言わない。
 けれど、そう簡単に決めつけられないほど、次期当主の名前は大切なものなのも事実だ。
 普通、どれだけ恨んでいても、自身の家を秤に掛ける貴族はいない。
 しかし、その疑問はカインが正式な跡取りだっった場合の話だった。
 ……考えていたよりも遙かに、酷い境遇だった彼にわずかに哀れみを覚えつつ、私はリーリアに続けて告げる。

「けれどその疑問も、カインが不義の子供であれば解消されるのよ。……カイン諸共サーシャリアを破滅させようとした、そう考えた方が納得できるのよ」

「……そうか、侯爵家にもなれば、不義の子供はそれだけで罪になるのか」

 瞬間、マルクとリーリアの表情が暗いものとなる。
 辺境がまだ栄えていなかった時、二人はつきあっていることを公表さえできない状況だった。
 その経験から、二人は知っているのだ。
 ……貴族が、どれだけ血筋を大切にするかを。

  しかし、そうしてマルクが顔を暗くしていたのは少しの間だった。

「まあでも、もうサーシャリアは何とか侯爵家から逃げ出したんだろう? それならこれで一安心……」

「……ではないのよね、ソシリア」

「リーリア?」

 マルクの言葉を中断し、そう問いかけてきたリーリアに私は頷く。

「……これだけ入念な計たててサーシャリアをねらってきた相手が、これで引き下がるとは思えないわ。おそらく、また手を出してくるわ」

 そこで言葉を切って、私はアルフォードを見つめながら告げる。

「だから私は、伯爵家に対抗できる手を打っていた方がいいと思うわ」
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